ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第三章 戦争編

第60話 ミレイの家を作る!

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「ベンキョウ……?」

 なにそれ食えんの? 的な感じでメグが首を傾げている。

「あ、わたし文字をかけるようになりたいです!」

 え、文字も書けないの?
 九九が言えないとかって結構なレベルを予想していたが、あっさりと上をいく。
 大丈夫だろうか、この子。
 いや、この世界では文盲とか普通なんだろうか。
 中世くらいだと識字率はそんなに高くないのかもしれない。

「……なあ、文字が書けないってこっちだと普通なのか?」

 とりあえず小声でルーナに聞いてみる。
 ルーナはまだ俺を睨んでいたが、渋々答えてくれた。
 ちょっと傷つくんだけど。

「貴族とかなら当たり前のように読み書きできるが、庶民はほとんど書けない」

 ふむ。
 やっぱりそうか。
 というか、文字が書けないって事は、読むことも出来ないだろう。
 それでは本も読めない。
 文字くらい覚えとかないと何かと不便だろう。

「まあ、文字くらいなら俺でも教えられるな」

「いや、私が教える。なんかお前とメグを一緒にしちゃいけない気がする」

 ルーナはジロリとした目で俺を見る。
 なんと失礼な。
 全裸のメグを見ても微動だにしなかったオリハルコンの意思を持つ俺に向かって。
 ……ただ高確率で怒られるので、メグの全裸を見たことは黙っておいた方が良い気がする。

「メグ、今度私と読み書きの勉強をしよう?」

「奥さまは読み書きできるですか? さすがです。貴族さまみたいです」

「……ま、まあな」

 ルーナの額にじんわりと汗が浮かんでいた。
 そういえば、ルーナは貴族のお嬢様だって事を隠していた。
 まあ、もうバレバレだけど。
 貴族じゃないと読み書きできないとか自分で言っちゃってたし。
 というか、名前といい身分といい結構ルーナは隠し事が多い気がする。
 さすがにそろそろ腹を割って話し合ったほうが良いかもしれない。

「コウさまも読み書きできるですか?」

「当たり前だろ!」

 ここぞとばかりにドヤ顔をして、髪をかきあげてみた。
 まさか読み書きができてドヤれる日が来ようとは。

「お、おー! コウさま、すごいです!」

 ただ、ちょっとやりすぎたらしい。
 さすがにドヤ顔はうざかったのか、無邪気に歓声を上げるメグがちょっと空気を読んだ感じになっている。
 その優しさが胸に刺さる。

「……ううっ」

 しかし、なぜかルーナが顔を赤らめていた。
 意図せずルーナに誤爆したらしい。
 さっきまで俺を睨んでいたのに安定のチョロさだった。
 というか16歳の女の子でも引いているのに、2倍生きているルーナはそれでいいのだろうか。
 久しぶりにルーナの将来が心配になった。

「もしかして、他のみなさんも読み書きできるんですか?」

「私は教会で一通り習いました」

「当然です。数百年生きていますから」

 控えめなミレイとは対象的にフィリスは俺と同じくらいのドヤ顔を見せる。
 セレナは黙って頷いてから、メグにニコっと笑いかけた。

「うー、みなさんすごいです」

「ちょっと勉強すれば、メグもすぐに文字の読み書きくらいできるようになるさ」

 そう言いながらメグの頭を撫でてみた。
 メグはくすぐったそうにしている。

「はい!」

 自分が文字を覚えた時の記憶なんて、遥か昔過ぎて覚えていないが簡単だった気がする。
 たぶんだけど。



 ルーナのサンドイッチを皆で食べながら、ミレイにどんな家が良いか聞いてみた。

「私の家ですか? 普通に住めれば贅沢は言いませんが」

 ミレイ的には特に要望はないらしい。
 そう言えばメグからもなかったな。
 匠としてはセレナくらいバンバンわがままを言ってもらいたいのだが。
 オール電化がいいとか、デザイナーズ物件がいいとか。
 どっちも無理だけど。

「……ただ1つだけわがままを言ってもいいでしょうか?」

 ミレイが遠慮がちにそんな事を言う。
 まださっきの情事を引きずっているのか頬が少し赤い。

「なんでも言ってくれ」

 クライアントの要望は、匠として全力で応えてやる。

「そ、その、できるだけコウさんの近くがいいです」

 ミレイはチラッと俺に熱い視線を向ける。
 ちょっとどころじゃなくそそられる。

「……なぜ?」

 しかし、ルーナから発せられるオーラが氷点下まで下がっていた。
 どうしよう。
 メグとミレイのせいでさっきからルーナの機嫌がだだ下がりだ。
 ……ひょっとして俺のせいでもあるのだろうか。

「あ、いえ、変な意味じゃないです。その頼りがいがある男性が近くにいた方が安心するなって思って」

 変な意味じゃなかったのか。
 ちょっとがっかりした。

「まあ、それはそうだろうけど」

 ルーナはそう答えながらもブスっとしている。
 そういえば、この中で男は俺だけだ。
 というか、メグの家を建てるときは、井戸の近くの方が便利だと思っていたが、よく考えたら俺の近くの方がよっぽど便利かもしれない。
 水も出してやれるし、火も起こしてやれる。

「じゃあ、うちの向かいにでも建てるか。ちょうど空き地があるし」

「はい!」

 ミレイが嬉しそうに手を叩いている。

「あとは、家の形とかどうする?」

「形ですか……。ええと、本当にどんな形でも結構ですけど」

 ミレイからは特に要望がないらしい。
 それはそれで困った。
 どうしよう。

「ミレイって教会にいたんだろ? じゃあ、教会を建ててやろうか? どーんっとでっかいやつ」

「……それはちょっと。畏れ多いです」

 ダメか。
 いい案だと思ったんだが。
 うっすらと記憶にあるサクラダファミリアみたいなのを建ててやろうと思ったのだ。

「うーん、メグの家と同じでいいんだったらすぐに作れるけど」

 さっき作ったばかりでイメージもし易い。
 大した苦労もなくすぐに作れそうだ。

「……これもちょっと。一人で暮らすには大きすぎですわ」

 まあ、たしかに家族向けだしな。

「本当にあれくらいの普通の家で結構ですので」

 ミレイは近くの廃屋を見ている。
 廃屋はザ・中世の農家と言った感じだ。
 なんの面白みもない。
 とはいえ、家に面白みを持たせるのもどうかと思う。

「わかった。じゃあ、あんな感じで作るよ。土魔法で作るけどいいかな?」

 廃屋は木造だった。
 セレナの別荘用に丸太は大量にあるので、同じく木造でもいいのだが、土魔法の方が早い。

「はい。結構です。……土魔法で家を作るなんて初めて聞きましたが」

 そんなに魔法で家を作るのは変なことなのだろうか。

「土魔法便利なんだけどなー」

 ちらりとルーナを見る。

「貴重な魔法使いに家なんか建てさせるものか。だいたい、そんな事をしたら大工の仕事がなくなってしまうぞ」

「それはそうだけど。魔法使いが貴重っていうのがいまいちピンと来ないんだよなー。ここいるほとんどの人間が魔法使いじゃないか」

 言いながら、この場全員を見渡す。
 ルーナ、ミレイ、セレナは魔法を使っているのを見たし。
 この場にはいないがカンナさんも魔法使いだ。
 フィリスは……どうなんだろう。
 そういえば、フィリスが魔法を使っている所を見たことがない。
 吸血鬼なので普通に使えそうだが。

「私には筋肉がありますので」

 俺の視線に気づいたフィリスは、そんな事を言って腕を曲げて力こぶを見せてくる。
 要は魔法は使えないらしい。
 ちなみに、全然力こぶなんて見えずに、普通の女の子の細腕にしか見えなかった。
 あの怪力がどこから出てくるのか不思議だ。
 俺と同じようにステータス補正だろうか。

「……ごめんなさい」

 メグがしょぼんとしている。
 全然謝ることじゃない。

「奥様も魔法使いなんですか? ……魔法使いの夫婦がなんでこんな辺境にいるんですか?」

 ミレイが心底不思議そうな顔をしている。
 それを言うな。
 引きこもっているだけだ。

「まあ、たしかに私たちは魔法を使えるけど、魔法使いの割合なんて千人に一人くらいよ?」

 セレナが食後のお茶を飲みながら教えてくれる。
 本当に魔法使いは貴重らしい。
 俺の周りにはなぜかいっぱいいるが。



 お昼を食べ終えた後は、ミレイの家を作ることにした。
 セレナとフィリスは俺の家に戻り、ルーナとミレイとメグは俺についてきた。
 ルーナは不機嫌そうにプリプリしながらも、俺の手をギュッと握っている。
 ルーナは何をやっても可愛くて困る。

 俺の家の前の空き地で、土魔法を発動させる。
 とりあえず、いつもの基礎工事をした後、家本体を生成した。
 イメージは中世の農家の家だ。
 廃屋を参考にした。
 そんなに複雑な家でもないので、すんなりと生成出来たのだが、そのままではつまらない。
 柱や梁などは黒曜石で作ってみた。
 お陰でMPはほとんど空っぽになってしまったが、薄茶色の土壁に黒曜石の柱はアクセントになって、なかなかかっこいい。
 圧縮土壁よりも硬い黒曜石を柱にしたので耐震も上がっているはずだ(勘)。

「こんな感じでどうだ?」

「ええ、素晴らしいです。……あっさり家を作ってしまうので、ちょっと驚きましたが」

「コウさま、すごいです。一流の大工さんです」

 メグが褒めてくれる。
 ちょっとどころじゃなく嬉しかった。
 一流の大工だなんて、照れるじゃないか。
 匠としては最高の褒め言葉だ。

「……私は大工の妻になった覚えはないのだが」

 まんざらでもなく照れていたら、ルーナが呆れながらそんな事を言っていた。
 お、俺だってお前を妻にした覚えはないんだからねっ!



 しばらく休憩してMPを回復してから、ミレイの家の細部を整えていく。
 入り口は、メグの家と同じようなドアを設置し、内部に家具やキッチン、風呂なんかを作っていく。
 キッチンには水瓶を作って、中になみなみと水を貯めておいた。
 後でメグの家にも作ってやらねばならない。

「……こんなところかな。水が足りなくなったり、火が使いたくなったら俺を呼べ。風呂に入る時も呼べば、お湯を入れるから」

「何から何まで、ありがとうございます。一応、自分で出来ることは自分でしますが……お風呂はお願いしてもいいでしょうか?」

 メグの時と同じように、目の前でお湯を生成してみせたらミレイは驚いていた。
 風呂に毎日入れるというのはかなり嬉しいらしい。

「おう。任せておけ」

 これから毎日3件分のお風呂を沸かさなくてはいけない。
 しかし、人間ボイラーである俺にしか出来ない仕事なので仕方ない。
 ……本当にもっとかっこいい例えはないのだろうか。

「あとは……食事は毎日ちょっと多めに獲物を狩るとして、セレナから貰っている食材も分けてあげられるか?」

「2人じゃ食べきれないくらい貰ってるから問題ないぞ。塩とかも言えば分けてもらえるだろうし」

 塩か。
 そういえば、今まで考えたことなかった。
 ルーナの料理には普通に塩が使われていた。

「今まで、料理に使っていた塩ってどうしてたんだ?」

「手持ちの岩塩があったから、それを使ってたんだ。ただ、さすがにそろそろなくなりかけてるから、セレナに頼もうと思って」

 ふーむ。
 確かに言えばセレナはくれそうだけど、ちょっと頼り過ぎな気もする。
 塩って水と同じく生きるのに必須なもののはずだし。
 それくらいは自前でなんとかしたい。
 ただ塩ってどうやって作るんだったか。
 海水を蒸発させたりすればいいんだろうけど。

「ちなみに近くに海ってあるか?」

「海? ここは大陸の真ん中だからな。結構な旅をしないと海にはいけない」

 ここは大陸で、しかも真ん中らしい。
 初めて知った。

「うーん、近くに塩湖とかあったりしないか?」

「えんこ? 塩の湖ってことか? そんなのは聞いたことないぞ」

 塩湖もないらしい。
 探せばどこかにあるかもしれないが、そんな大冒険はしたくない。

「……あのう、ご存知だとは思いますが、塩を自分で作るのは犯罪ですよ?」

「そうなのか!?」

「塩は国の専売だ」

 そういえば、日本でも専売制だった気がする。
 なんでだろう。
 税金をかけやすいんだろうか。

「……さっきからみなさんがなにを言っているのかわからないです」

 メグが目を回している。
 がんばって勉強しような。

「うーん、とりあえずはセレナに泣きつくしかないか」

 また吸われる血の量が増えそうだが。
 塩の問題はいつかなんとかしたい。

「塩はともかく、他の食材についても当面は分けていただくことになりますが、落ち着いたら畑を耕してみようかと思ってます」

「畑?」

 ミレイが申し訳なさそうにそんな事を言い出した。
 遠慮しているのだろうか、気にすることはないのに。
 とはいえ、たしかに他人に食べ物を恵んでもらうのは気持ちいいことじゃない。

「はい。もともと植物を育てるのは好きですし、畑にも昔から興味があったんです。コウさんに囲って頂いたので、夜はアレですが、昼は暇だと思いますし」

「……ちょっと待て、夜は何する気なんだ?」

 ルーナがミレイを睨みつける。
 本当に、夜は何をしてくれるつもりなんだろう。
 期待で胸が膨らんでしまう。

「…………」

 口を滑らせるつもりじゃなかったのか、ミレイはしばらく気まずそうに沈黙した後、紛らわすようにニコっと笑った。
 うむ。美人の笑顔なので許そう。
 ルーナは睨んだままだが。

「とはいえ、この辺は荒れ地しかない。一から畑を耕すのは大変なんじゃないか?」

 そもそもミレイの細い腕で畑仕事なんて出来るのだろうか。
 農耕具もないだろうし。

「……そこはなんとか時間をかけてやってみます」

 ミレイはそんな事を言うが、一瞬不安そうな表情を見せたのを見逃さなかった。
 後で手伝ってやるか。
 ステータス補正で筋力の上がっている今の俺なら、少しは手伝えそうだ。
 畑なんて耕したことないし、農業知識も皆無なので、そこはかとなく不安だが。

「わ、わたしも家が農家だったので、手伝います」

 メグが必死に手を上げている。
 意外な所に経験者がいた。

「ありがとう。メグさん」

 ミレイはそう言いながらメグの頭を撫でていた。
 俺も手伝うと言えば、頭を撫でてもらえるのだろうか。
 ルーナがますます不機嫌になりそうだから、やらないが。



「そういえば、寝床はどうしようか」

 寝台を土魔法で作ることはできるが、マットレスは作れない。
 やんごとなき事情があって、その辺にあった藁も全て使ってしまったし。
 うちで使っているベッドはセレナからの貰い物だ。
 ミレイとメグのベッドについても言えばくれるかもしれないが、もはやそこまでいったら俺がメグとミレイの面倒を見るのではなく、まとめて皆でセレナに養われている事になるので、さすがにやりたくない。

「あ、うちの物置に使ってないマットレスがあったな」

「ば、ばか! あれはダメに決まっているだろう!」

 いつだったかルーナが噴水のモノマネをしたせいでダメにしてしまったマットレスが裏の物置にしまわれていたのだが、さすがにルーナに止められてしまった。
 たしかに俺とルーナの色んな液がついたマットレスを他人に渡すのは忍びない。
 そういえば、物置には大量のウールもあったな。

「なあ、物置のウールを使って、マットレス作れないかな?」

「うーん、作ったことないからわからないな」

 ルーナは自信なさげに、眉根を寄せている。

「とりあえず、作ってみるか。ウールは腐るほどあるし」

 スキル上げの為に大量に作りまくったのだ。
 ちなみに、ルーナにコスプレをさせる為に今後もどんどん増えていく予定だ。


 物置からウールを抱えて戻ってきた。
 とりあえず、土魔法で寝台を作る。

「じゃあ、やってみるけど、あまり期待はするなよ?」

 ルーナが不安そうに、裁縫スキルを発動させる。
 ルーナの両手が虹色に輝き、魔力が集中していく。
 魔力は無造作に寝台の上に積まれたウールに流れ込んでいき、次第にマットレスっぽいものが出来上がっていった。

「ふう、どうかな?」

 僅かに額に浮かんだ汗を拭いながら、ルーナがミレイに聞く。

「じゃあ、失礼して」

 ミレイはぽすんとルーナ作のマットレスに横になった。
 マットレスというか布団に近いかもしれない。
 形はマットレスっぽいのだが、おそらくスプリングが入っていないからだろうか、ミレイが寝そべると思い切り形を変えていた。

「凄い。ふわふわです」

 マットレス? に包み込まれたミレイは気持ちよさそうにしている。
 俺もちょっと寝てみたい。

「寝れそうか?」

「はい。ぐっすりだと思います」

 ミレイは満足そうだ。
 ルーナは褒めてほしそうにこちらをチラチラ見ているので、頭を撫でてやると嬉しそうにしていた。
 というか、このふわふわマットレス色んなものに応用できそうだ。
 そのうちソファーとかも作れないか試してもらおう。

 その後、ルーナに枕やシーツ、掛け布団等の寝具一式を作ってもらった。

「あとは部屋着とかも作れるけど、いるかな?」

「ありがとうございます、奥様。ぜひお願いしますわ」

 ルーナは楽しそうに部屋着を生成していく。
 服を作るのが好きらしい。
 ちょっと機嫌が直ったようなので良かった。

「そう言えば、ミレイは生産魔法使えないのか?」

 ふと気になったので聞いてみる。

「私は何も使えません。生産魔法なんて職人さんか、高度な教育を受けた貴族様とかじゃないと覚えませんから」

 楽しそうに部屋着を生成していたルーナがぴくっとする。

「え、エルフ様の世情には詳しくはないので、わかりませんけど」

 何かを察したミレイは慌ててそんなフォローを入れている。
 もうルーナは完全に貴族なのだろう。
 というか隠す意味が本気でわからない。

「……せじょうってなんですか?」

 メグがそんな事を言っていた。
 ググれと言いたくなるが、可愛いので許す事にした。

 何はともあれ、これでメグの家もミレイの家もなんとかなったかな。
 2軒の家をたった1日で建ててしまった。
 もはや本職の大工さんもびっくりだろう(ドヤ顔)。
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