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しおりを挟む「あ、ぐ……、はっ、は、あっ」
「っず、しろ、力……抜いて……っ」
「むっ、う、む、りかもっ」
二度目は流石にベッドの上だったしちゃんとコンドームも着けてくれた。
厳密に言うと今は三度目だ。さっき一回ゴム越しに射精して暫く抜かずにいたら、うっかりまた勃ってきちゃったらしい。
ゴムも変えずそのまままた腰を振り始めるもんだから音が酷い。超ぐちゃぐちゃ言ってる。
ただでさえおれの頭を右腕で抱え込む奈留くんがずっと耳を食んだり舐めたりしてくるからこっちの鼓膜はとっくにキャパオーバーなのだ。
しかもおれの怪我してない方の右手は奈留くんの左手にしっかりがっちり縫い付けられているので自分で性器を触れない。絶頂が目の前に迫って来てるのにトドメが刺されない。頭おかしくなりそうだ。
昨日したばっかりの腹の中はまだジンジンとした痺れが消えてなかったのに今日また新しく擦られまくって、だんだん気持ちいいような気がしはじめてきて怖い。
一心不乱におれを突く奈留くんの顔は全然見えないけど、不意に笑ったような吐息が耳元を擽って、その衝撃でイった。多分イったと思う。勢いなく何かが先端からどろりと這い出る感覚があった。
こんなのどう考えても雄のイき方じゃない。
「……ねえ、清白、アンタ、耳弱い、だろ」
ハッハッと浅い息を繰り返して痙攣するおれに、心底楽しそうに問うてくる。
言われてみれば、確かに音に敏感かもしれない。だから今日はしつこく耳責めしてるのかお前。ドSかよ。
「なんッ、んっ、な、んで……?」
「たまに、耳の裏……擦ってる、でしょ……俺が喋った時とか、あ、こら、締めんなっ……!」
バレ方がえげつなかった。猛烈に恥ずかしくなって腹に力込めたら奈留くんも射精したみたいだ。昨日より感覚に慣れた腹の中で陰茎がびくびくしているのを感じる。
二回目でようやく満足したのか、余韻が収まって柔らかくなった性器を引き抜いた奈留くんが「あ」と不穏な声を漏らした。
「どしたん」
「ゴム外れた、中に残ってる」
「えっ嘘取れる?」
「待って……」
言うが否や、指二本で中をまさぐりだす。
後ろからじゃないからその光景がよく見えてまた変なイき方をしそうだ。まあ結局コンドームがズルズル引き抜かれる感触で普通にイったけど。もうおれダメかもしれない。
終わると午後七時半になっていたので、風呂は借りず軽く身体を拭いてから、飯を二人で食べて帰った。
奈留くんは冷静になってから「せめて怪我治るまでしないって思ってたのに……アンタのせいだ……」と若干落ち込みながら恨み言を放ってきたが絶対おれのせいじゃないと思う。
あの人毎度賢者タイムになるとメンタル下がるの何なんだろう。可愛いからいいけど。
家に戻ってから楡と話そうとしたけど、既読もつかなければ電話も出てくれなかった。
明日学校行ってから声かけるか。
と思っていたのに見事に避けられている。一週間経っても二週間経っても楡の機嫌が直ることは無かった。
奈留くんはもう縁を切ったと思ってるらしく楡とは反比例して上機嫌だ。木ノ重や吾妻、鎌谷さんとも、おれと一緒の時だけ話すようになってきている。子育てしてる気分でほっこりするなあ。
奈留くんは本当に怪我中は自重するつもりだったらしく、良くなったらまた肌を合わせるようになった。
最初のうちは男抱くのに抵抗あるかもと心配だったけど、特に奈留くんが萎えることもないどころかどんどんハマりこんでるっぽい感じがして、それはそれで心配である。
そうして懸念事項も残しつつ穏やかに過ごした日々がぶっ壊れたのは、ハロウィンを数日後に控えた日曜日だった。
今日のバイトは、よく同じ現場に当たる元看護師アンジョーさんの娘さんであるミソラさんと一緒だった。地味に近所に住んでて、楡の姉とも仲がいい大学生さんだ。
「クロちゃん彼氏出来たってマ?」
「出来たー。彼氏かっこよすぎてやばい」
「えーいいなー、写真ある?」
「撮らしてくんない。待ち受けにしたいんだけどさあ」
「わかる~」
御母堂と同じく細かいことは気にしない大雑把でサッパリした素敵な人だ。彼女のスーパー適当な相槌、結構好きなんだよね。
業務開始時間まで今日の弁当の話なんかをしてると、急に背後から肩を組まれて驚いた。
振り向いて、さらに目を見開くことになる。
「よォ、舌打ち坊ちゃん。二度と面ァ見せんなっつったよな?」
悪意を煮詰めたように嗤うその男は、鼻ピを外した鼻ピだった。
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