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第七章 結ぶ心
第七十六話 愛してますわ
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ラディス様やユーカ様達と別れ、何の収穫も得られなかったとうなだれて戻ってきたアルムをドラグニル竜国へ戻し、わたくしは急いでログハウスへと転移する。
(ユーカ様の言った方法は、正直、疑わしいですわ)
教えてもらった方法は、まさかと思えるような方法ではあった。けれど……。
(元々、闇の神級魔法自体がおかしいのですから、あんな解除方法があってもおかしくありませんわ)
目の前に現れたログハウスを確認するや否や、わたくしは扉を開けて、中に飛び込む。
(ルティ……必ず、救ってみせますわ)
つまずきそうになりながら、ルティアスが居る部屋へと飛び込むと、そこに眠るルティアスの側に駆け寄る。
「ルティっ」
ルティアスの顔に現れた刻印は、また、少し進んでいた。
(闇の神級魔法は、愛の魔法)
それは、どんな魔法書でも同じ解説がされているであろう一文。
(そして、ユーカ様は言った。この世界の魔法は、想いの力を具現化したものなのだと)
魔法の原理なんて、考えたこともなかった。ただ、それを扱うことにしか関心がなかった。
(闇の神級魔法は、その最たるものだと)
ただ、違った。魔法は、もっと自由な存在なのだ。
(愛が深ければ深いほど、回数を重ねれば重ねるほど、それは強くなる)
自由だからこそ、とても扱いづらい。その自由を制限するものが呪文なのだ。
(わたくしが、ルティに示せる愛を、全力で示すこと。それが、ルティを救うことになる)
ベッドで眠り続ける白い角とアクアマリンの髪を持つ青年、ルティアスを前に、わたくしは祈るように膝をつく。
「ルティ」
刻印に蝕まれた手の甲に、わたくしは一つ、口づけを落とす。
(大好き)
すると、少しだけ、手の甲の刻印が引いていく。
(わたくしは、ルティに救われたのです)
今度は手のひらに口づけを落とすと、やはり、刻印は引いていく。
(守ってくれると言ってもらって、嬉しかった……)
反対の手も同様にして、刻印を退ける。ユーカ様の言葉に半信半疑ではあったものの、これはいけると確信する。
わたくしは、そっとルティアスの服を脱がせて、首筋から、ゆっくり、一つ一つ思いを込めて下へ向かって口づけを落としていく。
(ルティが居ないと寂しいですわ)
(戻ってきて、ルティ)
(また、一緒に料理を作りましょう?)
(ルティの笑顔が見たいですわ)
全ては、その黄金の瞳が見られるまで、ゆっくり、じっくり、口づけを続ける。
(わたくし、ルティが居ないとダメですの)
(ルティ、早く目を覚ましてください)
(抱き締めて)
全身への口づけ。それが、ユーカ様に示された刻印解除の方法だった。
(大好き。大好きです)
たっぷり一時間、何度も口づけを繰り返せば、ルティアスの全身に回っていた刻印は姿を消していく。胴と手足の刻印は完全に消え去り、後は顔にある刻印のみ。それにも、わたくしは慎重に、口づけを施していく。
おでこに、鼻に、頬に、そして……。
(愛してますわ)
最後にその唇に長い、長い、口づけを落とす。
「……ん」
ゆっくりと、まぶたが持ち上がり、黄金の瞳が姿を現す。
「おはようございますわ。ルティ」
そっとルティアスから離れたわたくしは、心からの安堵とともに、言葉を紡ぐ。
「リ、リス……? 今、僕…………いや、夢?」
ぼんやりとした様子のルティアスを見て、わたくしは少しばかり不安になる。
(もしかして、まだ足りてないのでしょうか?)
見える限りの刻印は、全て消し去ったはずだ。けれど、やはり不安で、わたくしはヨロヨロと起き上がったルティアスに合わせて立ち上がり、もう一度だけ、その唇に口づけを落とす。
「愛してますわ。ルティ」
「……っ!??!?!」
しばらく放心したルティアスは、なぜか、ボンッと赤くなって飛び上がる。
「ルティ?」
「リリスが、リリスがっ、キスをっ!? それに、愛してるって……か、可愛過ぎるっ」
そうやって実況解説をされてしまうと、わたくしにも、必死に押しやっていた羞恥心が蘇ってくるわけで……。
「ぁ……ぅ……」
一気に顔に熱が集中したわたくしは、言葉すら紡げなくなる。
「あぁ、僕、今日が命日だったりするのかな? 幸せ過ぎて、辛いっ」
「ル、ルティ……ぁ、の……」
体はもう大丈夫なのか確認したいものの、今はそれができる精神状態ではない。そうこうしているうちに、ガバッとルティアスはわたくしを抱き締めてくる。じかに感じる肌の感触が生々しくて、わたくしはもう、パニックだ。
「リリスっ、結婚してっ!」
「は、ぃ」
後から知ったことだけれど、この時、ルティアスは浮かれに浮かれて、ロマンチックだとかムードだとかいった言葉をどこかに置き忘れてしまっていたらしい。けれど、わたくしにはその言葉だけで十分で、真っ赤になりながらうなずくのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回、最終話です!
(ユーカ様の言った方法は、正直、疑わしいですわ)
教えてもらった方法は、まさかと思えるような方法ではあった。けれど……。
(元々、闇の神級魔法自体がおかしいのですから、あんな解除方法があってもおかしくありませんわ)
目の前に現れたログハウスを確認するや否や、わたくしは扉を開けて、中に飛び込む。
(ルティ……必ず、救ってみせますわ)
つまずきそうになりながら、ルティアスが居る部屋へと飛び込むと、そこに眠るルティアスの側に駆け寄る。
「ルティっ」
ルティアスの顔に現れた刻印は、また、少し進んでいた。
(闇の神級魔法は、愛の魔法)
それは、どんな魔法書でも同じ解説がされているであろう一文。
(そして、ユーカ様は言った。この世界の魔法は、想いの力を具現化したものなのだと)
魔法の原理なんて、考えたこともなかった。ただ、それを扱うことにしか関心がなかった。
(闇の神級魔法は、その最たるものだと)
ただ、違った。魔法は、もっと自由な存在なのだ。
(愛が深ければ深いほど、回数を重ねれば重ねるほど、それは強くなる)
自由だからこそ、とても扱いづらい。その自由を制限するものが呪文なのだ。
(わたくしが、ルティに示せる愛を、全力で示すこと。それが、ルティを救うことになる)
ベッドで眠り続ける白い角とアクアマリンの髪を持つ青年、ルティアスを前に、わたくしは祈るように膝をつく。
「ルティ」
刻印に蝕まれた手の甲に、わたくしは一つ、口づけを落とす。
(大好き)
すると、少しだけ、手の甲の刻印が引いていく。
(わたくしは、ルティに救われたのです)
今度は手のひらに口づけを落とすと、やはり、刻印は引いていく。
(守ってくれると言ってもらって、嬉しかった……)
反対の手も同様にして、刻印を退ける。ユーカ様の言葉に半信半疑ではあったものの、これはいけると確信する。
わたくしは、そっとルティアスの服を脱がせて、首筋から、ゆっくり、一つ一つ思いを込めて下へ向かって口づけを落としていく。
(ルティが居ないと寂しいですわ)
(戻ってきて、ルティ)
(また、一緒に料理を作りましょう?)
(ルティの笑顔が見たいですわ)
全ては、その黄金の瞳が見られるまで、ゆっくり、じっくり、口づけを続ける。
(わたくし、ルティが居ないとダメですの)
(ルティ、早く目を覚ましてください)
(抱き締めて)
全身への口づけ。それが、ユーカ様に示された刻印解除の方法だった。
(大好き。大好きです)
たっぷり一時間、何度も口づけを繰り返せば、ルティアスの全身に回っていた刻印は姿を消していく。胴と手足の刻印は完全に消え去り、後は顔にある刻印のみ。それにも、わたくしは慎重に、口づけを施していく。
おでこに、鼻に、頬に、そして……。
(愛してますわ)
最後にその唇に長い、長い、口づけを落とす。
「……ん」
ゆっくりと、まぶたが持ち上がり、黄金の瞳が姿を現す。
「おはようございますわ。ルティ」
そっとルティアスから離れたわたくしは、心からの安堵とともに、言葉を紡ぐ。
「リ、リス……? 今、僕…………いや、夢?」
ぼんやりとした様子のルティアスを見て、わたくしは少しばかり不安になる。
(もしかして、まだ足りてないのでしょうか?)
見える限りの刻印は、全て消し去ったはずだ。けれど、やはり不安で、わたくしはヨロヨロと起き上がったルティアスに合わせて立ち上がり、もう一度だけ、その唇に口づけを落とす。
「愛してますわ。ルティ」
「……っ!??!?!」
しばらく放心したルティアスは、なぜか、ボンッと赤くなって飛び上がる。
「ルティ?」
「リリスが、リリスがっ、キスをっ!? それに、愛してるって……か、可愛過ぎるっ」
そうやって実況解説をされてしまうと、わたくしにも、必死に押しやっていた羞恥心が蘇ってくるわけで……。
「ぁ……ぅ……」
一気に顔に熱が集中したわたくしは、言葉すら紡げなくなる。
「あぁ、僕、今日が命日だったりするのかな? 幸せ過ぎて、辛いっ」
「ル、ルティ……ぁ、の……」
体はもう大丈夫なのか確認したいものの、今はそれができる精神状態ではない。そうこうしているうちに、ガバッとルティアスはわたくしを抱き締めてくる。じかに感じる肌の感触が生々しくて、わたくしはもう、パニックだ。
「リリスっ、結婚してっ!」
「は、ぃ」
後から知ったことだけれど、この時、ルティアスは浮かれに浮かれて、ロマンチックだとかムードだとかいった言葉をどこかに置き忘れてしまっていたらしい。けれど、わたくしにはその言葉だけで十分で、真っ赤になりながらうなずくのだった。
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次回、最終話です!
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