我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百二十一話 神殿跡地にて(一)

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 昼食後、タロを送り出し、俺は戻ってきたディアムにタロからの情報を伝えると、ラーミアの元へと向かいたいと告げた。しかし……。


「ラーミアと、接触、俺、一人で十分」


 すぐさま反対され、俺は懸命に食い下がった。ラーミアは俺の部下なのだから、見に行くのは当たり前だとか、情報を俺も一緒に聞きに行った方が説明の手間が省けるとか、とにかく色々な理由をつけた。本音としては、ただただ心配だからというものだったが、ラーミアの無事を確認したいと思うのは当たり前だろう。


「ダメ。バル、魔王。簡単に動くべきじゃ、ない」


 昔なら、まだ、魔王となる前であったなら、俺の我儘は通ったかもしれない。しかし、今、それを通すことはできないとディアムは俺の前に立ち塞がる。
 そして、実際、俺自身も我儘を言っているという自覚がある分、ディアムの言葉には弱かった。魔王としての俺は、部下が傷付こうが、死のうが、動じることなく立っていなければならない。部下のために、魔王が動くことは許されない。魔王は、民のために動くものなのだから。


「……分かった」


 結局のところ、俺は認めざるを得なかった。どんなに心配でも、ラーミアの様子を見ることはできない。それが、俺の立場なのだと。


「それじゃあ、俺、行ってくる。バル、余計なこと、しないように」

「あぁ、簡単な情報収集のみにしておくさ」

「……無茶、禁止」

「分かってるって」


 心配性なディアムに何度も念を押されながら、俺はディアムを送り出す。心配しなくとも、俺は自分の身くらい自分で守れると言いたかったが、それを言えばまたこじれる気がしたため、ディアムの言葉に賛同するのみに留めておいたのが良かったのか、ディアムは案外素直に出ていった。


「……さて、俺も行動するか」


 ディアムが戻ってくる気配はない。それを確認した俺は、ローブを身に纏って宿屋を出る。向かう先は一つ。冒険者ギルドだ。

 すぐに辿り着いた冒険者ギルドで、俺はそれを探す。昨日もディアムに内緒で訪れて、こっそり『デザートプラントの討伐』という依頼を受けておいたが、報酬以外の収穫はなかった。聖騎士長が発行した依頼らしかったから、何かあるかと思ったものの、何のハプニングもなく、依頼は恙無く達成できた。


「……『神殿跡地の調査』、か……」


 今日は聖騎士長からの依頼があるかどうか分からなかったものの、行ってみるとちょうどその依頼書が貼り出されたところだった。

 報酬は金貨三枚。ただの調査依頼にしては、破格の値段だ。

 俺は、詳しい内容を聞くために、その依頼書をボードから剥がし、受付へと持っていくのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


神殿跡地の調査……いったいどんな依頼内容なんでしょうねっ。

バルディスには頑張って冒険してもらいましょう。

それでは、また!
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