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第一章 アルトルム王国の病
第四十四話 終わらない病(三)
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「にゃあっ。にゃあっ(大変なのだっ。大変なのだっ)」
宿屋に戻った我輩は、そこにバルディスが居ることを確認して叫ぶ。
我輩、人間のことを良く知っているわけではないが、親殺しというものが普通ではありえないことくらい知っている。心優しいレディが、唆されてそれを行おうとすることが異常なことくらい理解できる。
だから我輩は、それに何らかの対処法を見出だしてくれそうなバルディスを頼る。
「タロ? 帰ってきた?」
「随分と騒がしいですね」
バルディスに事の次第を話そうとすると、ディアムがひょっこりと顔を出す。そして、その後ろにラーミアの姿も見えた。どうやら、ディアム達の情報収集の方は終わったらしい。
「にゃーにゃにゃっ(いや、それより、バルディスっ、我輩、大変なことを聞いたのだっ)」
「分かったから落ち着け。ゆっくり話してみろ」
そう言われて、我輩、紳士としての冷静さを失っていたことに気づく。どうやら、我輩、まだまだ未熟のようだ。
『少しタロの話を聞くから、待っててくれ』とラーミア達に告げたバルディスは、落ち着きを取り戻した我輩を抱え上げ、椅子に座らせてくれる。そうして、我輩は、先程聞いた内容をバルディスに告げたのだった。
「……その女性の名前は分かるか?」
一通りのことをバルディスに告げると、バルディスは難しい顔で我輩に尋ねる。
「にゃあにゃー(確か、サリアーシャ・フォン・アルトルムという名前だったのだ)」
長ったらしい名前ではあるものの、大切なレディの名前を間違えることは我輩の矜持が許さない。名前に間違いはないはずだった。
名前を聞いた途端、バルディスは少しだけ思案し、そのまま真っ青になっていく。
「……まずいぞ、これは」
そして、通訳を待つラーミア達にせっつかれ、バルディスは、簡単に我輩の聞いた情報を説明する。
「……敵に魔族が居ることを考えれば、のんびりはしていられませんね」
しかし、今度は我輩、バルディス達の考えが読めずに困惑する。そして、その困惑をそのままに、バルディス達は話を進めてしまう。
「なら、今日中にそっちを何とかして、タロの件も介入しなければならないな」
「えぇ、そうですわね。方法は……まだ考え付きませんが」
「……俺が、ナイフ、盗むのは?」
「あぁ、それは良いかもな。だが、根本を解決しないことにはどうにもならないだろうし……」
「……にゃあ(……我輩にも分かるように話してほしいのだ)」
あんまりにも無視が続いて、我輩、堪らず口を出す。ただ、それに対して返ってきたのは、バルディスの困ったような表情だった。
「……タロ。お前が知る必要はない」
「にゃっにゃ? (なっ、どういう意味なのだ?)」
「文字通りだ。これ以上は危険だ。だから、お前はここで大人しくしていろ」
それは、バルディス達が前もって決めていた、必要以上にタロを巻き込まないための言葉だったのだが、我輩が、それを知るわけもない。
「……ふしゃー? (……ここにきて、仲間外れというわけか?)」
我輩、知らず知らずのうちに低い声で対応する。
「……そもそも、俺達は仲間だったわけでもない。お前は、お前でのんびりしていればいいだろう?」
バルディス達は、我輩にこれ以上、踏み入らせたくないらしい。バルディス達は、勝手に行動をするらしい。
それが分かってしまえば、我輩、これ以上バルディス達を引き留めようとは思わない。バルディスの言うように、我輩は、仲間ではないようだから。
「にゃお。にゃー(分かったのだ。我輩は好きにさせてもらうのだ)」
そう言って、我輩、裏切られたような気分になりながらも、サッと宿屋を後にするのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ホッ、どうにか、二話投稿できました!
しかも、割りと文章量が多い状態で。
良かった良かった。
……ちょこっと、タロとバルディスの仲は険悪になっちゃってますけどね。
さぁ、どうなることやら(ち、ちゃんとプロットは作ってますよ? 嘘じゃないですからねっ)
とりあえず、次は明日の更新になります。
それでは、また!
宿屋に戻った我輩は、そこにバルディスが居ることを確認して叫ぶ。
我輩、人間のことを良く知っているわけではないが、親殺しというものが普通ではありえないことくらい知っている。心優しいレディが、唆されてそれを行おうとすることが異常なことくらい理解できる。
だから我輩は、それに何らかの対処法を見出だしてくれそうなバルディスを頼る。
「タロ? 帰ってきた?」
「随分と騒がしいですね」
バルディスに事の次第を話そうとすると、ディアムがひょっこりと顔を出す。そして、その後ろにラーミアの姿も見えた。どうやら、ディアム達の情報収集の方は終わったらしい。
「にゃーにゃにゃっ(いや、それより、バルディスっ、我輩、大変なことを聞いたのだっ)」
「分かったから落ち着け。ゆっくり話してみろ」
そう言われて、我輩、紳士としての冷静さを失っていたことに気づく。どうやら、我輩、まだまだ未熟のようだ。
『少しタロの話を聞くから、待っててくれ』とラーミア達に告げたバルディスは、落ち着きを取り戻した我輩を抱え上げ、椅子に座らせてくれる。そうして、我輩は、先程聞いた内容をバルディスに告げたのだった。
「……その女性の名前は分かるか?」
一通りのことをバルディスに告げると、バルディスは難しい顔で我輩に尋ねる。
「にゃあにゃー(確か、サリアーシャ・フォン・アルトルムという名前だったのだ)」
長ったらしい名前ではあるものの、大切なレディの名前を間違えることは我輩の矜持が許さない。名前に間違いはないはずだった。
名前を聞いた途端、バルディスは少しだけ思案し、そのまま真っ青になっていく。
「……まずいぞ、これは」
そして、通訳を待つラーミア達にせっつかれ、バルディスは、簡単に我輩の聞いた情報を説明する。
「……敵に魔族が居ることを考えれば、のんびりはしていられませんね」
しかし、今度は我輩、バルディス達の考えが読めずに困惑する。そして、その困惑をそのままに、バルディス達は話を進めてしまう。
「なら、今日中にそっちを何とかして、タロの件も介入しなければならないな」
「えぇ、そうですわね。方法は……まだ考え付きませんが」
「……俺が、ナイフ、盗むのは?」
「あぁ、それは良いかもな。だが、根本を解決しないことにはどうにもならないだろうし……」
「……にゃあ(……我輩にも分かるように話してほしいのだ)」
あんまりにも無視が続いて、我輩、堪らず口を出す。ただ、それに対して返ってきたのは、バルディスの困ったような表情だった。
「……タロ。お前が知る必要はない」
「にゃっにゃ? (なっ、どういう意味なのだ?)」
「文字通りだ。これ以上は危険だ。だから、お前はここで大人しくしていろ」
それは、バルディス達が前もって決めていた、必要以上にタロを巻き込まないための言葉だったのだが、我輩が、それを知るわけもない。
「……ふしゃー? (……ここにきて、仲間外れというわけか?)」
我輩、知らず知らずのうちに低い声で対応する。
「……そもそも、俺達は仲間だったわけでもない。お前は、お前でのんびりしていればいいだろう?」
バルディス達は、我輩にこれ以上、踏み入らせたくないらしい。バルディス達は、勝手に行動をするらしい。
それが分かってしまえば、我輩、これ以上バルディス達を引き留めようとは思わない。バルディスの言うように、我輩は、仲間ではないようだから。
「にゃお。にゃー(分かったのだ。我輩は好きにさせてもらうのだ)」
そう言って、我輩、裏切られたような気分になりながらも、サッと宿屋を後にするのだった。
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ホッ、どうにか、二話投稿できました!
しかも、割りと文章量が多い状態で。
良かった良かった。
……ちょこっと、タロとバルディスの仲は険悪になっちゃってますけどね。
さぁ、どうなることやら(ち、ちゃんとプロットは作ってますよ? 嘘じゃないですからねっ)
とりあえず、次は明日の更新になります。
それでは、また!
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