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その悪魔は不意に…(船舶航海士の場合)
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(ご注意:異常な死に方を表現したシーンがあります)
木枯らし一号が吹いて数日後……どんより曇った日曜日の朝だった……
「天気はイマイチだけど、きょうも頑張るわよー」
神戸港に停泊中の豪華客船クイーンエリトベス号の船尾で、二十三歳になる沙紀はそうつぶやいた。
沙紀は船舶の一等航海士として、この船で船長見習い中なのだった。
クイーンエリトベス特製のブルーの制服を身に着けた沙紀は、船内に戻ることにした。
見回りも兼ねて、一等船室のある廊下を通っていった。
まだ昼前で客のいない船内はシーンとしていた。
「きょうは何人のお客様が登場されるのかな……?」
それぞれの部屋の前を通りながら、沙紀はつぶやいた。すると、
トントン……
ある部屋の中から音がした。
「あら? 誰かいるのかな……?」
ふと見ると、
『A104号室』
「あれ? A104号室なんて、無いはずだけど……?」
沙紀はドアを開けようとした。が、開かなかった。
「いやいや、ちょっと待って。カギがかかってるのに誰かいる訳ないじゃ……」
行こうとした。するとまた、
トントン……
沙紀は仕方なく、上着のポケットからマスターキーを取り出しながら、ふと廊下の奥を見て、えっ? と思った。
少女が一人、立っていたからだ。
とっても可愛い少女で、長い金髪が朝日を受けて光っていた。
「あなたは……? なぜここに……?」
「おねぇちゃん、見付けたー」
「えっ、何? 私のこと?」
見とれてマスターキーを落とした沙紀は、すぐに拾って、視線を戻した。が、もう少女はいなかった。
沙紀はマスターキーをポケットに戻すと、少女がいた所にいってみた。
そこは一般トイレの前で、反対側は行き止まりだった。
無論そのトイレの中を見てみたが、誰もいなかった。
「私……疲れてるのかな……?」
と行こうとすると、
ギー……
振り向くと、さっきの部屋のドアが少し開いていたのだ。
「あれ……?」
沙紀は仕方なく、その部屋の中を覗きながら、
「失礼しまーす……。どなたか、いらっしゃいますか……?」
緊張気味に中へ入っていった。
一等客室の中はさすがに美しく、ベッドやテーブルもきちんと整備されている。
しかし、やはり誰の姿もなかった。
念のため沙織は、バスルームも確認した。
「やっぱり空耳だったんだ……」
ホッとして、退室しようとした時、ベッドルームの方から、
「おい、もう逃がさないぞ!」
えっ? と振り向くと、ヒゲヅラの男が襲いかかってきた。
沙紀は驚いて、バスルームに逃げたが、勢いあまって浴槽の中まで入ってしまった。
すると、まるで底が抜けていたかのように、沙紀はそのまま深い水中へ落ちた。
ようやく水面に上がると、そこは神戸港で、すぐ前にサンホラワー号が見えた。
「えー?! どういう事?!」
沙紀は動揺しながらも、陸地に向かおうとした。すると……
突然クイーンエリトベス号が動きだし、こちらに向って来たのだ。
キャー!
沙紀はクイーンエリトベス号にひかれる形となった。
次の瞬間、沙紀が目を開けると、そこはクイーンエリトベス号のさっきの客室で、彼女は床にうつぶせに倒れていた。
すぐ横に、あの少女がいて、
「おねぇちゃん、もうすぐだよ」
「あっ、あなたは……」
少女は部屋から出ていった。
沙紀が呆然としていると、光景が見る見る変っていき……
いつのまにかそこは、何かの機械の中になり、どんどん熱くなってきていた。
その時、外から男の話し声で、
「さー、いよいよ出港だぞ」
「了解。パワーを目いっぱいにします」
その時、沙紀は愕然とした。
「もしや、ここは船内機械室で、私は……!」
沙紀のいる空間は、さらに熱くなっていき、その体は溶けだした。
ギャー!!
その声に機械室のフタッフたちは、驚いてパワーを切った。
すると沙紀の頭の上にある窓が開き、少女が顔を見せて、
「おねぇちゃん、一緒に遊ぼうね」
やがて青ランプが点灯するのを待ったスタッフたちは、マシンのカバーを外した瞬間、
「なんだこりぁー?!」
「ど、どうして……?」
「そんなバカな……!」
そこにあったのは、変わり果てた沙紀の姿だった。
木枯らし一号が吹いて数日後……どんより曇った日曜日の朝だった……
「天気はイマイチだけど、きょうも頑張るわよー」
神戸港に停泊中の豪華客船クイーンエリトベス号の船尾で、二十三歳になる沙紀はそうつぶやいた。
沙紀は船舶の一等航海士として、この船で船長見習い中なのだった。
クイーンエリトベス特製のブルーの制服を身に着けた沙紀は、船内に戻ることにした。
見回りも兼ねて、一等船室のある廊下を通っていった。
まだ昼前で客のいない船内はシーンとしていた。
「きょうは何人のお客様が登場されるのかな……?」
それぞれの部屋の前を通りながら、沙紀はつぶやいた。すると、
トントン……
ある部屋の中から音がした。
「あら? 誰かいるのかな……?」
ふと見ると、
『A104号室』
「あれ? A104号室なんて、無いはずだけど……?」
沙紀はドアを開けようとした。が、開かなかった。
「いやいや、ちょっと待って。カギがかかってるのに誰かいる訳ないじゃ……」
行こうとした。するとまた、
トントン……
沙紀は仕方なく、上着のポケットからマスターキーを取り出しながら、ふと廊下の奥を見て、えっ? と思った。
少女が一人、立っていたからだ。
とっても可愛い少女で、長い金髪が朝日を受けて光っていた。
「あなたは……? なぜここに……?」
「おねぇちゃん、見付けたー」
「えっ、何? 私のこと?」
見とれてマスターキーを落とした沙紀は、すぐに拾って、視線を戻した。が、もう少女はいなかった。
沙紀はマスターキーをポケットに戻すと、少女がいた所にいってみた。
そこは一般トイレの前で、反対側は行き止まりだった。
無論そのトイレの中を見てみたが、誰もいなかった。
「私……疲れてるのかな……?」
と行こうとすると、
ギー……
振り向くと、さっきの部屋のドアが少し開いていたのだ。
「あれ……?」
沙紀は仕方なく、その部屋の中を覗きながら、
「失礼しまーす……。どなたか、いらっしゃいますか……?」
緊張気味に中へ入っていった。
一等客室の中はさすがに美しく、ベッドやテーブルもきちんと整備されている。
しかし、やはり誰の姿もなかった。
念のため沙織は、バスルームも確認した。
「やっぱり空耳だったんだ……」
ホッとして、退室しようとした時、ベッドルームの方から、
「おい、もう逃がさないぞ!」
えっ? と振り向くと、ヒゲヅラの男が襲いかかってきた。
沙紀は驚いて、バスルームに逃げたが、勢いあまって浴槽の中まで入ってしまった。
すると、まるで底が抜けていたかのように、沙紀はそのまま深い水中へ落ちた。
ようやく水面に上がると、そこは神戸港で、すぐ前にサンホラワー号が見えた。
「えー?! どういう事?!」
沙紀は動揺しながらも、陸地に向かおうとした。すると……
突然クイーンエリトベス号が動きだし、こちらに向って来たのだ。
キャー!
沙紀はクイーンエリトベス号にひかれる形となった。
次の瞬間、沙紀が目を開けると、そこはクイーンエリトベス号のさっきの客室で、彼女は床にうつぶせに倒れていた。
すぐ横に、あの少女がいて、
「おねぇちゃん、もうすぐだよ」
「あっ、あなたは……」
少女は部屋から出ていった。
沙紀が呆然としていると、光景が見る見る変っていき……
いつのまにかそこは、何かの機械の中になり、どんどん熱くなってきていた。
その時、外から男の話し声で、
「さー、いよいよ出港だぞ」
「了解。パワーを目いっぱいにします」
その時、沙紀は愕然とした。
「もしや、ここは船内機械室で、私は……!」
沙紀のいる空間は、さらに熱くなっていき、その体は溶けだした。
ギャー!!
その声に機械室のフタッフたちは、驚いてパワーを切った。
すると沙紀の頭の上にある窓が開き、少女が顔を見せて、
「おねぇちゃん、一緒に遊ぼうね」
やがて青ランプが点灯するのを待ったスタッフたちは、マシンのカバーを外した瞬間、
「なんだこりぁー?!」
「ど、どうして……?」
「そんなバカな……!」
そこにあったのは、変わり果てた沙紀の姿だった。
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