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第一章 解放
第三話 婚約破棄の後(エルヴィス視点)
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「笑っ、た?」
あの、『人形姫』が。常に無表情で、何を考えているのかも分からない女が、笑った。それも、婚約破棄の上、国外追放を言い渡されるという事態の中、笑ったのだ。
リリスが転移を発動した瞬間に、何かガラスが割れるような音がしたものの、周囲にそれを気にする者は居ない。男も女も、あのリリスの美しい微笑みに魅了されてしまっていたのだ。
「エルヴィス様っ、エルヴィス様っ?」
ぼーっとリリスが先程まで立っていた場所を見つめていると、ふいに、愛しいホーリーが私の肩を揺さぶっていることに気づく。
「あ、あぁ、どうした? ホーリー?」
「もうっ、あの女を追いかけなくて良いんですかって、聞いてるんですっ! 国外追放なのに、逃げられたんですよっ?」
「はっ、そ、そうだったな。衛兵っ、すぐに、リリス・シャルティーを捜索、捕縛の上、国外に追放せよっ」
「「「ははっ」」」
幾人かの衛兵が会場を去る中、私はようやく、あの不気味な女から解放されたのだと実感する。
幼少の頃からの婚約者であったリリスは、生意気にも、どんなことをしても表情を変えなかった。それは、顔立ちが整っていることもあって、より不気味な様子に映り、私は何度も父上に婚約破棄を訴えてきたのだ。
しかし、それに対する父上の答えは、『まだしばらく待て』とのこと。どれだけ待てば良いのかを告げることなく、ただ、『待て』とだけ。それがどれだけ屈辱的なことだったかっ……。
(だが、それももう終わりだ)
何でも、シャルティー公爵と密約を交わすことができたと言っていた父上は、今日、この場における婚約破棄を許可してくださったのだ。
「ホーリー。これで、私達は名実ともに婚約者だ。一緒にこの国を支えてくれるか?」
「っ、はいっ、エルヴィス様」
そうして、お互いの唇が急接近する中、大扉が開かれる。
「これは何事だ? エルヴィスっ?」
そこに響いた声は、父上の、この国の国王である、アルヴィー・レイリン。私の金髪碧眼はこの父上譲りで、私は父上の若い頃に良く似た姿であるらしい。
そんな父上は、事前に婚約破棄に関する話をしていたにも関わらず、私にはない眉間のシワを深めて、詰め寄る。
「リリスと婚約破棄をしました。そして、ここに居るホーリーを婚約者として宣言しました」
「何? お前の新たな婚約者は、シェイラ・シャルティーと決まっておる。そのような女は認めんっ」
「っ、そんなっ! 話が違うではありませんかっ! 父上は、リリスと婚約破棄をして良いとっ「それは、お前とシェイラを婚約させるためのものだ」そんなっ!」
そんな話は聞いていない。やっと、リリスと婚約破棄できて、愛するホーリーと結ばれるというのに、父上はよりにもよって、あの女の妹を私の婚約者にするつもりか?
「こ、国王陛下っ! 私達は、愛し合っておりますっ! ですから、どうか私達を認めてくださいっ!」
私が憤る中、ホーリーは健気にも目を潤ませて父上に立ち向かっている。
(あぁ、私もこのままではいられない)
「父上っ、私からもお願いしますっ! 私は、ホーリー以外と結婚するつもりはありませんっ」
その言葉に、周りの貴族らがこっそり嘲りの表情を浮かべていることにすら気づかず、私は父上に懇願する。
「……エルヴィスは疲れているようだ。衛兵、エルヴィスを部屋へ連れていけ。そして、そこの女は、牢にでも入れておけ」
「「「ははっ」」」
「なっ、父上っ!?」
「ちょっとっ、離しなさいよっ! どうして私が牢屋なのよっ! こんなの、ゲームにはなかったわっ! 何でっ、ここで悪役令嬢が登場するのよっ!」
腕を掴んでくる衛兵達に、私もホーリーも必死に抵抗したものの、結局、私は一週間の謹慎処分を受け、ホーリーは牢へ入れられてしまうのだった。
あの、『人形姫』が。常に無表情で、何を考えているのかも分からない女が、笑った。それも、婚約破棄の上、国外追放を言い渡されるという事態の中、笑ったのだ。
リリスが転移を発動した瞬間に、何かガラスが割れるような音がしたものの、周囲にそれを気にする者は居ない。男も女も、あのリリスの美しい微笑みに魅了されてしまっていたのだ。
「エルヴィス様っ、エルヴィス様っ?」
ぼーっとリリスが先程まで立っていた場所を見つめていると、ふいに、愛しいホーリーが私の肩を揺さぶっていることに気づく。
「あ、あぁ、どうした? ホーリー?」
「もうっ、あの女を追いかけなくて良いんですかって、聞いてるんですっ! 国外追放なのに、逃げられたんですよっ?」
「はっ、そ、そうだったな。衛兵っ、すぐに、リリス・シャルティーを捜索、捕縛の上、国外に追放せよっ」
「「「ははっ」」」
幾人かの衛兵が会場を去る中、私はようやく、あの不気味な女から解放されたのだと実感する。
幼少の頃からの婚約者であったリリスは、生意気にも、どんなことをしても表情を変えなかった。それは、顔立ちが整っていることもあって、より不気味な様子に映り、私は何度も父上に婚約破棄を訴えてきたのだ。
しかし、それに対する父上の答えは、『まだしばらく待て』とのこと。どれだけ待てば良いのかを告げることなく、ただ、『待て』とだけ。それがどれだけ屈辱的なことだったかっ……。
(だが、それももう終わりだ)
何でも、シャルティー公爵と密約を交わすことができたと言っていた父上は、今日、この場における婚約破棄を許可してくださったのだ。
「ホーリー。これで、私達は名実ともに婚約者だ。一緒にこの国を支えてくれるか?」
「っ、はいっ、エルヴィス様」
そうして、お互いの唇が急接近する中、大扉が開かれる。
「これは何事だ? エルヴィスっ?」
そこに響いた声は、父上の、この国の国王である、アルヴィー・レイリン。私の金髪碧眼はこの父上譲りで、私は父上の若い頃に良く似た姿であるらしい。
そんな父上は、事前に婚約破棄に関する話をしていたにも関わらず、私にはない眉間のシワを深めて、詰め寄る。
「リリスと婚約破棄をしました。そして、ここに居るホーリーを婚約者として宣言しました」
「何? お前の新たな婚約者は、シェイラ・シャルティーと決まっておる。そのような女は認めんっ」
「っ、そんなっ! 話が違うではありませんかっ! 父上は、リリスと婚約破棄をして良いとっ「それは、お前とシェイラを婚約させるためのものだ」そんなっ!」
そんな話は聞いていない。やっと、リリスと婚約破棄できて、愛するホーリーと結ばれるというのに、父上はよりにもよって、あの女の妹を私の婚約者にするつもりか?
「こ、国王陛下っ! 私達は、愛し合っておりますっ! ですから、どうか私達を認めてくださいっ!」
私が憤る中、ホーリーは健気にも目を潤ませて父上に立ち向かっている。
(あぁ、私もこのままではいられない)
「父上っ、私からもお願いしますっ! 私は、ホーリー以外と結婚するつもりはありませんっ」
その言葉に、周りの貴族らがこっそり嘲りの表情を浮かべていることにすら気づかず、私は父上に懇願する。
「……エルヴィスは疲れているようだ。衛兵、エルヴィスを部屋へ連れていけ。そして、そこの女は、牢にでも入れておけ」
「「「ははっ」」」
「なっ、父上っ!?」
「ちょっとっ、離しなさいよっ! どうして私が牢屋なのよっ! こんなの、ゲームにはなかったわっ! 何でっ、ここで悪役令嬢が登場するのよっ!」
腕を掴んでくる衛兵達に、私もホーリーも必死に抵抗したものの、結局、私は一週間の謹慎処分を受け、ホーリーは牢へ入れられてしまうのだった。
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