異世界魔導師魅惑の修行

ありす

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さんわめ。

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「私は……えっと……」
「あっ、言いたくないなら言わなくていいよ」
「いえそういうわけではないのですが……私の生まれはこの大陸ではありません」
「じゃあ別の大陸から来たんだ?」
「はい。西にある島国から来ました」
「へぇ~それはすごいや!」
僕は思わず感嘆の声を上げる。
なぜなら僕の故郷も地球でいうところの島国だからだ。親近感を抱かずにいられない!
つまり同じ島国仲間。
「アレックスは何でこの大陸に来たの? やっぱりお父さんを探すためとか?」
「そうですね……。それが一番の目的ですけど、他にも目的があるんです」
「そうなんだ。まぁ男の一人旅だしね。それくらいはあるか」
「はい。あとお師匠様を探すことも大切な目標の一つです」
「お師匠さん?」
「はい。私には魔法を教えてくれる先生がいたんです」
「へぇーそれはすごいね」
「でも今はどこにいるのか分からなくなってしまって……」
「そっか。早く見つかるといいね」
「はい」
そんな話をしているうちに僕らは冒険者ギルドに到着した。
扉を開けると、そこには昨日と同じ受付嬢のお姉さんがいる。
彼女は入ってきた僕らの姿を見つけるなり、笑顔を浮かべて近づいてきた。
「おはようございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「実は僕たち冒険者に成り立てなのですが、何か依頼ってありますか?」
「それでしたらこちらになります」
受付嬢が指差した先にあった掲示板を見てみると、確かに様々な種類の依頼があった。
討伐系の依頼から採取系のものまで実に様々だ。
しかしその中で特に目を惹いたのはやはり護衛系のものだった。
どうやらこの町では定期的に商人たちの馬車が魔物に襲われるらしい。
そのためその度に冒険者が駆り出されるのだが、男女関係なく魔物の慰みものになり無惨な姿で発見されてしまうのだ。
「これなんかどうかな?」
「どれですか?」
「ほらここだよ。『ハーフェンから東に半日の村に向かう商隊の護衛』だってさ」
「東の村ですか。遠いですね……」「う~ん。じゃあこっちはどうかな?
『東の森に生息する熊型モンスターの素材採集』これはかなり近いと思うよ」
「でも森は危険じゃないですか?」
「大丈夫だよ。いざとなったら逃げることもできるし。それにアレックスならすぐに強くなれるさ!」
「……分かりました。ではこの依頼を受けることにします」
こうして僕らの初クエストが決まった。


それからしばらくして準備を整えた僕らは、早速ハーフェンの東門に向かった。
道中は特に問題もなく順調に進んだ。
というのも、目的地である東の村は、町から歩いて一時間ほどの場所にあり、しかも街道の途中にあるからだ。
ちなみに、なぜわざわざ街の外を通らずともそのまま街道沿いに進めばいいのではないかと思ったのだが、なんでも最近になって街道に強力なモンスターが出るようになったらしく、今はまだ通行禁止になっているのだという。
そこで仕方なく遠回りをして町を経由しているとのことだ。
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