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第七章 王国剣術大会編
第272話 ミレイと里帰り ①
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昼下がりの午後だった。
パチバチと暖炉が音を立てる。
暖かな木造の1軒屋。
質素な作りながら、柱や梁は太い丸太で出来ていて、頑丈そうだった。
俺が建てたミレイの家。
居間の真ん中にあるソファに二人で腰掛けて、俺は家主を抱いていた。
抱くと言ってもセックスをしているわけではなく、そっと腰を抱くくらいだ。
「コウさん……」
ミレイは心地よさそうに、俺の肩に頭を預けている。
ふんわりとしたミレイの栗毛が首筋に触れて、少しくすぐったい。
可愛い俺の嫁(一人目)である。
「つわりとか、大丈夫か?」
嫁は妊娠中だった。
確か4ヶ月目くらい。
お腹はすこしぽっこりしている。
「ええ。今はだいぶマシになりました。ひと月前くらいはひどかったですが」
グサグサ。
ミレイの何気ないセリフが胸に刺さる。
ひと月前くらい。
俺が何をしていたかと言うと、二人目の嫁の実家で、嫁の母のマ○コをパンパンしていた。
身重の嫁(複数)を放って。
一言でいうと、人外の所業である。
「……そばにいてやれなくて、悪かった」
「い、いえ! いいんですよ、そんなの! コウさんはルーナさんを迎えに行ってくれていたんですから!」
とりあえず、謝ってみると、ミレイが慌ててフォローしてくれた。
他の女を迎えに行ったのを、迎えに行ってくれたって。
嫁の理解がありすぎる件について。
重婚ってこういうもんなのだろうか。
みんなやればいいのに。
「何か、俺にしてやれることはあるかな?」
ミレイが良い子すぎるので、そんな事を言ってみた。
じゃあ働け! と言われれば忸怩たる思いで従う所存。
「……じゃあ、もっと触ってください」
しかし、嫁は簡単すぎるお願いをする。
むしろご褒美だった。
「あっ……ふふっ」
柔らかいミレイを抱きしめる。
お腹に負担がかからないように。
ふわふわとしたミレイの髪に鼻をうずめた。
「コウさんに触られるの好きです。……ものすごく手付きが優しいから」
ミレイの背中を撫でる。
柔らかくて温かい背中だった。
優しい手付きというか、エロい手付きだと思う。
「……汚れきった私に、なんでそんなに優しくしてくれるんですか?」
ミレイのセリフにため息を付きそうになる。
ミレイは、かつて山賊たちに輪姦された。
その傷は、未だに癒えていない。
だから、俺が言えるのは一言だけだった。
「ミレイは汚れてなんていない」
栗色のくせっ毛の髪。
整った顔立ちに、透明な白い肌。
髪からは女性のいい匂いとシャンプーの香り。
ただの、いい女だった。
どこが汚れているものか。
「コウさんはいつもそう言ってくれますね。……そういうところ、好きです」
ミレイのすべすべした頬に触れる。
そのまま顔を上に向かせて。
「んっ」
軽く口付けをした。
ミレイの唇は甘くて。
「くすっ」
唇を離したミレイは、小さく笑う。
いたずらっぽく。
「……おちんちん、おっきくなっちゃいましたね」
ええ!?
キスしただけで!?
下を見れば、うちのきかん坊がミレイのぽっこりお腹をつんつんしていた。
「……しちゃいましょうか?」
鼻先にかかるのは、ミレイの濡れた吐息。
熱くて、いい匂いがして。
「……私、妊娠してから、おっぱい大きくなったんですよ?」
ミレイの手が、俺の手を乳房へと誘う。
たぷんっ。
見事な重量と柔らかさだった。
脳が蕩けそうだった。
このおっぱいを思う存分蹂躙したい。
でも、妊娠中のミレイにエッチなことをしちゃダメって、マリーババアが。
いや、乳を揉むのはエッチなことではないのではなかろうか。
子宮をガン突きとかしなければ。
さきっちょなら大丈夫ってルーナが――。
がつんっ!
「ええ!?」
思いきり自分をぶん殴っていた。
鼻からぼたぼた血が出る。
今、まっさきに考えるべきはミレイの身体である。
エッチはいけない。
このリビドーはカーチャンとかで晴らす。
「エッチは、元気な赤ちゃんを産んでからにしよう」
「は、はい! って大丈夫ですか? 鼻血が……」
「これは、ミレイのおっぱい触ったからだから。興奮してつい」
「ええ!? さっき思い切り自分でがつんってしてたのに!?」
ミレイに鼻血を拭いてもらった。
レベルが上がったからか、自分パンチでも破壊力がヤバかった。
HPが結構減っている。
セレドンとかババドンほどではないが。
「……ごめんなさい。私が誘っちゃったから」
ミレイはしょんぼりしていた。
たしかにさっきのエロさはヤバかった。
いつもだったら三日三晩犯し抜いただろう。
「いや、俺もミレイとエッチしたいのは同じだから」
「コウさん……また、ぎゅーってしてくれますか?」
嫁が異常に可愛いことを言っていた。
目を潤ませながら、おずおずと。
断られるのを怖がっているように。
断るわけないのに。
両手を広げると、ミレイが抱きついてくる。
嬉しそうに。
「コウさん……」
ミレイの身体は、骨がないんじゃないかってくらい柔らかかった。
抱き心地が極上である。
「……まだ、あの時の夢を見るんです。私、コウさんと繋がっていないと不安で……エッチな女でごめんなさい」
抱きしめたミレイがそんな事をつぶやいた。
エッチなのは大歓迎なのだが。
「……もっとコウさんと一緒にいたいです。離れるのは嫌です。ずっと触っててほしいです。ぐすっ」
鼻を鳴らすミレイを、ただ撫でた。
俺なんかでいいなら、ずっとそばにいてやる。
いつだって抱きしめてやる。
ていうか。
ふと疑問が湧いた。
「……お前、なんでいまだに一人で住んでんの?」
「ええ!? えええええ!??」
ミレイはなぜか驚愕していた。
嫁なんだから一緒に住むべきだと思うのだが。
「あの日、コウさんが結婚しようって言ってくれた日。コウさん普通に私を置いて帰っちゃったじゃないですか!?」
いや、その日は帰ったけど。
次の日くらいに来いよ。
むしろ俺が迎えに行けよ。
……あれ、何やってたんだっけ、俺。
あの時は、ルーナとドタバタしていて。
俺はすぐにルーナを迎えに行っちゃって……。
あれ、俺ミレイと結婚するって言ったけど。
子供を仕込むことくらいしかそれっぽいことをしてない!?
ルーナやセレナとした結婚式すら挙げてない。
……これでいいんだろうか。
いやダメだろう。
とりあえずミレイを離して、向き合う。
「ミレイさん」
「はい」
「俺と一緒に暮らしてくれますか?」
「はい…………嬉しい……」
ミレイは口を両手で覆って、嗚咽を漏らす。
その目元を、幸せそうに緩めながら。
「変なエルフと猫とウサギもいますけど、いいですか?」
「みんな一緒で嬉しいです。ぐすっ」
めちゃくちゃ喜んでくれて、罪悪感がすごい。
もっと早く言うべきだった。
ピなんとかのチンコの皮を剥いてる場合じゃなかった。
あいつ後で殴ろう。
「結婚式も挙げような? 指輪もちゃんと贈るから」
金はないが、エレインがきっとなんとかしてくれる。
「はい……はい……ぐすっ」
ミレイは俺の言葉に、コクコクと頷いている。
「遅くなってごめんな。色々と」
「本当ですよ! うわああああんっ!」
ミレイを抱きしめながら、必死に頭を巡らせる。
あとはなんだろう。
結婚するときにすべき事。
戸籍を入れる……はどうでもいいか。
ここでは俺が法律だ。
ミレイはすでに、ミレイ・アサギリである。
「はうあっ!?」
肝心な事を忘れすぎていて、思わず声が出た。
「コウさん?」
「ミ、ミレイのご両親に挨拶をしていない……」
孕ませたのなら、まずすべき事だった。
クズといえども、外しちゃいけない道理がある。
「え、ええ!? 私の両親ですか? ……それは、いつかは、会ってくれたら嬉しいですけど、いつかで大丈夫ですから」
ミレイはそう言ってくれるが。
そんな都合のいい話があっていいわけない。
「びっくりするだろうな、二人とも……私が伯爵様の奥さんになったって言ったら……あっ、私、別に奥さんじゃなくていいですよ? お妾さんとかで十分です。平民ですし」
「何言ってんだ。お前は俺の嫁に決まってんだろ」
「コウさん……」
妙な事を言い出すミレイを黙らせて、ミレイの実家に行く算段をつける。
たしかミレイは港町の生まれだとか言っていた。
港?
こっちに着てから海なんて見たことないんだけど。
めちゃくちゃ遠かったりするんだろうか。
「アイレーナの街っていう所なんですけど、ここからだったら歩いて20日ほどかかります。……私のお腹はこんなんですし、そんな長旅は出来ないです。この子が生まれて、世の中がもう少し平和になったら、一緒に行ってくれますか?」
いや、そりゃ行くけど。
そんな社交辞令みたいな約束されても。
「それより今はもっと抱きしめて欲しいです」
そりゃ抱きしめるけど。
「あっ、ふふっ!」
ミレイを抱きしめながら、必死に考えた。
歩くのはきついなら馬車は?
いや、がたがた揺れるのは身体に悪そうだ。
フェルちゃんに頼めば?
いや、もしもミレイを落としでもしたら干しトカゲにしてしまいそうだ。
そうなれば、方法は一つ。
「カレリアさーん!!!」
「ええ!?」
驚くミレイを尻目に、頼れるお姉さんを呼ぶ。
ミレイしかいないのに何故呼ぶのか。
「……なんですか、アサギリ様?」
それはカレリアさんがどんな場所でも、たとえ夫婦が二人きりでイチャイチャしている空間でも来てくれるからである。
ぐにゃりと歪んだ空間から、みょんみょんと金髪の美女メイドが出現する。
不機嫌そうに。
「ええと、ミレイの実家、なんつったっけ? 手品ーにゃの街? まで送ってもらえますか?」
「……アイレーナの街です」
語感はおしかった。
「アイレーナ……王国の南端ですね。行ったことあるので、魔法で連れて行って差し上げられます。ミレイ様の出身地なんですね。景色の綺麗なところですよね」
「じゃあ、送ってください! あ、待って! 身なりを整えて来ますから」
「……これでも私は忙しいのですが」
カレリアさんは、ものすごく嫌そうだった。
今日はまだおっぱいを揉んであげてないからだろうか。
「ご、ごめんなさい。コウさん、私の両親に挨拶したいって言ってくれてて……」
ミレイはカレリアさんを見て、ビビっていた。
相変わらず吸血鬼が苦手なようだ。
「ほう。ミレイ様のご両親に挨拶……それは一大事ですね。ちゃんとしなければ。アサギリ様、差し付けなければ正装のお手伝いを致しますが?」
「あざすっ!」
「ミレイ様のご両親に挨拶……男らしくてとても良いです。好感が持てます。ちゃんとした挨拶をして、ご両親を安心させてあげてください」
そう言って、カレリア姉さまは口元を緩めた。
なぜかやる気になってくれた。
まだ揉んでないのに。
こうして俺はミレイの両親の実家に行くことにしたのだった。
パチバチと暖炉が音を立てる。
暖かな木造の1軒屋。
質素な作りながら、柱や梁は太い丸太で出来ていて、頑丈そうだった。
俺が建てたミレイの家。
居間の真ん中にあるソファに二人で腰掛けて、俺は家主を抱いていた。
抱くと言ってもセックスをしているわけではなく、そっと腰を抱くくらいだ。
「コウさん……」
ミレイは心地よさそうに、俺の肩に頭を預けている。
ふんわりとしたミレイの栗毛が首筋に触れて、少しくすぐったい。
可愛い俺の嫁(一人目)である。
「つわりとか、大丈夫か?」
嫁は妊娠中だった。
確か4ヶ月目くらい。
お腹はすこしぽっこりしている。
「ええ。今はだいぶマシになりました。ひと月前くらいはひどかったですが」
グサグサ。
ミレイの何気ないセリフが胸に刺さる。
ひと月前くらい。
俺が何をしていたかと言うと、二人目の嫁の実家で、嫁の母のマ○コをパンパンしていた。
身重の嫁(複数)を放って。
一言でいうと、人外の所業である。
「……そばにいてやれなくて、悪かった」
「い、いえ! いいんですよ、そんなの! コウさんはルーナさんを迎えに行ってくれていたんですから!」
とりあえず、謝ってみると、ミレイが慌ててフォローしてくれた。
他の女を迎えに行ったのを、迎えに行ってくれたって。
嫁の理解がありすぎる件について。
重婚ってこういうもんなのだろうか。
みんなやればいいのに。
「何か、俺にしてやれることはあるかな?」
ミレイが良い子すぎるので、そんな事を言ってみた。
じゃあ働け! と言われれば忸怩たる思いで従う所存。
「……じゃあ、もっと触ってください」
しかし、嫁は簡単すぎるお願いをする。
むしろご褒美だった。
「あっ……ふふっ」
柔らかいミレイを抱きしめる。
お腹に負担がかからないように。
ふわふわとしたミレイの髪に鼻をうずめた。
「コウさんに触られるの好きです。……ものすごく手付きが優しいから」
ミレイの背中を撫でる。
柔らかくて温かい背中だった。
優しい手付きというか、エロい手付きだと思う。
「……汚れきった私に、なんでそんなに優しくしてくれるんですか?」
ミレイのセリフにため息を付きそうになる。
ミレイは、かつて山賊たちに輪姦された。
その傷は、未だに癒えていない。
だから、俺が言えるのは一言だけだった。
「ミレイは汚れてなんていない」
栗色のくせっ毛の髪。
整った顔立ちに、透明な白い肌。
髪からは女性のいい匂いとシャンプーの香り。
ただの、いい女だった。
どこが汚れているものか。
「コウさんはいつもそう言ってくれますね。……そういうところ、好きです」
ミレイのすべすべした頬に触れる。
そのまま顔を上に向かせて。
「んっ」
軽く口付けをした。
ミレイの唇は甘くて。
「くすっ」
唇を離したミレイは、小さく笑う。
いたずらっぽく。
「……おちんちん、おっきくなっちゃいましたね」
ええ!?
キスしただけで!?
下を見れば、うちのきかん坊がミレイのぽっこりお腹をつんつんしていた。
「……しちゃいましょうか?」
鼻先にかかるのは、ミレイの濡れた吐息。
熱くて、いい匂いがして。
「……私、妊娠してから、おっぱい大きくなったんですよ?」
ミレイの手が、俺の手を乳房へと誘う。
たぷんっ。
見事な重量と柔らかさだった。
脳が蕩けそうだった。
このおっぱいを思う存分蹂躙したい。
でも、妊娠中のミレイにエッチなことをしちゃダメって、マリーババアが。
いや、乳を揉むのはエッチなことではないのではなかろうか。
子宮をガン突きとかしなければ。
さきっちょなら大丈夫ってルーナが――。
がつんっ!
「ええ!?」
思いきり自分をぶん殴っていた。
鼻からぼたぼた血が出る。
今、まっさきに考えるべきはミレイの身体である。
エッチはいけない。
このリビドーはカーチャンとかで晴らす。
「エッチは、元気な赤ちゃんを産んでからにしよう」
「は、はい! って大丈夫ですか? 鼻血が……」
「これは、ミレイのおっぱい触ったからだから。興奮してつい」
「ええ!? さっき思い切り自分でがつんってしてたのに!?」
ミレイに鼻血を拭いてもらった。
レベルが上がったからか、自分パンチでも破壊力がヤバかった。
HPが結構減っている。
セレドンとかババドンほどではないが。
「……ごめんなさい。私が誘っちゃったから」
ミレイはしょんぼりしていた。
たしかにさっきのエロさはヤバかった。
いつもだったら三日三晩犯し抜いただろう。
「いや、俺もミレイとエッチしたいのは同じだから」
「コウさん……また、ぎゅーってしてくれますか?」
嫁が異常に可愛いことを言っていた。
目を潤ませながら、おずおずと。
断られるのを怖がっているように。
断るわけないのに。
両手を広げると、ミレイが抱きついてくる。
嬉しそうに。
「コウさん……」
ミレイの身体は、骨がないんじゃないかってくらい柔らかかった。
抱き心地が極上である。
「……まだ、あの時の夢を見るんです。私、コウさんと繋がっていないと不安で……エッチな女でごめんなさい」
抱きしめたミレイがそんな事をつぶやいた。
エッチなのは大歓迎なのだが。
「……もっとコウさんと一緒にいたいです。離れるのは嫌です。ずっと触っててほしいです。ぐすっ」
鼻を鳴らすミレイを、ただ撫でた。
俺なんかでいいなら、ずっとそばにいてやる。
いつだって抱きしめてやる。
ていうか。
ふと疑問が湧いた。
「……お前、なんでいまだに一人で住んでんの?」
「ええ!? えええええ!??」
ミレイはなぜか驚愕していた。
嫁なんだから一緒に住むべきだと思うのだが。
「あの日、コウさんが結婚しようって言ってくれた日。コウさん普通に私を置いて帰っちゃったじゃないですか!?」
いや、その日は帰ったけど。
次の日くらいに来いよ。
むしろ俺が迎えに行けよ。
……あれ、何やってたんだっけ、俺。
あの時は、ルーナとドタバタしていて。
俺はすぐにルーナを迎えに行っちゃって……。
あれ、俺ミレイと結婚するって言ったけど。
子供を仕込むことくらいしかそれっぽいことをしてない!?
ルーナやセレナとした結婚式すら挙げてない。
……これでいいんだろうか。
いやダメだろう。
とりあえずミレイを離して、向き合う。
「ミレイさん」
「はい」
「俺と一緒に暮らしてくれますか?」
「はい…………嬉しい……」
ミレイは口を両手で覆って、嗚咽を漏らす。
その目元を、幸せそうに緩めながら。
「変なエルフと猫とウサギもいますけど、いいですか?」
「みんな一緒で嬉しいです。ぐすっ」
めちゃくちゃ喜んでくれて、罪悪感がすごい。
もっと早く言うべきだった。
ピなんとかのチンコの皮を剥いてる場合じゃなかった。
あいつ後で殴ろう。
「結婚式も挙げような? 指輪もちゃんと贈るから」
金はないが、エレインがきっとなんとかしてくれる。
「はい……はい……ぐすっ」
ミレイは俺の言葉に、コクコクと頷いている。
「遅くなってごめんな。色々と」
「本当ですよ! うわああああんっ!」
ミレイを抱きしめながら、必死に頭を巡らせる。
あとはなんだろう。
結婚するときにすべき事。
戸籍を入れる……はどうでもいいか。
ここでは俺が法律だ。
ミレイはすでに、ミレイ・アサギリである。
「はうあっ!?」
肝心な事を忘れすぎていて、思わず声が出た。
「コウさん?」
「ミ、ミレイのご両親に挨拶をしていない……」
孕ませたのなら、まずすべき事だった。
クズといえども、外しちゃいけない道理がある。
「え、ええ!? 私の両親ですか? ……それは、いつかは、会ってくれたら嬉しいですけど、いつかで大丈夫ですから」
ミレイはそう言ってくれるが。
そんな都合のいい話があっていいわけない。
「びっくりするだろうな、二人とも……私が伯爵様の奥さんになったって言ったら……あっ、私、別に奥さんじゃなくていいですよ? お妾さんとかで十分です。平民ですし」
「何言ってんだ。お前は俺の嫁に決まってんだろ」
「コウさん……」
妙な事を言い出すミレイを黙らせて、ミレイの実家に行く算段をつける。
たしかミレイは港町の生まれだとか言っていた。
港?
こっちに着てから海なんて見たことないんだけど。
めちゃくちゃ遠かったりするんだろうか。
「アイレーナの街っていう所なんですけど、ここからだったら歩いて20日ほどかかります。……私のお腹はこんなんですし、そんな長旅は出来ないです。この子が生まれて、世の中がもう少し平和になったら、一緒に行ってくれますか?」
いや、そりゃ行くけど。
そんな社交辞令みたいな約束されても。
「それより今はもっと抱きしめて欲しいです」
そりゃ抱きしめるけど。
「あっ、ふふっ!」
ミレイを抱きしめながら、必死に考えた。
歩くのはきついなら馬車は?
いや、がたがた揺れるのは身体に悪そうだ。
フェルちゃんに頼めば?
いや、もしもミレイを落としでもしたら干しトカゲにしてしまいそうだ。
そうなれば、方法は一つ。
「カレリアさーん!!!」
「ええ!?」
驚くミレイを尻目に、頼れるお姉さんを呼ぶ。
ミレイしかいないのに何故呼ぶのか。
「……なんですか、アサギリ様?」
それはカレリアさんがどんな場所でも、たとえ夫婦が二人きりでイチャイチャしている空間でも来てくれるからである。
ぐにゃりと歪んだ空間から、みょんみょんと金髪の美女メイドが出現する。
不機嫌そうに。
「ええと、ミレイの実家、なんつったっけ? 手品ーにゃの街? まで送ってもらえますか?」
「……アイレーナの街です」
語感はおしかった。
「アイレーナ……王国の南端ですね。行ったことあるので、魔法で連れて行って差し上げられます。ミレイ様の出身地なんですね。景色の綺麗なところですよね」
「じゃあ、送ってください! あ、待って! 身なりを整えて来ますから」
「……これでも私は忙しいのですが」
カレリアさんは、ものすごく嫌そうだった。
今日はまだおっぱいを揉んであげてないからだろうか。
「ご、ごめんなさい。コウさん、私の両親に挨拶したいって言ってくれてて……」
ミレイはカレリアさんを見て、ビビっていた。
相変わらず吸血鬼が苦手なようだ。
「ほう。ミレイ様のご両親に挨拶……それは一大事ですね。ちゃんとしなければ。アサギリ様、差し付けなければ正装のお手伝いを致しますが?」
「あざすっ!」
「ミレイ様のご両親に挨拶……男らしくてとても良いです。好感が持てます。ちゃんとした挨拶をして、ご両親を安心させてあげてください」
そう言って、カレリア姉さまは口元を緩めた。
なぜかやる気になってくれた。
まだ揉んでないのに。
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著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
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【作者より、感謝を込めて】
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
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ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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