ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第五章 領地発展編

第154話 常夜の森の冒険

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 鬱蒼とした森の中をただひたすら歩く。
 相変わらずこの森は、昼間だと言うのに薄暗い。
 どこか不気味な感じだ。

「ねえねえ、フィリスお姉ちゃん。あのキノコはたべられるの?」

「あれは森シイタケですね。食べると虐(しいた)げられて死にます。だから食べちゃダメですよ。小人間」

 しかし、目の前でフィリスとアンが仲よさげに会話している様を見ていると、そんな不気味さも気にならなくなる。
 むしろ微笑ましい。

「あっちのキノコは?」

「森マツタケですね。食べると祀(まつ)られて死にます。だから食べちゃダメですよ」

「すごーい! フィリスお姉ちゃんはなんでもしってるね!」

「ふふん。なかなか良いことを言いますね、小人間。私の知識は結構ちょっとしたものなんですよ」

 そう言って、フィリスは薄い胸を張っているのだが。
 シイタケとマツタケって絶対にそんなキノコじゃなかった気がする。
 異世界だと違うのだろうか。
 森ってついてるし。
 つうか、祀られて死ぬってなんだよ。
 まあ、アンもフィリスも楽しそうだから口を挟まないけど。

 そういえば、ラッセルんちはキノコ農家だとか言ってたな。
 連れてきた♀ラッセルなら、森シイタケと森マツタケの真実を知っているかもしれない。
 そんな事を考えながら振り返ると。

「いやああああ! ふ、服が溶かされるー!」

「くそ、この化物! ジョディーさんを離せ!!」

 ♀ラッセルは緑色の触手のような蔦に縛り上げられて、デカい花から変な液体をかけられていた。
 確かに服がじゅーじゅーと溶けている。
 そんな♀ラッセルを助けようと、ピートが必死に剣で触手に斬りつけていた。

 うーむ。
 1ミリも興味がなかったから、ピートと♀ラッセルの方は全く気にしなかったけど。
 なんか大変な事になってますな(笑)

「あれは森ラフレシアです。近づくと蔦に捕まって服を溶かされてエッチな事になっちゃいます。ついでに最後は骨まで溶かされて死にます。だから近づいちゃダメですよ、小人間」

「う、うん」

 得意げに説明するフィリスにアンが怯えながら頷いている。
 ついでに死んじゃうのかよ。
 じゃあ、助けてやったほうがいいかなー?

 というか、せっかくだから王様に貰った剣の試し切りをしてみよう。
 国剣ラグニード。
 攻撃力補正+634という凄まじい数値を誇っている。
 金の意匠の施された純白の剣は、薄暗い森の中だというのに神秘的な輝きを放っていた。
 ちょっとうっとりするほどかっこいいわー。

「だ、だめー! そこまで溶かされちゃったらアソコが見えちゃううう!!」

 せっかくいい気分でラグニードに見入っていたのに、♀ラッセルの叫びに邪魔されてしまった。
 気分が台無しである。
 というか、どうでもいいけど♀ラッセルは声までラッセルと同じなのは如何なものか。
 せめて女の声だったらそそるセリフなのに。
 全然アソコが見たくならないので、ラフレシアを応援する気にならないじゃないか。
 ルーナが治ったら連れてこよう。

「どけ、ピート」

「こ、コウ!?」

 ピートをどかしてラグニードの鞘を抜き放つ。
 美しい音色と共に、綺羅びやかな銀色の刀身が顕になった。
 刀身にはヴァンダレイジジイの剣と同じようなカッコイイ文字が浮かんでいた。
 すげえテンションが上がるんだけど。

 ラグニードを構えて、ラフレシアと相対する。

 なんかこの花。
 俺と同じくらいの身長があるんだけど。

 森ラフレシアは成人男性の胴ほどもある太い茎をしていた。
 茎にはびくんびくんと血管のような太い筋も浮き出ていて、どこか卑猥だ。
 てっぺんには60センチのビニール傘程のデカい花が付いている。
 花が俺を威嚇するように振り向いた。
 植物っぽいのに普通に動くらしい。

「た、たすけてー! アサギリ卿ー!」

 ♀ラッセルの声にやる気が削がれるが、構わずラグニードを振り下ろした。
 デカい花びらから、地面の根本まで。
 綺麗にラグニードの刀身が吸い込まれていく。
 音は全くしなかった。

『131ポイントの経験値を取得しました。』

 森ラフレシアは謎の液体を撒き散らしながら、ぱっくりと真っ二つに割れた。

 一撃とか。
 結構な経験値が入ったのでそれなりのモンスターだったのだろうが。
 この剣すげええええ!

 かなりテンションが上がったので、ラグニードをブンブン振り回してみた。
 大木だろうが、大岩だろうが、その辺にあるものはスパスパとなんでも斬れる。
 これは良い剣ですわ!!
 王様にはマジ感謝だ。

「あ、アサギリ卿……ありがとうございました。……そ、その、すごく素敵でしたわ」

 そういえば捕まっていた♀ラッセルが、あちこち溶かされて丸見えになった局部を隠しながら近づいてくる。

「ああ、うん、気にすんな」

 ラグニートを鞘に収めながら言った。
 鞘と鍔がぶつかり、チンと小気味良い音がする。
 いやあ、本当に良い剣ですわ。

「ちょちょちょ――!? ど、どこ見てるんですか!? アサギリ卿のエッチ!」

 ♀ラッセルがイラッとすることを言い出した。
 事実無根も甚だしいんだけど。
 確かにきわどい格好をしているかもしれないが、♀ラッセルがやるとジャングルの王者○ーちゃんのコスプレかな、と思うだけである。
 なので当然の如く無視するとして。

「というか、やっぱりモンスターもいるんだな」

 フィリスに振り返りながら聞いてみる。

「そりゃいますよ。この森は結構強いモンスターがうようよいるので、人間はあまり近づかないんですからー」

 そういえばルーナも芋虫のモンスターがいるとか言ってたもんな。

「……そういえば、そんな危険な森に一体なんの用があるんだよ?」

 ピートが鋼の剣を鞘に納めながら聞いてくる。
 ピートは俺と違って完全武装で、鋼装備一式を身に付けていた。
 マジ大げさ(笑)
 というか、今更な事を聞いてくるが、この森に何しに来たのか言ってなかったっけか。

「……わたしはお兄ちゃんがアメくれるっていうからついてきたの」

「アサギリ卿が抱いてくれるとおっしゃったんじゃありませんか」

「コウ様がうんちくれるって言うから……」

 どうしよう。
 誰も本当の目的を知らないんだけど。
 というか、フィリスにうんこやるなんて一言も言っていないんだが。

「いや、ルーナが重い病に冒されてな。万能薬を作るためにユニコーンを狩りに来たんだよ」

「ええ!? ルーナさん重い病気なの!? 大変じゃないか……」

 ピートが驚愕しているが、何を今更である。

「そうだぞ。大変なんだ。だからでっかい花とコントしてる場合じゃないんだよ」

「コントって……」

 なぜかピートがしょんぼりしていた。

 まあそれはいいとして。
 モンスターが出るなら、さすがにアンには危険だろうか。

「……どうしたの?」

 見つめると、アンは可愛らしく小首をかしげる。
 ゆくゆくは俺の女になるアンに傷でもついたら大変だ。
 ヴァンダレイジジイもキレるだろうし。

「私のそばにいればモンスターは近づいてきませんよ。なにせ私はこの森の支配者たる吸血鬼ですからね!」

 フィリスが自慢げな表情で胸を張る。
 そのドヤ顔は可愛いかった。
 というか、さすがフィリスさんだ。
 頼りになる。
 フィリスの傍にいればアンも安心だろう。
 ピートと♀ラッセルもアンみたくフィリスにくっついていれば襲われなかったのに。

「……いや、フィリスさんってセレナさんとかと違って、ちょっと怖くてさ……」

 ビビりながら言ったピートの言葉に♀ラッセルがコクコクと頷いている。
 こんな可愛らしいフィリスのどこが怖いっていうんだ。

「聞き捨てなりませんね、人間。凶悪なカンナ姉様ならともかく、私のどこが怖いんですか? あまり失礼な事を言うとぶっ殺しますよ?」

「そうだ。失礼だぞ、ピート」

 とりあえずフィリスに乗っかっておく。

「ご、ごめん……?」

 ピートが納得のいかない顔で謝っていた。

 ――グルルルル。

 その時。
 どこからともなく獣の唸り声が聞こえた。
 多分、凶暴な獣だ。
 まあ、フィリスさんがいれば襲われないだろうけど。

「ああ、あの唸り声は森オオカミですね。群れで行動するモンスターで――あいたっ!」

 ドヤ顔で話そうとしたフィリスに、俺は我が目を疑った。
 フィリスの亜麻色の髪に変なモノが生えている。
 なんだろう。
 まるでオオカミのような……。

「ガウガウ!」

 というか本物じゃん!!
 オオカミじゃん!!
 つうか、フィリス齧られてるじゃん!!

「もー! お馬鹿さんなオオカミですね。私に手を出すなんて!」

 フィリスがパシッとオオカミを軽く払う。

「キャウン!」

 たったそれだけの仕草で、オオカミは数メートル宙を舞った。
 すごい怪力である。
 それは良いんだけどさ。

「まあ、とにかく。私がいればモンスターに襲われることなんてないですよー!」

 そう言ってフィリスはぽんと胸を叩くのだが。
 そんな頭をしゅーしゅーと再生させながら言われても全然説得力ないんだけど。

 ――ウオーン!

 そんな時、辺りにオオカミの遠吠えが木霊した。
 そして、複数の唸り声が聞こえる。
 なんか囲まれてる気がする。
 そういえば、フィリスが群れで行動するとか言ってたな。

「フィリス、ピート! アンを囲んでオオカミから守るぞ!」

 2人に声をかけて、アンを背中で庇う。

「あれー? 変ですねー。この私がいればモンスターなんて寄ってこない気がしたんですが……」

 フィリスは不満そうにしながらも、大人しく俺と同じようにアンを庇う。
 というか、寄ってこない気がしたて。
 あやふやじゃねえか!
 まあ、可愛いから許すけど。

「よし、アンちゃんは絶対に守る!」

 あんまり期待はしてないが、ピートがそんな事を言ってアンに背中を向けながら剣を構えていた。
 一応これでアンを3人で囲む形になった。
 防御陣形の完成だ。

「お、お兄ちゃん、こわいよう……」

 アンが怯えながら、俺の背中の裾を掴んでくる。
 よしよし。
 絶対に守ってやるからな。

「……あの……呼ばれなかったんですが、私はどうすれば……?」

 ♀ラッセルがおずおずとそんなことを聞いてきた。
 そういえばいたな。

「お前はその辺でオナニーでもしてろ」

「……な、なんて男らしい」

 ♀ラッセルはなぜか顔を赤らめていた。
 男らしいかなあ?

「ガルルルル!」

 その時、辺りの茂みからオオカミが牙を剥いて襲い掛かってくる。
 まずい。
 ピートの持ち場だ。
 早くも陣形の穴を突かれた。
 オオカミ天才なんだけど。

「せいっ!」

 しかし、信じられない事にピートがオオカミを一刀のもとに斬り捨てる。
 おお。
 やるじゃないか、ピート!!

「見直したぞ、ピート! ただの雑魚キャラだと思ってたのに」

 素直に褒めてみた。

「へへっ、毎日死ぬほど修行してるからな! ……なあ、雑魚キャラって……?」

「――グルルルル!」

 おっと、俺のとこにもオオカミが襲い掛かってきた。
 結構すばしっこい。
 ピートのやつ、よく当てられたな。
 あれ。
 そういえば、俺まだ剣抜いてなかったわ(笑)

「ガウ!」

 オオカミが大口を開けて飛びかかってきた。
 今更剣を抜くのもめんどくさいで、そのまま片手でキャッチして頭を握りつぶす。
 オオカミはグロテスクな事になった。

『1ポイントの経験値を取得しました。』

 うーん、しょっぱい経験値だ。
 大体オークと同じくらいだろうか。
 まあ、それなりに素早いけど。
 それにしても

「やるじゃないか、ピート。大したもんだ」

 オーク並のモンスターに勝てるとは思わなかったので、再びピートを賞賛する。
 ちょっとびっくりですわ。

「本当ですねー。人間にしてはなかなかですよー!」

 フィリスが左手でしゅぱぱぱとジャブを繰り出しながら、ピートを褒めている。
 ジャブの度に、かなりの数のオオカミの頭部がスイカみたいに砕け散る。

「……いや、全然強くなってる気がしないから、2人ともせめて武器使ってくれない……?」

 褒めてやったのにピートは浮かない表情をしていた。
 文句の多いやつである。
 そういう事を言われると、意地でも剣を抜きたくなくなるんだけど。

 そんなわけで、俺とフィリスは素手でオオカミの群れを殲滅した。
 多分、10分位しかかからなかったと思う。

「……素敵でしたわ。惚れ直してしまいました」

 オオカミを片付け終わった後、♀ラッセルにそんなことを言われたが、全く感情が動かなかった。

「ああ、うん。どうもー」

 とりあえず無表情でお礼を言っておいた。
 そう言えば戦闘中、♀ラッセルの存在をすっかり忘れていたが、無事だったようで何よりだ。

「お兄ちゃんとフィリスお姉ちゃん、すごくかっこよかったー! まもってくれてありがとー!」

 守られていたアンが可愛らしく笑って抱きついてくる。
 可愛かった。
 そんなにでもないが、がんばった甲斐があったというものである。
 アンの笑顔を見ていると、おじさんがなんでもこうたるで! という気持ちになるから不思議だ。
 なぜ関西弁なのかは謎だ。

「……俺も3匹倒したんだけどな……」

 ピートが羨ましそうに俺に抱きつくアンを眺めていた。
 ロリコンなのだろうか。
 引きますわー。

 まあ、ロリピートは置いておいて。
 このまま進むのは危険だろうか。
 一度、引き返してアンを置いてきたほうがいいかもしれない。

「この小人間は私が責任を持って守ります。ルーナお嬢様のために進みましょう!」

 フィリスが頼もしい事を言ってくれる。
 だよね。
 ルーナが大変なんだから戻ってる場合じゃないよね。
 さっきも頼もしいことを言っていたけど、実は頼りにならなかったフィリスさんだが、戦闘力は折り紙付きだ。
 フィリスに任せておけば、アンも大丈夫だろう。
 もちろん、俺も全力で守るし。

「……あ、あの私のことも守ってくださいますよね……?」

 ♀ラッセルが心配そうに聞いてくる。
 そういえばいたな。
 というか、なんでこいつ、はじめ人間ギャート○ズみたいな服着てるんだろうか。
 ふざけてんのか。
 ルーナが大変だっていうのに、不謹慎な。

「お前はピートに守ってもらえ」

「え……?」

「いや、守るけどさ…………あの、ジョディーさん、そんな不安そうな顔しないでくれる……?」

 ♀ラッセルはピートにまかせておけば十分だろう。
 ピート思ったより強かったし。
 ついでにそのまま処女と童貞を捨てちゃえばいいんじゃないかな。
 どうでもいいんだけど。



 そのまま俺たちは森の中を進んだ。
 森はどんどん深くなり、様々なモンスターが襲い掛かってきた。

「コウ様、森イノシシですよ!」

『13ポイントの経験値を獲得しました。』

「あ、今度は森クマがっ!」

『36ポイントの経験値を獲得しました。』

「あっちに森リスがいますよっ!」

『524ポイントの経験値を獲得しました。』

 え、森リス強すぎない??
 つうか、クマとリスはモンスターじゃなくて動物だって以前ルーナが言ってたような?

「もー! コウ様も困ったさんですねー。普通のクマとリスと森クマ、森リスを一緒にしちゃダメですよー。こっちはれっきとしたモンスターですよ?」

 なんでも森をつければいいと思ってないだろうか。
 フィリスはやれやれと言ったように、両方の手のひらを空に向けている。
 イラッとする仕草のはずだが、フィリスは顔が整っているので、悔しいけど可愛かった。
 というか、さっき倒した森クマと森リスってどう見ても普通のクマとリスだったんだけど。

「よく見てくだいよ-。森クマと森リスは普通の動物より毛先が3ミリくらい長いじゃないですかー。くすくす」

 いや、絶対に見分けつかねえだろ!
 美容院に行ってきた彼女かよ。
 毛先を3ミリ位切って整えてきたって言われても絶対に気づかねえから。

 それにしても、森リスには驚いた。
 レベル上がりそうな勢いの経験値もらえたんだけど。

「……見た目はすげえ可愛らしかったのに」

「あそこにいる森チワワも見た目は可愛いですよ?」

 森チワワ!?
 もはや森にはいないはずの犬にまで森を付けだしたんだけど。

 そんなツッコミをしながら、フィリスの指す方向に目を向ける。
 そこには可愛らしいチワワが、つぶらな瞳でプルプルと震えていた。
 なんとうか。

「……かわいいな」

 正直に言って、キュンとした。
 どう見ても普通のチワワなそれは、庇護欲をめちゃくちゃ掻き立てる可愛さだった。
 思わず赤ちゃん言葉で話しかけちゃいそうな――。

「よちよち、いいこでしゅねー。おいでおいで」

 ――というか、既に話しかけていた。

 森チワワは俺に気づくと、とことこと短い足で駆け寄ってくる。
 くそ、駆けてくる姿も可愛いな。
 このまま連れ帰って飼っちゃいそうな勢いだ。
 そういえば、家で犬を飼っていれば、それを餌に女を連れ込めるって聞いたことがある。
 あれ、犬を飼わない理由が見つからない……!

「クゥーン、クゥーン、ガジガジ」

 俺のとこまで来た森チワワは可愛らしく鳴きながら、俺の手をがじがじと噛んでいる。
 痛覚耐性があるおかげで全然痛くない。
 むしろ必死に手を噛むチワワが可愛くて仕方ない。
 血とか出てるし、ちょっとHPも減っているが、そのうち治るだろう。
 それにしても可愛いわー。

「……い、いたくないの?」

 アンが出血した俺の手を見て怯えていた。
 心配してくれているんだろうか。
 優しい良い子だな、アンは。
 こんなの30分もすれば治るというのに。

「本当に可愛いですよね、森チワワ。よしよし、おいでー」

 フィリスも顔をぐにゃりとさせながら、俺の隣にちょこんと腰を下ろす。
 森チワワは今度はフィリスの手に噛み付いていた。
 フィリスの手がしゅーしゅー言っているが、必死な様が可愛い。

「ふふふ、怯えているんですね。大丈夫、怖くないですよー?」

 手を噛まれても、フィリスは気にせず森チワワの頭を撫でている。
 だって、可愛いもんね!

「この化物めっ!」

 その時、信じられないことが起こった。
 ピートがチワワを罵倒しながら、その身体を斬りつけたのだ。

「くぅーん……」

 短く鳴いたチワワがパタリと斃れて動かなくなった。
 え、何してんのこのモブ野郎。
 俺のチワワが!

「……な、なんてことを……」

 手をがぶがぶされていたフィリスもピートの凶行に恐れおののいている。
 無理もない。

「……おい、頭湧いてんじゃねえのか、この童貞包茎フニャチン野郎が!!!」

 怒りのあまり、俺が言われたら切腹しちゃうような言葉でピートをディスる。
 だって、ピートが悪いんだかんね!

「……え、だってそれモンスターじゃ……?」

「モンスターはお前の方だ! なんの罪もないチワワを惨殺しやがって!!」

「……お前ら攻撃されてたじゃん」

「攻撃!? チワワはただ戯れてただけだってのに……それを攻撃呼ばわりとか。え、何なのお前? 17歳だっけ? 怖いわー。キレやすい10代の典型みたいなやつだわ……おそろしや……」

「本当ですよ。命の尊さを学びなさい、人間」

「……え、フィリスさんだってさっきオオカミ殺しまくってたじゃん」

 ぐだぐだと言い訳をするピートに、フィリスと二人がかりで説教をした。
 ついでに、童貞とか粗チンとかここぞとばかりに悪口を言ってみた。

「……うう、だんだん俺が間違っている気がしてきた。……なあ、どうすれば童貞を捨てられると思う?」

 なぜか話が変な方向に進みだしたが、ピートもちゃんと反省したようだ。
 チワワの墓を掘らせて、墓に土下座で謝らせるだけで許してやった。
 だって、ほら、俺って結構優しいからさ。

 というか、ピートの土下座を眺めてたら、何をそんなに熱くなってたんだっけという気がしてきた。
 森とついているからにはチワワはモンスターなのだろう。
 あれ、ピートが正しかったのかな……?
 まあいいかと思って、俺たちはユニコーンの生息地へ向かうのを再開した。


 思ったよりも森の中はモンスターだらけだった。
 飽々するほどの森系モンスターに遭遇した。
 森タヌキだの森イタチだの、どうみてもただの動物に見えるモンスターを狩りまくる。
 狩りすぎてレベルが上がっちゃった程である。
 というか、なんか動物虐待してるみたいで気分はよくないのだが。

「もー! 何言ってるんですかー、コウ様は! ほら、この森タヌキは普通のタヌキと違って左下の奥歯がないじゃないですかー? モンスターなのは一目瞭然ですよ!」

 さも当然のようにフィリスが言うが、どの辺が一目瞭然なのか本気で問いただしたい。
 なんというか、もっとさー。
 これぞモンスターって感じの奴を倒したいのだが。

 ――オォオォオオオ。

 その時、不意に呪詛めいたうめき声が聞こえてきた。
 やだ、不気味!
 注意して前方に目をやると、遠くの木陰に、パタパタと揺れる真っ赤な血で染めたような布切れが見えた。
 更に目を凝らす。

「おお……」

 それは、ただの布切れじゃなかった。
 真っ赤な布の隙間から、干からびた人間の顔が見えた。
 眼窩は窪み、邪悪な赤い瞳と目が合う。

「……お兄ちゃん」

 不気味なそれに怯えたアンがしがみついてくる。
 安心させるように、アンの頭を撫でた。
 というかですよ。
 あれ絶対に悪いやつだって。
 これぞモンスター。
 きましたわー!!!

 嬉々としながら、ラグニードを抜き放った。
 タヌキだのリスだのを斬っていては、この剣が勿体無い。
 ああいう邪悪な感じのモンスターを斬ってこその名剣だろう。

「よーし、ちょっくらぶった斬ってくるわ!」

 皆にそう告げて、ラグニートを片手に歩きだす。
 あの敵はちょっとホラーな感じがして怖い。
 ルーナの乳を揉みたくなったが、ここにはいないのでさっさとぶった斬って――。

「って、何言ってるんですか!? あれはエルダーリッチのオスカーさんですよ! モンスターですけど身内です! お花の大好きな心優しい木こりさんですよ!」

 ――来ようと思ったら、フィリスに止められた。
 あんなのを身内にした覚えはないのだが。
 そんな事を考えていたら、エルダーリッチのオスカーさんが音もなく近づいてきた。
 歩き方が怖い上に、近くで見るとどう見ても悪霊なんだけど。

 ――オォオォオオオ。

「ええ。お疲れ様です。オスカーさんは山菜採りですか? 精が出ますねー」

 ――アアアアゥオオ。

「何言っちゃってるんですかー!? セレナお嬢様に悪いですよ! コウ様とはそんなんじゃないですって! まだ……きゃは!」

 オスカーさんとフィリスが世間話を始めた。
 オスカーさんが何を言ってるのかはわからないけど、どうせツッコんだ所でエルダーリッチ語も知らないんですか? とフィリスに謎の異文化コミュ力を自慢されるだけなのだろう。
 だから、黙っていた。

 ――オォオォオオオ。

 オスカーさんが禍々しいうめき声を上げながら、アンに小さな花を差し出す。
 本当に花が好きらしい。
 セレナのとこのビックリ人間大集合の連中は、本当になんというか、外見と中身が一致しないと言うか。
 萌えないギャップの必要性ってなんだろうと思うのだが。

「……あ、ありがとう」

 アンは怯えながらオスカーさんから花を受け取っていた。

「あ、コウ様! あそこから森ムササビが虎視眈々とこちらを狙ってますよ!?」

 突然、フィリスが声を上げて一本の木の上の方を指す。
 そこには、可愛らしいネズミのような顔をした動物がつぶらな瞳でこっちを眺めていた。
 あのつぶらな瞳のどの辺が虎視眈々なんだろうか。

 ――ウゥゥウウゥウウ。

 なぜかオスカーさんが地面にへたり込んで、ガタガタと震えていた。
 怯えているようにも見えるが、呪術的な儀式にも見える。
 エルダーリッチというからには、きっと魔法が得意なのだろう。
 木の上にいる森ムササビを魔法で攻撃してくれるのかもしれない。

「ああっ! オスカーさん、そんなに怯えて! コウ様! オスカーさんは心優しいので戦うことが怖いんです! 守ってあげて! オスカーさんを守ってあげて下さい!」

 って本当に怯えてたのかよ!?
 すげえ怖い外見してるのに、心優しい設定いらねえだろ!!

 なんだかなーと思いながら、恐ろしい見た目のオスカーさんを守りながら、空から飛来する可愛らしい森ムササビと戦った。
 森ムササビは意外と強かった。

 なんなんだろう、この森。
 早くユニコーンの角へし折って、ルーナのとこに帰ろうと思った。


 LV:29(up!)
 称号:悲哀なる社畜、色事師、村長
  ※悲哀なる社畜:HPに+1000の補正
  ※色事師:セックスをした相手のステータスを見れるようになる
  ※村長:村民のステータスに一律+5の補正
 立場:龍神王、子爵、ハイランダー
 HP:1340/1340(+3)
 MP:260/260(+5)
 筋力:147(+2)
 防御:45(+1)
 敏捷:50(+1)
 器用:46(+1)
 知能:89(+2)
 精神:72(+2)
 スキルポイント:6(+1)

【装備品】
 [国剣ラグニード]:攻撃力補正+634
 [土の剣]:攻撃力補正+30
 [厚手のチュニック(メイドインルーナ)]:防御力補正+0

【スキル一覧】
 ・初期スキル
  根性:LV7
  睡眠耐性:LV10(MAX)
  疲労耐性:LV10(MAX)
  孤独耐性:LV10(MAX)
  精神耐性:LV5
  痛覚耐性:LV10(MAX)
  病気耐性:LV8
  飢餓耐性:LV3
  房中術:LV3

 ・強化スキル
  筋力:LV1

 ・魔法スキル
  回復魔法:レベル2:《体力回復》《傷治療》

  属性魔法
   土魔法:LV3:《土生成》《土形成》《石形成》 
   水魔法:LV2:《水生成》《水形成》
   火魔法:LV2:《火生成》《火形成》
   風魔法:LV2:《風生成》《風形成》

  属性魔法
   重力魔法:LV1:《自己重力変動》

 ・武器スキル
  剣:LV3:《達人剣術》
  二刀流:LV3:《達人二刀流》

 ・体術スキル
  打撃:LV2:《応用打撃》

 ・騎乗スキル
  馬:LV1:《基礎馬術》

 ・生産スキル
  裁縫:LV2:《下級糸生成》《下級布生成》
  木工:LV2:《下級丸太生成》《下級木材生成》

【取得可能スキル一覧】
 使用可能スキルポイント:1
 ・武器スキル
  槍/弓/根/斧/拳

 ・強化スキル
  防御/敏捷/器用/知能/精神

 ・盗賊スキル
  解錠

 使用可能スキルポイント:3
 ・騎乗スキル
  飛竜

 使用可能スキルポイント:10
 ・種族スキル
  吸血鬼

 ・魔法スキル
  深淵魔法
   時間魔法/空間魔法/精神魔法

 ・騎乗スキル
  古竜エンシェントドラゴン

 ・生産スキル 
   鍛冶/革細工/錬金術/彫金
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昼寝部
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 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

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 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

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戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

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 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

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