スキルが全ての世界で無能力者と蔑まれた俺が、《殺奪》のスキルを駆使して世界最強になるまで 〜堕天使の美少女と共に十の塔を巡る冒険譚〜

石八

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始まりの塔編

第13話 結論

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 俺は今、始まりの塔の二十四階層目にいる。
 グレイルーフを倒し、十階層目をあとにしてから既に数十時間は経過しているはずだが、あまり実感は湧かなかった。

 そして、俺のスキルはここまで数を増やした。


───────────────

レイ:剣士《岩砕を討ちし者》 男 21歳

ノーマルスキル
・身体能力強化Ⅲ ・腕力IV ・脚力Ⅲ
・刺突Ⅰ ・弓術Ⅰ ・剣術Ⅲ ・体術Ⅰ
・威嚇Ⅲ ・炎属性魔法Ⅰ ・氷属性魔法Ⅰ
・風属性魔法Ⅰ ・土属性魔法Ⅰ

パッシブスキル
・気配察知Ⅰ ・危険察知Ⅰ ・毒耐性 (微)
・温熱耐性(強) ・寒冷耐性(強) ・加速Ⅰ
・炎属性魔法耐性(中) ・氷属性魔法耐性(中)
・風属性魔法耐性(中) ・土属性魔法耐性(中)
・魔力操作Ⅱ ・魔力探知Ⅱ

スペシャルスキル
・鑑定眼Ⅰ ・火事場の馬鹿力
・熱線球生成・放出 ・氷の鎧
・風の障壁 ・錬成

レジェンドスキル
・殺奪

───────────────


 と、まぁ……あれからスキルの数や一部のスキルレベルは飛躍的に増加した。

 結論から言うと、俺はグレイルーフを倒してからまた二匹のボス級の魔物を討伐した。

 まず、十五階層目で俺を待ち構えていた《ストーヴァ》は、全長二メートルあるかないかくらいの大きさの、イタチの姿をした魔物であった。

 大きさは魔物の中では小柄ながらもその分目で追うのがやっとなほど素早く、それでいて体の周りに纏わせている不可視の風には、大分頭を悩まされた。

 近付くだけ肉を切り裂く不可視の風──スキル名は《風の障壁》なのだが、このスキルは攻撃にも防御にも活用できるため、素早いだけでなく攻撃や防御面でも完璧なストーヴァは、かなりの強敵だった。

 しかしその分、体力面はかなり貧弱だった。

 俺がグレイルーフから取得した《氷の鎧》を全身に纏い、捨て身覚悟で接近。そして腹部に一度刺突しただけでほぼ瀕死になり、そこからは間髪を入れず追撃し続けた結果、ストーヴァは呆気なく息を引き取った。

 そして手に入れた称号は《風鼬(かぜいたち)を討ちし者》。
 効果は、《炎魔猿を討ちし者》や《氷狼を討ちし者》の効果を風属性にしただけのようなものである。

 次に、二十階層目。
 そこには《ゴーレオーガ》という名の、全長五メートルを超える土人形──俗に言う、ゴーレムが待ち構えていた。

 図体が大きく攻撃は当てやすかったのだが、《鑑定眼》で調べたとき手に入れた情報では『物理攻撃を完全に無効する』とあったので、正直一番面倒くさい相手であった。

 なぜなら、その体を形成している岩の装甲は硬いだけでなく自動修復機能を持ち、生半可な攻撃ではすぐに再生されてしまうのだ。

 しかしそれはスキルではなくゴーレムの性質だったらしく、スキルとしては取得できなかった。俺の中ではその強力なスキルを得られると思っていたので、酷く落ち込んだ記憶がある。

 話は戻るが、ゴーレムと聞くと図体が大きく攻撃力は高いが、鈍足であると有名な魔物である。

 だがゴーレオーガは一味違った。
 なんと《錬成》というスキルの力で床や壁を操作し、遠距離から攻撃してきたのだ。

 だからといっても近付けば踏み潰されそうになるし、《錬成》の有効範囲外に逃げようものなら自分の足場の床を突出させ、俺との距離を一瞬で詰めてくる。

 最初はこんな魔物をどう倒せばいいのかと、割と本気で絶望したものだ。

 物理攻撃は効かない。
 魔法も俺の取得しているレベルでは体の表面に傷をつけるだけだし、いくら傷をつけてもすぐに再生される。

 さすがに詰んだなと思ったのだが、そこで俺はある希望を見いだした。

 そのために、俺は称号を戦闘中に《風鼬を討ちし者》にして、ゴーレオーガから距離を取りに取ったのだ。

 いくら優秀な遠距離攻撃も、ストーヴァから取得した《風の障壁》があれば守ることができるため、少しだけだが時間稼ぎができる。

 そして距離を取ると、決まってゴーレオーガは自分の足元に《錬成》を使用して距離を詰めてこようとする。

 こちらへと伸びてくる足場の根元目掛けて、俺は《風属性魔法》であるウィンドカッターを無我夢中で連発し、執拗に同じ箇所を攻撃し続けた。

 結果として、俺は突出した床を根元から折ることに成功する。

 それにより、無駄に高々と移動していたゴーレオーガの足場は崩れ、ゴーレオーガは勢いよく地面と激突し、体がバラバラに砕け散ったのだ。

 そして、俺は最後にゴーレム等の魔物にあるといわれている核を探しだし、ゴーレオーガが完全に再生する前に剣で刺突を繰り返し、破壊することに成功した。

 そう、ゴーレオーガの『物理攻撃を完全に無効する』は、外側の装甲だけで核の部分には該当されてなかったのだ。

 ──と、そのようなことがあり、おそらくゴーレオーガとの戦闘は軽く二時間は超えていたと思う。それほどの激戦であった。

 それで、手にした称号は今俺が設定している《岩砕(がんさい)を討ちし者》で、その効果は──言わずもがなである。

 まぁ、なんやかんやあってやっとここまでたどり着くことができたのだが──

「──いったい、この塔はどこまで続いているんだ?」

 道中獣系の魔物の肉を食らって腹を満たし、ここまでやって来れたのだがそろそろ限界も近い。

 まだこの塔に潜ってから数日しか経過していないはずだが、もう何十日以上も潜っている気分である。

 太陽を見ていないからなのか、同じ景色を見ているからなのか、魔物を倒し続けているからなのか……それは分からない。

 それでも、俺はある確信を得ていた。

「あの声が、近くなってきている」

 かつてバーニグモーラ戦で気絶したときに聞いた謎の声が、階層を上れば上るほど近くなってきているのだ。

 声が聞こえるタイミングはバラバラだが、確実に言えることはその声が聞こえてくる頻度が多くなってきているという事だ。

 しかし、途中から謎の声は同じようなことしか言わなくなってしまった。

 ずっと繰り返すように『最上階で待ってる』と言われて、引き下がれるはずがない。

「いくら罠でも、俺はこの目でその真実を見届ける」

 俺は腰に携えた刀身が赤黒い剣を引き抜き、魔法陣の上に立つ。

 ちなみに、この剣は二十二階層目にいた《ダークブレイド》という名の、黒いマントを羽織った骸骨の形をした魔物から奪ったものだ。

 昔ギルドでダークブレイドの討伐依頼を見たことがあるが、受注条件はギルドランクがB以上の方と書いてあったので、今の俺の実力はBランク冒険者と同等かそれ以上だろう。

 それは確かめてみないと分からないが、自分でも自分が異常なほど強くなっていっていることを実感しているため、少しばかり誇らしいとは思っている。

 だが、それに比例して最近つまらないと感じてしまう。

 新しいスキルを手に入れても頭痛が起こることはなくなったが、変な虚無感や倦怠感に襲われるのだ。

「…………まぁ、慣れたせいかな」

 人間の慣れとは恐ろしいと感じながらも、俺はもう一度ステータス画面を見つめ、称号が《岩砕を討ちし者》であることを確認する。

 どうやらこの塔には規則性があるらしく、例えば五階層目で倒したバーニグモーラから取得した《炎属性魔法》が十階層目のグレイルーフに有効なように、あえて有利属性を取得してからボスに挑めるようになっているのだ。

 なぜこんな考えに至ったのかというと、俺の中ではある確信が生まれていたからだ。

「この塔は、俺のために──いや、《殺奪》を取得している者を最上階へと導くためのものだ」

 少し前にもこのような考えをして自意識過剰だと笑ったことがあったが、今ではそれが確信になっている。

 なぜなら、もうそうでないと説明がつかないからだ。

 この塔は、五階層ごとにボス級の魔物がいる。
 そしてその魔物を倒すと、その魔物が得意としていた属性に対応した魔法陣が生成される。

 そこまではいい。
 だが、そう考えると今俺がいる二十四階層目に訪れるには、最低でも四種類の魔法を覚えていないといけないのだ。

 前にも説明した通り、いくら優秀な魔法使いでも四種類の魔法を覚えていれば大したものであり、それ以上はまさに賢者レベルになる。

 たとえもしここがそんな優秀な魔法使いにのみ攻略できる塔であるのなら、道中で見かけたあの魔物の存在を否定することになるだろう。

 その魔物とは、十八階層目にいた《マジックトレント》という植物の魔物で、魔物の特性上魔法が効かないのである。

 つまり、この塔はかなり優秀な魔法使いと、そんなマジックトレントやボス級の魔物に肉薄をする、優秀な近接職を必要としている。

 だが、それを可能とする者は非常に少ない。
 ジークやフィリアなら可能かもしれないが、もしフィリアが取得している魔法の内、炎か氷か風か土がなければ、そこで歩みは止まってしまう。

 天から降ってきた塔だから──と言われればこの塔の難易度に説明がつくが、それではあまりにも難しすぎて、攻略させる気がないとすら思えてくる。

 そもそもこの塔が攻略前提なのかは不明だが、それでも俺は最上階へと目指さなければいけないのである。

 あの謎の声と、この塔の真相を知るために──

「よし、行くか」

 二十五階層目への魔法陣を踏み、俺は二十五階層目へと転移する。

 そこに広がるのは、いつもと変わり映えのしない正方形のただ広いだけの部屋。

 その部屋の天井付近では、神々しい光を体中から放つ全長四メートルほどの鳥が、優雅に飛び回っていた。

 《鑑定眼》によると、名は《ディアニティー》。
 体に纏う光は全ての魔法攻撃を無効化する能力を持つという、まさに魔法使い泣かせの魔物であった。

 それでいて地上へ降りて来る素振りを一切見せないため、優雅な見た目に反していやらしい魔物であった。

「(やはり、この塔は……)」

 全魔法攻撃を無効化するなら、やはり魔法使いは活躍できない。

 それにあれほどまで空高く飛んでいるのなら、近接職も近付けず一方的に嬲り殺されるだろう。

 そう分析していく内に、俺の確信は更なる確信へと変わっていた。

「……言い逃れはできない。この塔は、俺を招待している」

 最初に初心者殺しと出会ったのも、もしかしたら《殺奪》の能力を発揮させるための伏線だったのかもしれない。

 いや、それに関しては本気で死にかけたため偶然の産物かもしれないが、初心者殺しのスキルのおかげでここまで強くなれたのもまた事実。

 本当にこの塔が俺を招待しているのか、はたまた誘うだけ誘って俺を利用しようとしているかは分からない。

 それでも、俺は挑み続ける覚悟があった。

「行くぞ……ディアニティー!」

『フィィイイィィイイィィイッ!』

 鈴を転がしたような声が部屋の中で反響しつつも、ディアニティーは俺に殺意を向けて《光属性魔法》らしき魔法を飛ばしてくる。

 それに対し、俺は道中の魔物から取得した《魔力操作》のスキルを使用し、魔法が俺に命中する寸前で軌道を逸らし、やり過ごすことに成功した。

 そんな俺を前にディアニティーは目を見開き、俺は口角を上げる。

 さて、今回はどう戦うか──そんな思考が俺の脳内を覆っていくと同時に、俺の体が動きだすのはまさに戦闘慣れしたことで無意識の内に生じるものであった──
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