S級ギルドから追放されたドラゴンテイマーは、竜王の娘たちと契約して最強ギルドを作る。〜後から謝られてももう遅い、俺は世界最強を目指す〜

石八

文字の大きさ
5 / 10

第5話 圧倒的な戦闘力

しおりを挟む
アグニエル王国の南方にある名も無き森にて、今俺は剣を握りしめ、森の主であり指定危険度Bのアースドラゴンに立ち向かっていた。

 指定危険度とは、冒険者に定められた階級と似たようなものであり、危険度Fが最も弱く、E、D、Cと危険度が上がるごとに魔物が強くなるという目安になっている。

 そのため、今俺が相手にしているアースドラゴンは指定危険度が『B』なため、かなり危険で凶悪な魔物なのである。

 しかし──

「──はっ!」

『グギャアッ!?』

 そんな、場合によってはB級冒険者ですら見て見ぬふりをするアースドラゴンを、C級冒険者程度の実力かつ、スヴェンから無能と呼ばれていた俺が圧倒している。

 アースドラゴンは、その肉体を岩でできた鎧のような鱗で守っているため、本来なら刃物で戦うのは愚策とされている。

 しかし、そんなアースドラゴンの鱗を、俺はまるで豆腐を切るかのように簡単に切り裂くことができていた。

 だが決して、俺の持つ剣が業物だとかそういったわけではない。

 一応知り合いの凄腕鍛冶師が打ってくれた剣ではあるものの、この剣の刃ではアースドラゴンの鱗を切り裂くことなんて、普通なら不可能である。

 しかし、それを俺は可能としている。俺は不可能を、可能にすることが出来ているのだ。

「いいわよノア! その調子で、どんどん攻めなさい!」

 遠くから、ステラの応援が聞こえてくる。

 そう。俺がこうして手強いアースドラゴンを圧倒できているのは、他の誰でもない。ステラのおかげなのである。

 アースドラゴンと出会う前、俺はステラと『血の仮契約』というものを交わした。

 その方法は実に煩悩を駆り立てられるものではあったが、俺は今、自分の持つ【ドラゴンテイマー】というスキルの真価を、これでもかとその身で味わっていた。

「分かる……どう動けばいいのかが、相手が次どう動くのかが、簡単に理解できる……!」

 アースドラゴンの僅かな動作で、次相手がどう動き、どう攻撃してくるかかがなんとなく予測できる。

 だがそれが分かったところで、動けなければ意味がない。しかし、俺の体はいつもよりも身軽に、それでいて素早く動けている。

 まるで、思考に体が反射で追い付いているような感じだ。まさに、本能のままに戦っているような感覚に、俺は確かな高揚感を得ていた。

「どうノア、すごいでしょ! これがドラゴンテイマーの力よ!」

「あぁ! これだけすごい力なら、本契約の方にも期待が高まるな!」

「ほ、本契約……ね。ま、まぁ……か、考えてあげないこともないけど……今はまだ、その、えと……」

 どこか急に歯切れの悪くなるステラだが、今はそんなことを追求している余裕はない。

 確かに圧倒はしているものの、相手はアースドラゴンだ。油断をすれば、足元をすくわれてしまう可能性もある。

 そのため、俺はステラから視線を外しつつも、目の前に立ちはだかるアースドラゴンへと肉薄を続けた。

『ガラァァアァァアッ!!』

 だが、アースドラゴンも簡単にやられるほどヤワではない。

 そのため、戦況が不利になったらその場でじたばたと暴れ回ったり、転がり回っていたりと自由に動き回っている。

 人間がしても意味のないような行動も、魔物がすれば十分な脅威になりえることがある。

 俺が転がり回ってもなにも起きないが、アースドラゴンが小さな村の中で転がり回ってしまえば、その村はきっとすぐに壊滅してしまうだろう。

 だが残念なことに、ただ暴れ回るだけでは今の俺に通用しない。

 いくらアースドラゴンのような凶暴な魔物でも、長時間暴れ続ければいつかはスタミナ切れを起こす。

 俺はそのタイミングを狙い、アースドラゴンの動きが鈍くなった瞬間、剣の柄を両手で構えながらアースドラゴンの懐へと潜り込んだ。

「これで、トドメだッ!」

『グギ、ァ──』

 隙を見せたアースドラゴンに放った俺の突きは、大きな胴体を穿ち、心臓を貫いた。

 それにより、急所を一突きされたアースドラゴンは断末魔の悲鳴を上げ、そのまま体を仰け反らせて倒れ込み、動かなくなってしまっていた。

 そして、喧騒に包まれていた森に静寂が訪れる。

 俺は、目の前で横たわるアースドラゴンの亡骸を見つめながらも、剣を鞘に収めてグッと小さくガッツポーズをとった。

「ノア、すごいじゃない! 初めて力を使うにしては、上手く使いこなしているように見えたわ。多分、あなたにはそういう才能があるのよ!」

「ありがとう。だが、これは全部ステラが協力してくれたおかげだ。俺はもう、ステラには頭が上がらないよ」

「ふふん、当然よ。むしろ、私の力を借りて不甲斐ない結果を残したら許さないんだから」

 少し手厳しいことを言うステラではあるが、俺に頼られていることが嬉しいのか、発言とは裏腹に少し照れたような表情を浮かべていた。

 それでいて、ステラは豊かに育った胸をこれでもかと張り、自慢げにドヤ顔を決めている。

 だがステラは意外にも身長が低く、百七十後半はある俺の胸元辺りに顔があるため、誇らしげに胸を張っているその姿が俺の目には非常に可愛らしく映っていた。

「まぁ、とりあえず……これで、ギルド立ち上げの資金は確保したも同然だな」

「そうね。これだけ大きいのだもの。それに、トカゲのくせにドラゴンだなんて名前を語ってるのだから、それこそ金貨百枚くらい貰えないと困るわ」

 若干不満そうではあるものの、ステラもアースドラゴンが高値で売れることを期待しているのか、いつもよりも表情が明るいものになっていた。

 そんなステラを見てほっこりしていると、いつの間にか俺の右手の甲にある痣が元の黒色に戻っており、軽かったはずの剣が少しばかり重くなったような、そんな気がした。

「……なるほど。これで、もう契約の効果が切れるのか。強力ではあるが、持続時間が短いのも少し面倒だな」

「そうね。だから、そのために本契約があるのだけれど……」

「……? なにか、問題でもあるのか?」

「問題というか、その……本契約の儀式は、少し特別なものだから……もう少し親睦を深めてから、ね?」

 頬をほんのりと赤く染め、もじもじとしながら話すステラの姿に、俺の心臓は大きく高鳴っていた。

 仮契約で、あれだけのことをしたのだ。

 もしこれが本契約となれば、ステラの反応を見る限り、きっとかなり過激なものなのかもしれない。

 だが、もしそれが俺の想像しているものと同じだとしたら、確かに親睦を深めてからの方がよさそうだ。

 そんなことを考えながらも、俺はステラと協力をしてアースドラゴンの素材を剥ぎ取れるだけ剥ぎ取り、アグニエル王国へと帰還するのであった──
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。 故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。 一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。 「もう遅い」と。 これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...