恐怖な少女・各地で笑顔惨殺!

空 佳吹

文字の大きさ
12 / 15

その悪魔は不意に…(船舶航海士の場合)

しおりを挟む
(ご注意:異常な死に方を表現したシーンがあります)

 木枯らし一号が吹いて数日後……どんより曇った日曜日の朝だった……

「天気はイマイチだけど、きょうも頑張るわよー」

 神戸港に停泊中の豪華客船クイーンエリトベス号の船尾で、二十三歳になる沙紀はそうつぶやいた。
 沙紀は船舶の一等航海士として、この船で船長見習い中なのだった。
 クイーンエリトベス特製のブルーの制服を身に着けた沙紀は、船内に戻ることにした。

 見回りも兼ねて、一等船室のある廊下を通っていった。
 まだ昼前で客のいない船内はシーンとしていた。

「きょうは何人のお客様が登場されるのかな……?」

 それぞれの部屋の前を通りながら、沙紀はつぶやいた。すると、

 トントン……

 ある部屋の中から音がした。
「あら? 誰かいるのかな……?」
 ふと見ると、

『A104号室』
「あれ? A104号室なんて、無いはずだけど……?」

 沙紀はドアを開けようとした。が、開かなかった。
「いやいや、ちょっと待って。カギがかかってるのに誰かいる訳ないじゃ……」
 行こうとした。するとまた、

 トントン……

 沙紀は仕方なく、上着のポケットからマスターキーを取り出しながら、ふと廊下の奥を見て、えっ? と思った。

 少女が一人、立っていたからだ。
 とっても可愛い少女で、長い金髪が朝日を受けて光っていた。

「あなたは……? なぜここに……?」
「おねぇちゃん、見付けたー」
「えっ、何? 私のこと?」

 見とれてマスターキーを落とした沙紀は、すぐに拾って、視線を戻した。が、もう少女はいなかった。
 沙紀はマスターキーをポケットに戻すと、少女がいた所にいってみた。
 そこは一般トイレの前で、反対側は行き止まりだった。
 無論そのトイレの中を見てみたが、誰もいなかった。

「私……疲れてるのかな……?」

 と行こうとすると、

 ギー……

 振り向くと、さっきの部屋のドアが少し開いていたのだ。

「あれ……?」

 沙紀は仕方なく、その部屋の中を覗きながら、

「失礼しまーす……。どなたか、いらっしゃいますか……?」

 緊張気味に中へ入っていった。

 一等客室の中はさすがに美しく、ベッドやテーブルもきちんと整備されている。
 しかし、やはり誰の姿もなかった。
 念のため沙織は、バスルームも確認した。

「やっぱり空耳だったんだ……」

 ホッとして、退室しようとした時、ベッドルームの方から、

「おい、もう逃がさないぞ!」

 えっ? と振り向くと、ヒゲヅラの男が襲いかかってきた。
 沙紀は驚いて、バスルームに逃げたが、勢いあまって浴槽の中まで入ってしまった。
 すると、まるで底が抜けていたかのように、沙紀はそのまま深い水中へ落ちた。

 ようやく水面に上がると、そこは神戸港で、すぐ前にサンホラワー号が見えた。

「えー?! どういう事?!」

 沙紀は動揺しながらも、陸地に向かおうとした。すると……
 突然クイーンエリトベス号が動きだし、こちらに向って来たのだ。

 キャー!
 
 沙紀はクイーンエリトベス号にひかれる形となった。

 次の瞬間、沙紀が目を開けると、そこはクイーンエリトベス号のさっきの客室で、彼女は床にうつぶせに倒れていた。
 すぐ横に、あの少女がいて、

「おねぇちゃん、もうすぐだよ」
「あっ、あなたは……」

 少女は部屋から出ていった。
 沙紀が呆然としていると、光景が見る見る変っていき……

 いつのまにかそこは、何かの機械の中になり、どんどん熱くなってきていた。

 その時、外から男の話し声で、
「さー、いよいよ出港だぞ」
「了解。パワーを目いっぱいにします」

 その時、沙紀は愕然とした。

「もしや、ここは船内機械室で、私は……!」
 沙紀のいる空間は、さらに熱くなっていき、その体は溶けだした。

 ギャー!!

 その声に機械室のフタッフたちは、驚いてパワーを切った。

 すると沙紀の頭の上にある窓が開き、少女が顔を見せて、

「おねぇちゃん、一緒に遊ぼうね」

 やがて青ランプが点灯するのを待ったスタッフたちは、マシンのカバーを外した瞬間、

「なんだこりぁー?!」
「ど、どうして……?」
「そんなバカな……!」

 そこにあったのは、変わり果てた沙紀の姿だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...