ゲームの世界に転移したおっさん…でも3000年後の世界でした。

ダンジョンへ⑤

作戦を立ててから一ヶ月が経過…。
現在彼らは食品が尽きていた…。
原因は食料があとどのくらい残っているのかをヒンストくんがリーダーであるサタイアちゃんにしっかりと報告しなかったからである。

「すまない。」

「うーん、一旦街に戻りましょう！手に入った魔石とかも売っておきたいですし！」

「…とは言ってもここは地下30階です。食料がない状態で上を目指すのは危険では？」

「でも、街に行かないと食材がないよ？」

「そう…ここの魔物…倒したら消える…。」

「…はぁ、あんまり食べたくはなかったけどこの際しょうがないわね。みんなこれを…。王都で売ってたから買っておいたの。兵糧丸って言うらしいわよ？…味は保証できないけど栄養満点らしいからこれで乗り越えましょう。」

「…それを買っちまったか…。」

「カイトは食べたことあるの？」

「いや、知り合いがな？そいつはそれを食った瞬間…吐いた。」

「え…。」

「でも、噛むだけでも力がみなぎるって言ってたぜ？」

「そうですか…好んで食べたくはないですね。」

「全くだ。」

…3日後驚異的なペースで街に戻ることになる。それが兵糧丸の効果のおかげなのか兵糧丸が美味しくなかったからなのかは食べた本人にはわからなかった。

「魔石を換金しに行きます！そしてご飯を食べましょう！」

「ん…兵糧丸…いや。」

「テヴィレアもですか？偶然ですね。私もですよ。兵糧丸なんて二度と食べたくない。」

…冒険者ギルドに行くと中で騒ぎが起きていた。どうやら中で男爵らしき男とエルフの女性が口論しているとのことだった。

「貴様！私の奴隷になるのが嫌だと言うのか！」

「もちろんです。あなたの奴隷にならなければいけない理由は？」

「私に逆らったからだ！平民が貴族に逆らっていいわけがなかろう！」

「はぁ…私はこの国の人間ではありません。」

「そうだろう、そうだろう、貴様は亜人なのだからな！」

えぇ…この国って人間至上主義の国なんだっけ？…なわけないよね？

「…カイト？この国ってさ…人間至上主義だったりするの？」

「…いや、そんなことは無かったはずだ。この国の王は獣人でもエルフでもドワーフでも待遇は普通の人間とほとんど同じで獣人やエルフに人気の国のはずだ。…ドワーフは商業国家や海洋国家が人気だ。」

「…カイトは子供たちの換金を手伝ってやってくれ。止められるか頑張ってみるよ。」

「わかった。お前らはついてこい。」

…さて、どうしたものか。
まぁ、とりあえず話してみるか。

「失礼…貴様はこいつらの殺気立ってる目が見えないのか？」

「なんだ貴様は！貴族である私に逆らう気か！」

「男爵などいくらでもいるだろう…。」

「なんだと！？私は名誉あるキャテネキドン家のジカズ男爵だぞ！」

「そうか…それで？貴様は陛下の意思に背くのかと聞いているのだが？」

「平民にそんなことを答える義務はない！」

「…そうか、では、話してくれたまえ。」

「だから平民に…！」

「平民ではなければいいのだろう？私は貴族…子爵位を陛下より承っている。確認したければしてくれて結構。私はフラフィー家のマサヤという。さて、ここから即刻立ち去りたまえ。」

「…また来る！そこのエルフ！次来る時には私の奴隷になる準備をしておけ！」

…また来るつもりなのかよ。
やることが一つ残ってるな…。謝らないと。

「エルフ殿…この度は申し訳なかった！」

「え？あ、いや、頭を下げなくても！貴族様に頭を下げられるなんてとんでもない！頭をあげてください！」

「私は法衣貴族であるからこれ以上してやれることは無いのだ。許してくれ。」

「…気にしないでください。私はこの国のことが好きですから。」

「…そうか。」

「マサヤさん！魔石の換金が終わりました！凄いですよ！お昼ご飯を食べに行きましょう！」

「えぇ！わかりました！…では、これで。」

「助けてくれてありがとうございました。」