最強勇者は二度目を生きる。最凶王子アルブレヒト流スローライフ

ぎあまん

文字の大きさ
29 / 51

29 マナナの今後

しおりを挟む


「まぁ、人に化けて誤魔化すというやり方もある」

 宴会は続いている。
 肉が焼けて俺たちが喜んでいるとゼルがそんなことを言った。

「化ける?」
「問題なのはその体から出っ張っているものだからな」

 ゼルがマナナの角やら翼やらを指す。
 そのマナナは、小さく切った肉をフォークを使って無心で食べている。
 最近ようやく、フォークを使えるようになったんだよ。
 手掴みか、さらに口を直接持って行こうとするところから、フォークとスプーンを使えるようにしたんだ。
 苦労した。

「できるのか、こいつに?」
「う~?」

 自分のことを話していると気付いたのか、マナナが顔を上げる。
 こら、口を開けて噛むんじゃない。

「できるだろう。むしろ、俺様より肉体と魔力の境目が怪しいぞ。制御をきちんとできれば、自然と出し入れできるようになる可能性もあるな」
「ほう」
「まぁ、いまはとにかく、知恵が育つのを待つだけだな」
「知恵か」

 フォークでちまちま食べるのに飽きて、自分の皿に乗っている肉を全て口に流し込んだマナナにそれを期待できるのかどうか。
 なにしろ元は竜だしなぁ。

「まぁ、自分と他人の境界線はできているよな」

 と、俺が呟いたところで、カシャの皿から肉を奪っていった。

「なにするんですか⁉︎」
「う~ぎっ」
「もう!」
「できているよな?」

 なんか不安になる。

 とにかく、そういう感じでゼルディアとカシャがご近所になった。

「やるからにはちゃんとやる! それが俺様だ!」

 朝食が終わった時間に呼び出され、なにかと思えば大量の書物の前でゼルが立っていた。
 どうやら外でやるらしい。
 青空教室だ。

 最初の一時間はマナナとカシャを含めた基礎教養の時間。
 というか、マナナのために絵本を読み、カシャのためにこの辺りの常識を教えていくというもの。
 その後で俺に貴族的教養というものを叩き込んでいく。

「だりぃ」
「こら、手を抜くな」

 空中に光の線で描いた帝国地図の国名を覚えるのがしんどい。

「魔法式は覚えられるくせに、なんで国名ごときが覚えられないのか」
「やる気の問題?」
「なら、やる気を出せ」
「ぐへぇ」

 すでに解放されたマナナとカシャは少し離れた場所で遊んでいる。
 いや、あれは喧嘩してるのか?
 仲悪いな、あいつら。

「帝国の現在を説明してみろ」
「無茶を言うな」
「間違っていたら修正するからさっさと言え」
「ああもう」

 帝国……アーサリア帝国。
 アーサーが俺たちのいる西部諸国を支配し、アーサリア帝国を建国、さらに東に進出する。
 その後も代を重ねながら版図を広げ、三代目のヘンリーで現在の帝国となる。
 いくつかの内乱や外敵との脅威と戦いながら、国内の整備やら改革やらを進めていき、現在の皇帝は十代目、アーサー3世。

「ん、まぁ、正解」
「なんで面白くなさそうなんだよ」
「よし、それなら、アーサー3世が現在進めている……」
「それ、俺が絶対知らないやつだろ!」

 そんな感じでギャアギャアやりながら、時間は過ぎていく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸
ファンタジー
天上魔界「イイルクオン」 世界は大きく分けて二つの勢力が存在する。 ”人類”と”魔族” 生存圏を争って日夜争いを続けている。 しかしそんな中、戦争に背を向け、ただひたすらに宝を追い求める男がいた。 トレジャーハンターその名はラルフ。 夢とロマンを求め、日夜、洞窟や遺跡に潜る。 そこで出会った未知との遭遇はラルフの人生の大きな転換期となり世界が動く 欺瞞、裏切り、秩序の崩壊、 世界の均衡が崩れた時、終焉を迎える。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

処理中です...