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第二章 反撃のサナフ教国

第六十九話 行き先の現状(一)

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 しっかり運動をして戻ってくると、バルディス達はすっかり食べ終わっていた。そして、どうやらバルディスはデイブと話をしているようでもあった。


「二人も無事で良かったな」

「はい、それはもう」


 汗を拭き拭き話すデイブの顔は、どこか安心したものになっている。恐らく、一緒に居た二人のレディが目を覚まし、ドームの中で寄り添っていることが原因だろう。


「おとーしゃん、おはなし、まだ?」

「ダメよ。ソフィア。まだお邪魔しては」


 クリクリとした茶色の瞳で母親らしきレディを見つめる小さなレディは、まだまだ幼く、三歳くらいの年頃と思われた。茶髪をツインテールにして、母親らしき、茶髪に茶色の瞳を持つレディに甘えるその姿は、とても庇護欲をそそるものであった。


「にゃー(レディ達が無事で良かったのだ)」


 意図せず助ける結果となったものの、こうして親子のほのぼのとした様子を見せられると、体型のことで荒んでしまった心が穏やかになる。


「あーっ、ねこしゃん! おかーしゃん、ねこしゃん、ねこしゃん!」

「あらあら、そうね。確か、バルディスさん達の飼い猫でしたか」

「え、えぇ、まぁ、そんなものです」

「にゃにゃあ……(我輩は仲間のつもりなのだが……)」


 応えるラーミアに、我輩、ちょっとばかし不満をぶつけてみるものの、ラーミアには通じない。それを少し残念に思いながらも、我輩、バルディス達の話の方に意識を向ける。どうやら、大切な話をしているようであった。


「ここから先のサナフ教国……いえ、元、とつきますが、そこは今、いつクーデターが起きてもおかしくないくらいに荒れています。もし、そちらに行かれるのであれば、できる限り早く通り過ぎるべきかと」

「クーデターか……。確か、一年前、ミルテナ帝国に敗れて、吸収されたんだったか?」

「はい、反発は大きかったものの、サナフ教国は徐々にミルテナ帝国の侵略を受け入れました。しかし、それは『宵闇の一日』に一変しました」


 『宵闇の一日』という言葉に、バルディスはピクリと眉を跳ねる。しかし、デイブはそれに気づくことなく話を続ける。


「『宵闇の一日』の直後、ミルテナ帝国はとある法令を出しました。それは、セイクリア神を信仰することを禁じ、破った者は処刑するというとんでもないものでした」

「待て、サナフは教国だろう? そんな法が制定されてしまえば、サナフの者は……」

「えぇ、そうです。多くの者が命を落とすことになりました。信仰を捨てられない、多くの者が。そして、とある噂が立ちました。ミルテナ帝国は、ファルシス魔国と手を組んで、神を信仰する人間を滅ぼすつもりなのだと」


 我輩、バルディスがその言葉に絶句するのを見た。どうやら、またしても、ファルシス魔国は誤解されているらしかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


今回はちゃんと話が進みました!

章のタイトルにある通り、今回のメインはサナフ教国になります。

今回はそのサナフへ到るための予備知識編、みたいな?

次回もこの続きになります。

それでは、また!
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