恐怖な少女・各地で笑顔惨殺!

空 佳吹

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その悪魔は不意に…(事務員の場合)

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(ご注意:異常な死に方を表現したシーンがあります)

 桜も満開という、のどかな土曜日の朝のこと……

「さー、きょうは休日でオマケにあの日。予定どおり、あの作品を見よっと……」

 大阪府F市の寮に一人で住む圭子は、G商社の事務員をしていた。
 黒髪を肩まで伸ばしたスレンダーの二十六歳だった。

 食事を済ませた彼女は、自室でつぶやくとピンクのワンピース姿で出掛けた。

 自転車でJ駅という私鉄駅まで行き、そこから終点までの車内ではスマホでゲームをする。
 終点まで乗車した圭子は途中のコンビニで軽食を買うと、楽しそうにあるビルに向った。

 彼女が向っているのは、大阪MEIGAA館だった。

 大阪MEIGAA館は映画館……いわゆるシネマコンプレックスで、一つの建物の中に大中小のシアターが十三ヶ所あった。

 今日はサービスディーとあって、大勢のシネマファンが好みの作品を鑑賞しようと集まっていた。 無論、圭子もその一人だった。

 以前から見たいと思っていた洋画の悲恋モノを鑑賞しようと、座席チケットを所持した圭子は到着すると、すぐにエレベーターに向った。

(やっぱり、すごい人やな……)

 彼女の目当ての作品は、中規模のシアターで上映予定となっていた。

(本当は大きなシアターで見たいんだけどね……)

 彼女が前もって指定したのは、中通路より後ろで最も端の座席だった。
圭子は涙腺が弱いタイプだったので、映画の終了後、大勢の人に前を通られるのがイヤだったからだ。
 が、エレベーターを4階で降り、第4シアターに入ってみると、指定した番号の座席は、マシンの不具合か中通路ぞいの席になっていた。

(おかしいな……? いつもの席を指定したハズなのに……)

 関係者に言おうかとも思ったが、上映時間がせまっていたので、

(終わったら暗い内に出て、トイレでも行けばいいわ……)

 と諦めて座席に着いた。

 映画が始まりそうになったので、圭子はハンカチを出した。
 すると手からハンカチが落ちたので、拾おうとした時、いつの間にか黒い
ドレス姿の少女が立っていた。
 金色のような長い髪の、まるで映画に出てきそうな可愛い少女だった。

「あら、どうしたの? はぐれちゃったの?」

 すると少女はにっこり笑って、

「おねぇちゃん、見付けたー」
「えっ、何? 私? どういう事?」

 ハンカチを拾って顔を上げると、もう少女はいなかった。
 圭子は呆然と周りを見たが、どこにもいなかった。

 映画が始まると圭子は、途中で買ってきたサンドイッチを食べた。
 そして缶コーヒーを飲もうとした時、いつのまにか隣に少女が座っていて、

「おねぇちゃん、もうすぐだよ」
「えっ、何が?」

 缶コーヒーを座席の端に置いてから振り向くと、少女はいなかった。

 圭子がコーヒーを飲むと、すべて胃に入らず肺に入っていった。
 しかし彼女にはまったく分からなかった。

 映画が後半になると、圭子の目から涙が流れ始めた。が、彼女はハンカチを使えなかった。
 その涙は、彼女の鼻に流れ込んでいった。

 涙は溢れつづけ、依然と鼻から肺へ流れ込んでいたが、彼女は平然と映画を見つづけていた。

 そして窒息する直前、圭子の隣に笑顔の少女がまた現れて、

「おねぇちゃん、一緒に遊ぼうね」

 映画が終了する直前、圭子の体は変化して透明になり、黒くなったスクリーンに吸い込まれた。


 月曜日、G商社に圭子は出社しなかった。
 スマホに連絡しても不通だったので、課長が寮を見にいったところ、

『旅にでます。ごめんなさい』

 という置手紙があった。
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