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第二章 反撃のサナフ教国
第七十一話 頼みごとと別れ
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俺達が意図せずして助けた家族、デイブ達は、食料と水を馬車に乗せ、この砂のドームから出る準備をさせていた。
ちなみに、三つの頼みごとのうちの一つは、俺が与える物を文句など言わずに受け取れというもの。
そう言って、俺はとてもじゃないが三人と一匹では消費しきれないジャイアントスコーピオンの肉を小分けにし、ラーミアに冷凍させて与えていた。他にも、アルトルムの座標を示す魔導コンパスを押し付けたり、水瓶にたっぷりの水を入れてやったりもした。
運の良いことに、デイブは魔法鞄を持っていたため、食料や水はほとんどそこに詰め込めた。
「こ、こんなに、もらえませんっ。私は、バルディスさん達のお役に立ちたいのであって、ここまでしてもらう謂れはありませんっ」
そう恐縮してしまうデイブだったが、俺の目的のためにはこのくらいは必要だ。むしろ、これだけで大丈夫か不安になる。
「そう言うな。後二つの頼みごとのためには必要なことなんだから」
「で、では、その後二つの頼みごととは?」
どんどん食料を詰め込む様子に、汗をかくデイブ。それをこっそり面白いと思いながらも、俺は残り二つの頼みごと告げる。
「後の二つは難しいだろうが、どうしても達成してもらいたいものだ。まず一つは、この砂漠を越えて、無事にアルトルムへ着くこと」
俺としては、この一家に死なれては困る。サナフの現状を知る者がアルトルムに流れることは、今、一番必要なことだ。
「それと、もう一つが、アルトルムの王に謁見し、サナフの現状を伝え、『猫を連れた三人の男女がサナフへ向かった』と伝えてほしいということだ」
きっと、こう伝えれば、アルトルムの王、セルバスは考えてくれるはずだ。サナフでの噂は、アルトルムでの噂と同じようなものなのではないかと。そして、余裕ができれば、セイクリア教国にサナフの現状を伝えなければならないとも思ってくれるだろう。
そうすることで、俺は明確な支援を受けるわけではないものの、国を救われたアルトルムとしてはよっぽど愚かな王でない限り俺達に恩を返すため動こうとするだろう。少なくとも、俺が見た限りではセルバスは愚王には見えなかったので、これは大丈夫だろう。
「それは……分かりました。このデイブ、必ずやアルトルムにてその任を達成いたしましょう」
俺の頼みごとを聞くや否や、デイブは無理だと否定することなく、真剣な顔で受け入れる。
閉鎖的になって、情報が規制されていたであろうサナフにおいて、南西に逃げた者が騎士に殺されたという規制されてしかるべき情報を手に入れるようなデイブだ。きっと、ただの行商人ではないと思っていたが、どうやら当たりのようだった。
「準備、整った」
デイブが来てから、極端に影か薄くなったディアムが、俺にそう声をかけてくる。事実、デイブもディアムの存在に気づいていなかったのか、ビクッとその巨体を震わせていた。
「あなた。私達も準備は整っています」
「そう、か……話は聞いていたな、ニーナ。苦労をかけるが、死ぬわけにはいかなくなった」
「はい。元より死ぬつもりはありませんが、よりいっそう、死ねませんね」
「バルディスさん。私は必ず貴方の言葉を王に伝えましょう」
「あぁ、よろしく頼む」
また魔物に襲われるかもしれないし、途中で力尽きることがあるかもしれないというのに、デイブとニーナの目は爛々と輝いていた。これなら生き残れる。そう、思わせる目をしていた。
「ねこしゃーん、ばいばーい」
「にゃあ(無事を祈るのだ)」
「重ね重ね、ありがとうございました」
「夫とともに、必ず生きてアルトルムに行きますね」
「あぁ」
「えぇ、こちらこそ、サナフの話は興味深かったです」
「……幸運、祈る」
馬車に乗り込んだデイブ達。デイブが御者席に座り、ニーナとソフィアが後ろの席から顔を出して別れの言葉をそれぞれに告げる。そうして、デイブ達は俺達と別れ、馬車を走らせて行くのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さぁ、デイブ達と別れたタロ一行(バルディス一行?)。
この先の道にはいったい何が待ち受けているやら、ですね!
色々と構想を考えるのは楽しいです。
感想をもらえたらもっと嬉しいです。
そして、申し訳ありません。
もしかしたら、明日は更新できないかもです。
できるだけ頑張りますが……疲れ果ててるかもしれないです。
明後日は必ず更新しますね。
それでは、また!
ちなみに、三つの頼みごとのうちの一つは、俺が与える物を文句など言わずに受け取れというもの。
そう言って、俺はとてもじゃないが三人と一匹では消費しきれないジャイアントスコーピオンの肉を小分けにし、ラーミアに冷凍させて与えていた。他にも、アルトルムの座標を示す魔導コンパスを押し付けたり、水瓶にたっぷりの水を入れてやったりもした。
運の良いことに、デイブは魔法鞄を持っていたため、食料や水はほとんどそこに詰め込めた。
「こ、こんなに、もらえませんっ。私は、バルディスさん達のお役に立ちたいのであって、ここまでしてもらう謂れはありませんっ」
そう恐縮してしまうデイブだったが、俺の目的のためにはこのくらいは必要だ。むしろ、これだけで大丈夫か不安になる。
「そう言うな。後二つの頼みごとのためには必要なことなんだから」
「で、では、その後二つの頼みごととは?」
どんどん食料を詰め込む様子に、汗をかくデイブ。それをこっそり面白いと思いながらも、俺は残り二つの頼みごと告げる。
「後の二つは難しいだろうが、どうしても達成してもらいたいものだ。まず一つは、この砂漠を越えて、無事にアルトルムへ着くこと」
俺としては、この一家に死なれては困る。サナフの現状を知る者がアルトルムに流れることは、今、一番必要なことだ。
「それと、もう一つが、アルトルムの王に謁見し、サナフの現状を伝え、『猫を連れた三人の男女がサナフへ向かった』と伝えてほしいということだ」
きっと、こう伝えれば、アルトルムの王、セルバスは考えてくれるはずだ。サナフでの噂は、アルトルムでの噂と同じようなものなのではないかと。そして、余裕ができれば、セイクリア教国にサナフの現状を伝えなければならないとも思ってくれるだろう。
そうすることで、俺は明確な支援を受けるわけではないものの、国を救われたアルトルムとしてはよっぽど愚かな王でない限り俺達に恩を返すため動こうとするだろう。少なくとも、俺が見た限りではセルバスは愚王には見えなかったので、これは大丈夫だろう。
「それは……分かりました。このデイブ、必ずやアルトルムにてその任を達成いたしましょう」
俺の頼みごとを聞くや否や、デイブは無理だと否定することなく、真剣な顔で受け入れる。
閉鎖的になって、情報が規制されていたであろうサナフにおいて、南西に逃げた者が騎士に殺されたという規制されてしかるべき情報を手に入れるようなデイブだ。きっと、ただの行商人ではないと思っていたが、どうやら当たりのようだった。
「準備、整った」
デイブが来てから、極端に影か薄くなったディアムが、俺にそう声をかけてくる。事実、デイブもディアムの存在に気づいていなかったのか、ビクッとその巨体を震わせていた。
「あなた。私達も準備は整っています」
「そう、か……話は聞いていたな、ニーナ。苦労をかけるが、死ぬわけにはいかなくなった」
「はい。元より死ぬつもりはありませんが、よりいっそう、死ねませんね」
「バルディスさん。私は必ず貴方の言葉を王に伝えましょう」
「あぁ、よろしく頼む」
また魔物に襲われるかもしれないし、途中で力尽きることがあるかもしれないというのに、デイブとニーナの目は爛々と輝いていた。これなら生き残れる。そう、思わせる目をしていた。
「ねこしゃーん、ばいばーい」
「にゃあ(無事を祈るのだ)」
「重ね重ね、ありがとうございました」
「夫とともに、必ず生きてアルトルムに行きますね」
「あぁ」
「えぇ、こちらこそ、サナフの話は興味深かったです」
「……幸運、祈る」
馬車に乗り込んだデイブ達。デイブが御者席に座り、ニーナとソフィアが後ろの席から顔を出して別れの言葉をそれぞれに告げる。そうして、デイブ達は俺達と別れ、馬車を走らせて行くのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さぁ、デイブ達と別れたタロ一行(バルディス一行?)。
この先の道にはいったい何が待ち受けているやら、ですね!
色々と構想を考えるのは楽しいです。
感想をもらえたらもっと嬉しいです。
そして、申し訳ありません。
もしかしたら、明日は更新できないかもです。
できるだけ頑張りますが……疲れ果ててるかもしれないです。
明後日は必ず更新しますね。
それでは、また!
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