婚約者に横領と不貞を指摘したら婚約破棄されたけど、元執事に愛されて会計事務所を開きます！

領主様との話し合い

私は、領主様にご同席をお願いし、アーサー様とローズと話し合う機会をもらいました。

アーサー様は偉そうにしていて、私たちを見下しているような態度でした。

しかし、私はウィリアムと一緒に、領地の財政状況について調べ、アーサー様が公金を私的な目的に使っていることを知っているのです。

私は彼を問い詰めることにしました。

「アーサー様、私たちは不穏な動きを発見しました。領地の財政状況についてお聞きしたいのですが」

アーサーはふんっと鼻で笑いました。
「なんだ、お前らも噂話に走ったか。悪い噂は本当にすぐに広まるものだな」と言いました。

私はきっぱりとアーサーに問いました。

「アーサー様、領地の財政に関して、私たちは不穏な流れを発見しました。公金を私的な目的に使用しているという情報も入手しました。真相をお聞かせください」

アーサーは苛立ちを隠せない様子でした。「何を言っているのだ、私たちは領地の発展のために尽力している。私が利益を得たという証拠があるのか」と言いました。

しかし、私たちは調査結果を提示し、アーサーが公金を私的な目的に使っていることを証明しました。

アーサーは顔を赤くして怒り出しました。

「くそっ、何が真実だ。そんなものは証拠にならない。」と言いました。

するとローズが泣きながら、喋りだしたのです。

「お姉さま、あんまりだわ。アーサー様は領地の運営費用をきちんと計上し、個人で管理しているだけだもの。それに私とアーサー様が不貞だなんて酷い言いがかりよ。私とアーサー様が新規事業のために視察に出かけているからって、勝手に嫉妬しないでちょうだい。」

領主様は涙ながらに話す可憐なローズの姿に動揺したようでした。

アーサー様もローズの肩を抱き、慰め、「みんなのために新規事業をやっているだけだ」と主張しました。

「領主様、私たちはただ真実を訴えているだけです。アーサー様が税金を不正に使用し、ローズと不貞していることは明らかです」

それでも私はあきらめず訴えましたが、補佐官たちはアーサー様に同調し、私たちを攻撃する言葉を繰り返しました。

「私たちはアーサー様を信じます。彼は領地のために多くのことをしてくれています」

「アーサー様が個人的に税金を使っているという噂を聞いたことがありません。それに、ローズ様とも毎回真面目に視察してらっしゃいますよ。」

「そうですよ、セシリア様。あなたたちは、アーサー様が領地を発展させるために尽力していることを理解していないようですね」

証拠は揃っているはずなのに…アーサー様を糾弾する私たちのほうが悪者になっていくようでした。

今まで傍観していた領主様が口を開きました。

「アーサー様はみんなのために新しい事業を始めている。それに反対することはできない」

私はショックを受け、涙がこぼれ落ちました。ウィリアムも同じように落胆している様子でした。

アーサーは態度を変えず、傲然とした表情を浮かべています。
ローズも同様に、私たちを見下すような目を向けてきました。

「領主様、どうか私たちを信じてください！」
最後にウィリアムも領主様に訴えたが、補佐官たちに取り押さえられただけでした。

アーサー様は領主様に向き直り、力強く言い放ちました。
「私を疑い、糾弾の場を設けるような女とは結婚できません。もう彼女とは関係を断ち切りたいのです。代わりに、私を支えてくれたローズと婚約し、領地を運営していくつもりです。」

領主様は、アーサー様の言葉を聞いて、うなずきました。
「アーサーの決断を尊重する。」

私は領主様に、アーサー様とローズが領地の金を横領していることを伝えたばかりなのに、どうして彼らが許されるのでしょうか。

その時、ローズが私を見つめ、不敵な笑みを浮かべました。
「あーあ、お姉さま婚約破棄されちゃったわね。この領地は私たちが運営していくわ。早く出て行ってちょうだい。」

私はアーサー様とローズの冷たく笑う表情から、この出来事が全て彼らの企みであったことを悟りました。

私は失意の中、領地を去ることになったのです。