Day Walker

みさ☆バニー

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Day Walker 25

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空港の時刻表とにらめっこ。
 行き先は北だけど。何処に行くか、決めてない。悩むなぁ。
 ケンと別れてからもディウォーカーのままだ。自分の身位、自分で守らなきゃ。

 携帯で北欧の見所を探す。
 んぉ!サンタクロース村?良いじゃないか。行き先を決めて蓮にメール。

 『フィンランドに行きます!そしたらきっと帰れると思う。』

 『わかった。待ってる。』

 俺はフィンランド行きの飛行機に乗った。

 まだ夏なのに冷んやりしてる。言葉も英語じゃないから、更に分からない。頼むよ翻訳アプリ!とりあえず宿泊先を探さなきゃ。カミーノ歩いてすぐに来たから、ちょっとゆっくり休みたい。短期滞在出来る安宿を探そう。それから、蓮に頼んである国際免許証を受け取らなきゃいけない。あんまり交通の便が良くないからね。

 インフォメーションで何とか安めのモーテル紹介してもらった。コテージでも良かったけど1人には広すぎる。2週間滞在で部屋を取れた。

 ふむ。ちょっと古めだけど、シンプルでいい。シャワーもちゃんとあるし、小さいけどサウナまである。近くには公園もあって、のんびり出来そうだ。

 近くのスーパーに向かう。いくら、遠慮せずに使えと言われてるカードでも、これは蓮のだ。出来るだけ節約する為基本自炊だ。それに米食べたい。あるといいけど。

 うわー、物価たけー。野菜と肉類、パンと・・・米あった!高いけど買う。他諸々買ってモーテルへ帰る。途中、何人か声かけられたけど、ガン無視。言葉分からんし。勿論、男からね。
 ムム。両手が塞がって鍵が出せない。もたついてたら、女主人が来て笑いながら助けてくれた。ここが女性経営者って聞いたのも決めての1つ。
 テレビをつけても何のこっちゃわからない。
 少し冷えたので、サウナに入る。うん。気持ちいいね。シャワー浴びて汗を流したら眠くなった。もうカミーノじゃ無いし、自由に寝れるのは良い。時差ボケもあってあっという間に就寝。

 公園に行ったり、街ブラしたり。自由を満喫する。たまに写真を撮って華や蓮に送る。俺の精神状態が安定してるのが分かって喜んでくれてる。
 正直、髪の毛切りたいんだけど注文が面倒で行ってない。もう、胸辺りまで伸びてる。ヘアゴムを買い、結う。あんまり目立たない様に。男共が鬱陶しいが、中には本気で女性と間違えて、男だと分かると立ち去る奴もいる。どうやら無闇矢鱈に惹きつけてる様では無いらしい。

 公園で、パンを齧りながら遊ぶ子供達を眺める。白人が多く、ブロンドの子も沢山。天使みたいに可愛い。俺が女だったら、蓮の子産めたのかな。とちょっと虚しい事考えたりした。

 カミーノではケンが居た。今は本当に独りだ。自分と向き合うことが出来る。自分を許せる事が出来るかな。

 1週間位経つと街にも馴染んできた。夜、バーに行ったり、スィーツ巡りも楽しんでる。英語もフィンランド語も分からないので、勘と最低限の英単語でワインやスィーツ頼む。何が来るか分からないドキドキも結構楽しい。

 でも、流石に寂しいな。話す相手が居ない。・・・蓮に逢いたい。もう5カ月位会ってない。1年振りに再会して1日でまた別れた。こんなに好きなのに何してんだろ。

 コンコン。
 ドアがノックされた。覗き窓からみたら、女主人だ。何だろ?もう夜の9時だ。
 ドアを開けたら。
 蓮が立ってた。
 「ど、どうしたの?」
 「中に入れてくれない?」
 あぁ、そうだね。女主人に会釈して、蓮を中に入れる。
 「国際免許証持ってきた。ついでに俺も取ってきたから。」
 逢いにきただけじゃくて、旅も一緒って事か。
 「独り旅の意味が無いんだけどな。」
 「よく考えたらだ。俺まともに旅行とかした事ない訳。金だけ出してたら、なんかムカついてきたから来た。」
 あはは、そりゃそうだな。
 「なぁ、サンタクロース村に行くんだろ?いつ行くの?」
 「えっ?あぁ、免許証来たら行こうかと思ってたよ。」
 「明日は無理?」
 そんなに行きたいんか。
 「ん~まだゆっくりしたいかな。あと4日位ここ取ってるから。」
 「そうか。分かった。ここ出たら行くんだね。」
 「うん。行くよ。」
 俺別の部屋取ってるから、と時差ボケで眠いらしく部屋に帰った。
 逢いに来てくれたけど、どうやら距離を取ってるみたいだ。ん、ありがとう。
 翌日は天気も悪く蓮も寝てるし、俺も部屋でゴロゴロ。携帯で動画みたりして過ごす。
 午後、腹減ったと蓮が来た。食料も無くなったし外食兼買い出し。気に入ってるレストランに連れて行く。俺が入店するとオーナーの兄ちゃんが毎回ハグしてくるけど。
 美味いなと言って、蓮も満足してくれた。帰りにスーパーに寄って買い物。
 「自炊するの?」
 「うん、キッチン付いてたら基本自炊だよ。」
 米も鍋で炊けるしね。

 お世話になったモーテルを出発。
 正直、四日間一緒にいたから、その、エッチな事するかな?と思ってたら、一切無し。蓮は俺を求めて来なかった。ちょっと不安になる。
 蓮の運転でサンタクロース村を目指す。かなり距離があるから、途中で交代。助手席で泊まる先を蓮が探す。スゲ~英語ペラペラ。
 「今日、泊まる場所決まったよ。道沿いだから、分かりやすい。レストランもあるから出なくて済むな。」
 「そうか、ありがとう。」

 ホテルに到着。
 何と部屋は別々。マジか。そこまで距離取らなくても良いんだけどなぁ。
 「ゆっくり休めるだろ?」
 まぁ確かにそうだけど!なんか哀しい。
 レストランで食事を済ませるとサッサと各自の部屋へ。
 「おやすみ、凛。」
 「うん、おやすみ」
 モヤモヤするなぁ。メールで
 『もう、寝た?あのさ、何でそんなに距離あけるの?』
 すぐに返信。
 『だって、凛の独り旅だろ?俺はちょっとお邪魔してるだけだし。フィンランドが終わっても帰ってくる保証は無いし。顔見に来ただけだよ。』
 なんか寂しい。もう返信しなかった。蓮の本音聞けたから。自分から離れといて寂しいとか我儘もいいところだ。デッカイベッドに丸まって眠る。

 翌日、何事も無かったように出発。俺的には気まづいんだけど。
 「おおっ!もうすぐ着くぞ!サンタクロース村!」
 蓮だけテンションが上がってる。俺は楽しみにしてたけど、ダダ下がり。
 到着して、車から降りようとしたら腕を掴まれ抱き込められた。
 「え?な、何?」
 顔を上げたらキスされた。それも性急な。蓮の手が俺の身体を弄る。
 「まっ、待って!何してんだよ!サンタクロース村着いたよ?行かないの?」
 「行くけどね。その前に・・・」
 蓮は俺のズボンの前を開き、いきなり咥えた。
 「ちょ、ちょっと止めて!」
 俺の言葉は無視。バックにも手を伸ばし指を這わしている。マジか、車内でやんの?まだ午前中なのに。誰かに見られそうで集中出来ない。
 指を唾液で濡らして挿入してきた。
 「ンッ!アッ、ハァッ」
 声我慢してと言われて慌ててハンカチを咥える。俺の息子を口で奉仕しながら、指で内壁を掻き回す。前立腺を探してるみたい。少し腰をズラし、指が動けるように足も開いた。
 (めっちゃ気持ちいいっ!)
 腰が浮く。指が増えて快感が増す。狭い車内にグチャグチャといやらしい音が響く。蓮にも触れようと手を伸ばしたら、払われた。俺だけなの?
 「ん、んんっ!」
 はしたなく腰を突き出す。指がピストンを始めたからだ。腹が熱い。もっと奥まで欲しいけど車内じゃ無理だ。前の刺激とバックからの快感がシンクロして俺を追い立てる。
 「・・・・んっ!れ、蓮、もうイクッ!」
 「いいよ、出して。飲んでやる。」
 あぁッと喘いで達してしまった。蓮は美味そうに俺の精液を飲んでる。
 「はぁ、な、何で今なの?ホテルでも良かったのに。」
 「ん~何でかな。何と無く。あー、でもアナニーしてただろ。柔らかかった。」
 「・・・・」
 「それにケンを思い出してね。俺とアイツは結構色々話すから。」
 「な、何を?」
 「カミーノで一緒に歩いただろ、アイツほぼ毎日、凛をオカズにして抜いてたらしいよ。よく襲われなかったな。アイツの我慢強さに感謝だな。」
 「だっ、だって、ケンはどんなに綺麗でもゲイにはならないって、初日に言われたぞ?」
 「うん、最初はな。ディウォーカーの姿見てかららしいね。」
 そういえば、血液くれた直後トイレいったな。マジか。
 「その後からずっとそのまんまなんだろ?ちゃんと自分の身は自分で守れてるって事だって分かったから、いわば今のはご褒美。」
 笑いながら、車から降りた。俺も慌ててズボン上げて降りる。

 クリスマスでも無いのに、サンタクロース村は年中クリスマスだ。楽しい♪雑貨も可愛い。華になんか買おう。
 「凛、こっちこっち!」
 蓮も楽しんでる。来てよかった。サンタクロースと写真撮れるのか。一回3000円?まてよ、高くないか?
 「いいんだよ、楽しまなきゃ。」
 デカイ男2人とサンタクロースのショット。微妙。
 「にしても、髪伸びたね。さっき間違えて女の子に声かけちゃったぞ。」
 蓮まで間違えてどうするよ。確かにコッチの女性は俺くらいの身長は珍しくないけどさ。髪切らないの?と聞かれた。
 「いや、切りたいんだけど言葉分かんないし、短くしすぎると癖っ毛だから跳ねまくっちゃうからさ、細かく説明出来ないから無理。」

 帰りの車内で、何処に電話してる。
 「次の街に結構評判が良い美容室があるから、行こう。俺が説明するから。」
 有難い。もう結構邪魔なんだ。

 美容室に入り横に立って、細かく注文を付けてくれた。勿論、女性の美容師さん。
 「綺麗な髪だから、切るのもったい無いって言ってるけど、どうする?」
 今、胸の下位まであるから、そうだな。10㎝位切って貰おう。あと、軽くなる様にすいてと頼む。

 小一時間で、サッパリ。
 「あんま変わんないじゃん。」
 変わっただろ。切った髪の毛かなり落ちてる。会計を済ませて外へ出る。
 コーヒーショップで休憩。
 「この先どうするの?」
 まだ決めてない。帰るかどうかも。
 「まだ迷ってるね。無理矢理引っ張って連れて帰るつもりはないよ。」
 うん、ありがとう。
 「ただね、大学生とは言え、娘を残してるのは忘れるな。父親なんだぞ。」
 そうだ、ずっと自分の事ばかり考えて旅してる。
 「せめて、成人するまでは親の責任があるからな。」
 確かにそうだ。
 「寂しがってる?」
 「そりゃそうだろ?顔や態度には出さないけど、最後はあの古城だぞ。寂しいし、心配してる。」

 「待ってる家族が居るって事は帰る場所があるって事だよ。」

 「誰も凛が汚れてるとか逃げられたのに逃げなかった事なんて、これっぽっちも考えてない。」

 俺は両手で顔を覆う。泣いてるからだ。大の男が表で泣くなんて。

 少し落ち着き、顔を上げる。
 「アイスランドにブルーラグーンって言うデッカイ温泉があるんだ。そこに蓮と行って・・・家に帰る。」

 「あぁ、アイスランドのか!有名じゃないか。そうだな。折角、北欧まで来てるんだ。楽しんで帰ろう。次は皆んなで来たら良い。」
 蓮のテンションが上がる。俺はフフッと笑みが零れた。
 「凛が笑うと俺、すげー幸せだ!分かる?俺の気持ち。」
 分かるよ、テンション上がるもん。

 途中で水着を買って、アイスランドへ。
 華にもうすぐ帰ると連絡すると、手料理作って待つから、帰国日教えてね!と返信。
 そうか、家事もやる様になったんだな。成長したな。華の料理なんて始めてだ。楽しみだな。

 「でけ~な。」
 2人揃って口にした。綺麗なブルーラグーン。次は絶対、皆んなで来よう。
 「ちょっとぬるめだけど長湯できるな。」
 蓮はスィーッと泳いでる。結構深い。
 「うーん、気持ちいいなぁ」
 「うん。気持ちいい。」
 俺も泳いで蓮に近寄る。
 「あのさ、もしスケジュール合うなら、華や健太に蓮も一緒にカミーノ歩かない?」
 「うーん、健太は厳しいかな。社畜だし。そんなに楽しかった?」
 「楽しいってか、まぁ歩いてるだけでスタンプラリーみたいなモンだけど、充実感半端ないよ。俺また歩きたいもん。」
 「つい、1ヶ月前位にゴールしたばかりなのに?」
 「うん。汗かくし、道は濡れてドロドロで、肉刺は出来るし、疲れるけど良いよ!」
 「・・・どこが良いのか分からないよ。」

 アイスランドを後にする。
 「実はね、ガブリエルが来たんだよ。」
 へえ?俺がいない時も現れるのか。
 「早く凛を迎えに行けとね」
 「なんで?俺の所には一回も来なかったよ?」
 「うん、理由は分かんないけど俺のとこに来て、凛を迎えに行けって。また彼奴らが動き出してるみたいだ。」
 
 俺の身体に恐怖が走る。またナイトウォーカーと顔合わせるのか。
 「大丈夫。凛を1人にしないし、ガブリエルによれば凛が目的じゃなく、流れ者達らしい。」
 流れ者?逃げて来た奴らか。
 「だから、日本に帰る前にイタリアに寄る。情報が欲しいからバチカンに行く。それにケンにも、会いたいしな。」
 え?この飛行機、日本行きちゃうの?
 「バチカンで誰に合うの?」
 「ガブリエルが現れたら手っ取り早いんだけど、アイツはいつ来るか分からんから、エクソシストの責任者に会う。もうアポも取った。」
 成る程。
 「どうやら、ディウォーカーの存在は把握されてる。たった4人しか居ないのにな。バチカン、どんだけ世界中に人出してんのかね。」

 イタリアに着く前にケンにメールをしてたらしい。到着口にあのデカイ白人、ケンが待ってた。
 「凛!逢いたかったよ!」
 抱きつかれた。ちょっとオカズにされてた件を聞いてるから、引いてしまう。
 「おい、離れろ。まず俺に挨拶だろ?」
 「あぁ、久しぶり!元気だった?」
 「白々しいな。凛が目当てで空港まで来たんだろ?」
 「おっ!正解。蓮だけなら、バーかどっかで待ち合わせする。」
 素直過ぎるだろ、ケン。
 「ん?凛、警戒してる?僕は紳士だよ?襲わないよ。カミーノでもそうだったろ?」
  確かに襲わなかったけど、オカズにはしてたんだろ?
 「お前と遊ぶ前に野暮用済ませる。」
 「バチカンだろ?車で送るよ。」

 バチカンに着き、観光客が来ない関係者のみの入り口へ向かう。アポ取ってある事を伝え迎えを待つ。
 「よくいらっしゃいました。此方へ」
 日本語だ。助かる。

 「バチカンが活発にエクソシスト活動するとヨーロッパからアジア方面に闇の者達が流れてきてる。どうするつもりだ?」
 「私達もそれは予想外でした。闇の住人がそんなに活動範囲が広いとは思っていませんでした。」
 
 「予想外?そんな一言で済ませないぞ。彼は1年もの間、闇の住人に監禁されてたんだ。その責任はオタクらにもある。」
 冷静だが、言葉には怒りが籠ってる。
 「どこで監禁されていたんですか?そんな情報は上がってきてません。」
 「ドイツだ。ドイツの片田舎の古城だ。把握してる筈だ。」
 「確かにドイツの古城は、私達もマークしています。被害者が出ていましたから。」
 そうだ。奴等は夜になると人間を狩りに行っていた。
 「まさか、そこに貴方が監禁されてるとまでは、流石に把握は出来ませんでした。助けられず申し訳ない。」
 「良いです。もう終わった事ですから。」

 「俺達は、いつもガブリエルから一方的に伝達されて、動くだけだ。アイツもいつ来るか分からないから、情報が無い。」
 「情報が欲しいという事でしょうか?」
 「そうだ。こっちはディウォーカー4人とナイトウォーカー1人しか居ない。相手出来る人数はそんなに多くない。」
 成る程と担当者、どうやら責任者らしいこの男性が考える。
 「私も司祭ですから、司祭の限界はわかります。闇の住人達を倒すには私達だけでは無理です。」
 「一体エクソシストは何の為に居るんだ?」
 蓮が声を荒げる。
 「エクソシストは、信者の精神を落ち着かせる為に動いています。悪魔に憑依されてると思い込んで苦しむ信徒の為に。」
 「じゃ、要は形だけで、悪魔や闇の住人達には全く敵わないって事か。」
 「いえ、悪魔とは実際、戦っています。儀式も効果があります。しかし、実体のある闇の住人には戦うすべを持ち合わせて無いのが実情です。」
 「何だそれ。意味ねーよ。」
 ハァと溜息を着く蓮。ディウォーカー以外に一緒に戦える仲間が必要なのだ。
 「倒せなくても、追い払うとか、結界を張るとかは出来ないんですか?」
 「成る程。それは出来ると思います。教会の敷地を聖別して闇の住人達が入れない様に出来ます。」
 「じゃ、人間達を避難させられますね。」
 「えぇ、出来るでしょう。あと闇の住人は貴方達と違い、聖水や聖書、十字架を忌み嫌いますから追い払う事位は出来るでしょう。司祭が恐怖に打ち勝てば。」
 「実践経験が無ければ、エクソシスト講座受けただけの司祭じゃ役には立たないな。」
 「確かに。ですから今ドイツやヨーロッパで実践を積ませてます。」
 「悪魔払いだけじゃ意味は無い。」
 「いえ、実体のある闇の住人との実践です。」
 
 「へぇ。で、今の戦績は?」
 「まだ不利ですね。もう司祭側にも被害者が出てます。」
 「まだまだってとこか。」
 「えぇ、まず闇の住人の住処を特定し、日中の襲撃になりますから。一般人の目に触れたらパニックになります。」
 「人手が足りないって訳か。」
 「そうですね。戦い方も手探りです。」
 ふむ。戦い方か。実戦は俺達の方がある。
 「これは提案ですが、俺達ディウォーカーと一緒に一度、闇の住人達に襲撃をかけませんか?昼間じゃなく夜に。夜の戦いが出来れば昼間の攻撃は簡単でしょう?」
 蓮が驚いてる。確かに俺のPDSDは、治ってない。ナイトウォーカーには会いたくも無いし、考えるのも嫌だ。だけどいつまでも逃げられないし、ヨーロッパで抑え込まれたら日本に流れ込む数は減るだろう。
 「凛、無理はするな。わざわざ嫌な目を思い出す必要は無い。」
 「だけど、ヨーロッパで食い止められたら、流れ込む数も減る。俺達の存在を恐怖の対象にすれば、わざわざ日本には来ないだろう?」
 「良い案ですね。我々は受け入れますが、そちらは大丈夫ですか?」
 「えぇ、具体的に計画さえ立てれば、すぐに皆を呼びます。」
 「分かりました。エクソシストで実践向きの司祭を集結させます。準備が整い次第、こちらからご連絡いたします。」
 「よろしく。」

 自分で提案したものの、上手く行くか不安だ。身体は恐怖で動かないかも知れない。既に硬く力が入ってる。
「凛、無理はしないで。断る事も出来るんだ。」
 〔もしもし~、今夜遊べる?〕何とも気の抜けたケンからの電話。
 「今夜は無理だ。暫く滞在するから、こっちから連絡する」
 そう言って電話を切る。きっとケンは楽しみにしてたのに。悪いな。

 滞在用に広めのホテルを蓮が取ってくれた。イタリアのど真ん中だ。きっと高いだろうな。
 広いバスに湯を張る。さっきの提案で力が入っちゃってる俺をリラックスさせる為に準備してるみたいだ。良い香りがしてきた。甘い花の香りだ。
 「こっちにも入浴剤みたいなのがあるみたいだね。良い香りだ。」
 蓮が、バスから声をかけてくれる。
 「うん、良い香りだ。ありがとう蓮。」
 「一緒に入ろう?」

 う~ん、外国のバスタブ、広くて良いなぁ。まぁ2人で入るには狭いけど。
 特に会話もせずに、マッタリとぬるめの湯に浸かってる。蓮の足の間に座って蓮に背中を預けて。
 グルッと腕を廻されて
 「凛。今日は凛が欲しい。良い?」
 俺はコクッと頷いた。
 
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