ちょいクズ社畜の異世界ハーレム建国記

油揚メテオ

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第六章 エルフ王国編

第219話 ルシアリーナ姫様

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 ドアの前で、あせあせと来客に対応しているピョン吉。
 そんなピョン吉の肩をぽんと叩いて交代する。

「あ、コウ……」

 そして、俺はドアの前に立つ人物を見て戦慄を覚えた。
 身長は俺と同じくらい。
 まばゆいばかりの長い金髪に青い瞳。
 透けるような白い肌。
 スラリとした体躯。
 その顔は怖いくらいに整い過ぎていて。
 しかも、耳は長く尖っていた。
 いや、ここまでは良いんだ。
 うちのルーナと同じエルフだろう。
 それは良いのだが。
 見知らぬエルフさんは薄汚れているが、立派なレザーアーマーを身に着けていた。
 その胸元はぺたんとしている。
 ぺたんとしている。
 ……つまり、男!!!
 エルフの男!!!
 イケメン!!!
 しねえええええええええ!!!!

「見るな、ピョン吉!! 妊娠するぞ!!」

 慌ててピョン吉の目を塞ぐ。
 危うく、うちの可愛いウサギがイケメンの毒牙にかかるとこだった。
 イケメンはなぜイケメンなのか。
 それは女を騙して、セックスして妊娠させるためだ。
 なんて卑猥な!!

「え? え? 妊娠? 普段のコウを見てる方がよっぽど……」

 目を塞がれたピョン吉が意味不明な事を口走っていた。
 イケメンの毒に脳をやられたんだろうか。
 くそが!! イケメンなんて死滅すればいいんだ!!

「……貴卿がアサギリ卿か。突然の来訪、失礼した。私はイルフリーデ・アイリ・バーンスタイン。エルフ王国エルファニアの子爵である」

 イケメンは声までイケメンだった。
 イケボというか、鈴の音のような美声だ。
 くそがああああああ!!
 こいつに呪いを!!
 日曜の競艇場にいるおじさんの酒焼けしたしわがれ声になる呪いを!!!

「アサギリ卿、いかがした? 何をそんなに気色ばんでいる?」

 俺は必死にチャージを始めた。
 今こそ、マリーババア伝来の奥義を見せる時!

「かーっ、ぺっ!!」

 イケメンの足元に俺のたん爆弾が着弾する。
 へへ、どんなもんよ。

「……何かの間違いか? 初対面の相手にこんな無礼、決闘を申し込まれたも同然だぞ?」

 イケメンの顔が暗くなり、その目つきが鋭くなった。
 イラッとするほどのイケ目つきだった。

「ああっ!? 上等だ、コラッ!! やったろうじゃんか!」

 なんだろう。
 チンピラみたいな台詞が、悲しいくらいスラスラと出てくる。

「ルーニャン! 早く起きるにゃ! コウニャンがお客ニャンにケンカ売ってるにゃ!!」

 背後では、いつの間にか子供部屋から出てきたニャン子がベトベトルーナをフキフキしている。
 馬鹿野郎、俺がケンカ売ってんじゃねえよ。
 イケメンがイケメンであるゆえに制裁を加えなきゃいけないんだっつーの。
 意味は俺もわからない。

「ルーニャン? 姫様!? やっぱりこちらに!? ルシアリーナ姫様! 私です。イルフリーデです!」

 イケメンが突然ガバっと家の中に入ろうとする。
 なので殴った。
 不法侵入は重罪である。

「ぐはっ!? なんだ貴様! 姫様を早く出せ!! ルシアリーナ姫様ー!」

 殴られたイケメンは頬を腫れさせながらも、家の中を気にしている。
 つうかさっきからこいつが叫んでいるルシアリーナって。
 ルーナの本名である。
 こいつイケメンの上にストーカーか!?
 合わせ技一本の数え役満で死刑である。
 特にルーナのストーカーっていうのが許せん。
 俺は無言で黒曜石の剣を生成した。

「……どうしたんですかー? 朝から騒々しいなー」

 そんな時、バカでかい荷物を抱えたフィリスがやってきた。
 荷物をずしーんと下ろしながら、とことこと近づいてくる。
 どうでもいいけど、こいついつも重労働させられてんな。
 あわれな末妹である。

「フィリス、ちょっとこいつを殺るから捕まえとけ」

「えー? お手伝いしてもいいけど、あとでうんちくださいよー?」

 いや、やらんけど。
 フィリスがイケメンをガッチリと羽交い締めにする。

「何をするメイド!? な、なんだこの馬鹿力は!? ル、ルシアリーナ姫様ー!?」

 イケメンストーカーはあっさりとフィリスに拘束されながらもルーナの名前を呼び続けている。
 俺の女なのに。
 許せん。
 そもそも、姫様ってなんだよ。
 ルーナは貴族のお嬢様だけど、姫様じゃねえだろ。
 人の女をオタサーのアレみたいに呼ばないで欲しいのだが。

「あれー? コウ様知らないんですかー? くすくす」

 フィリスがイラッとする顔をしていた。
 可愛いのがまたイラッとする。

「ルーナお嬢様って、公爵家のお嬢様なんですよー。公爵ってたいてい王様の兄弟とかがなるんです。ルーナお嬢様のお父様は王弟殿下ですね。なのでルーナお嬢様も立派な王族なんですよー? お姫様って呼ばれても変じゃないです」

「お、おう」

「私達がセレナお嬢様と同じお嬢様とお呼びするのは伊達じゃないってことですねー! そうじゃなかったらおバカなルーナお嬢様なんて、おいロクデナシ! くらいにしか呼びませんよ!」

 フィリスはドヤ顔で薄い胸を張っていた。
 なんでルーナをディスり出したのかは置いておいて。
 フィリスがすげえ重要な事を言っていた気がする。
 え、王族? ルーナが?

「……どうしたんだ、コウ。お客さんとケンカしちゃダメじゃないか……うう、腰が……」

 家からルーナがよろよろと出てくる。
 かろうじて服を着ていた。
 あれだけ盛大にイキまくってたのに早い復活だ。
 ニャン子の努力の賜物だろうか。

「おお……おおお……姫様……御尊顔、麗しゅう、ううっ」

 イケメンが何やらルーナを見て感激していた。
 泣いているし。
 引くわー。
 そんなことよりですよ。

「……え、お前ってお姫様なの?」

「なんだ急に……まあ、一応? 王位継承権もちゃんと持ってるぞ。何位だったかは忘れちゃったけど! えへへ」

 ルーナが困ったように頭をかく。
 バカだけど可愛い。
 って、忘れちゃって良いのかよ!!
 え、ちょっと待って。
 マジモンのお姫様? 王位継承権??
 日本で言ったら宮がついちゃう感じ?

 ふと素朴な疑問が湧いた。

「……そんなお姫様がこんなとこで何やってんだ?」

 心の底から不思議だった。

「えー? そんなのお前の愛しい妻をやってるに決まってるじゃないかー! えへへ、このこのー!」

 照れたルーナが肘でつんつん突いてくる。
 バカだけど可愛い。
 でも、それでいいのかと思ってしまう。
 うーん。
 あれ、俺ってお姫様を犯したことになるのか?
 まあいいけど。
 深く考えると、すっごい重罪を犯した気になる。
 考えないけど。

「まあ、朝風呂でも浴びるか」

「うん! 一緒に入ろう?」

 ルーナを抱き寄せながら家の中に戻ろうとした。

「待ちたまえ!!!」

 イケメンが俺たちを呼び止める。
 そういえばいたな。

「姫様! ずっとお探し申し上げておりました!」

 イケメンがルーナの前にさっと跪く。
 妙に堂に入った仕草でイラッとした。
 なんだよ、この一流の騎士感。
 こんなんルーナに見せたら濡れちゃうかもしれないじゃんか!!

「……誰だっけ?」

「ぐはっ!!」

 良かった。
 ちょろいので不安になったが、ルーナはイケメンを知らないようだった。

「私です! イルフリーデです! 姫様の乳母兄弟のイルフリーデです!!」

 イケメンは血の涙を流しそうな勢いでルーナに自己紹介していた。
 ちょっと哀れだった。

「あ、ああ! イーデ? イーデじゃないか! 久しぶりだな!」

 って本当は知り合いだったのかよ。
 脳が心配になるー。

「そうです! イーデです! もう、昔から忘れっぽいからなー姫様は」

 イーデさんはホッとしたように涙を流していた。
 忘れっぽいとかいう次元なのだろうか。

「ルーナお嬢様は相変わらずおバカで、なんというか安心しますよねー」

 フィリスの言うこともわからないでもない。
 微笑ましいバカである。

「姫様、すぐにエリシフォン家にお戻りください! 実は……」

「やだ!!」

 ぷいっとそっぽを向いたルーナが俺にひっついてくる。
 実家に帰っちゃうのかと心配になる間もないくらいだった。

「私はもうコウと結婚しちゃったんだ! 実家には帰らない!」

「けけけっけけけっけえくぇっこん!?」

 ニワトリかよ。
 イーデさんの表情は面白いくらいに強張っていた。
 まるで雷にでも打たれたようだ。
 慌てるイケメン。滑稽である。

「ま、まあ? 実家に帰るとしたら赤ちゃんを見せに行く時くらいかな、えへへ」

 照れたルーナが下腹部を撫でながら、不穏な事を言っていた。
 そういえば、ミレイを孕ませた事をまだ言ってないんだった。
 どうしよう。

「……け、結婚って何をおっしゃっているんですか、姫様? そんな気軽に結婚なんて出来るお立場じゃ……。そ、それに子供? こ、子供って……わかっておられるのですか? コウノトリさんが運んできてくれるとか、そんなものじゃないんですよ?」

 イケメンはひどく動揺していた。
 コウノトリさんて。

「そんなのわかってる! だから毎日コウと子作りしてるんじゃないか! って何を言わせるんだ、もうっ!」

 照れたルーナは可愛かった。
 というか。

「……お前、もしかして出来てないよな? お前まで出来ちゃってたら俺……」

 ミレイの件でいっぱいいっぱいなのに。

「エルフは妊娠しにくいからな。この前確かめた時はまだだったんだ……」

 ルーナは耳をしょぼんと垂れさせていた。
 良かった。
 まだらしい。
 ていうか、確かめてんのかよ。
 怖いな、おい。

「……だ、だから、もっとエッチして欲しいな? 私、コウの赤ちゃん産みたい……」

 頬を染めながら懇願するルーナ。
 自然と股間がオッキしていた。

「……子宮が破裂しても知らないぜ?」

「うん!! いっぱいずちゅずちゅして? えへへ」

 ルーナを抱き寄せながら長い耳にキスをした。
 一晩中セックスしていたのに不思議だ。
 まだまだ全然したりない。

「……ああ、あああああああっ!!」

 イケメンが何やら発狂していた。
 金髪をむしりながら頭を抱えている。
 なにあれ怖い。

「……コウ、早く行こう?」

 イケメンを見ていたら、ルーナに急かされた。
 乳母兄弟って幼馴染みたいなもんだったような。
 幼馴染が発狂しているのに、セックスしてていいんだろうか。
 俺は大歓迎だけど。

「ああああああっ! これは夢だ! 悪夢だ!!」

「あ、コウ様! うんちー!」

 何やらラリっているイケメンと、俺をうんこ呼ばわりするフィリスを残して、俺たちは家の中に入った。
 そして、昼過ぎまでルーナとめちゃくちゃセックスしたのだった。
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