最強勇者は二度目を生きる。最凶王子アルブレヒト流スローライフ

ぎあまん

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45 闇ギルド

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 闇ギルドというのは、裏社会の人間、普通に生きることができなかった連中が生きているような連中を相手にする、怪しい者たちを取りまとめている存在を指す。
 闇ギルドは一つというわけではなく、幾つも存在する。
 その中の一つが偽物の剣を作り、西部諸国に散っていた全ての剣をすり替えた。
 なんのために?
 闇ギルドが単独でそんなことをするとは思えない。
 連中は、良くも悪くも裏社会での地位向上にしか興味はないだろう。
 社会そのものを破壊するような行為に加担したのは、報酬が良かったからだと考えるのが妥当だ。
 要は金だな。

「なに呑気に考え込んでるのよ」

 周りがばたついている中、イーファが俺のそばにやってきた。
 煙のにおいは強くなっていくばかりだ。

「機が良すぎる。俺たちが話を聞いている時に火事だぞ」

 どうせ、闇ギルドがなにかしてきたんだろ。
 俺、というかイーファが変装してここに来ていることがバレていて、聖女長が動いたということはあの剣のことだと察知して、暗殺を企んだ?
 ヴィジョーネたちにも情報が知れているから、まとめて処分とか考えたのか?
 短絡的だなとは思うが、まぁ闇ギルドなんてカッコつけても、しょせんは裏社会の人間だ。
 自分のことしか考えていない。

「どうせ、逃げ出しても外で待ち構えられているだろ」
「それはそうでしょうけど」

 そう言うイーファも慌てていない。
 そもそも聖女長が火事如きで死ぬわけがない。

「どうするの?」
「お前が守ってろ。俺が片付けてくる」
「はぁ……」
「なんだよ?」
「こんなことになるだろうと思ってたから」

 と、イーファは肩に下げていたバックに手を入れた。
 そこから出したのは、おお!

「俺のクナイ!」

 ちゃんとベルトごと持ってきている。

「いまのお気に入りなんでしょ。持ってきた私に感謝なさい」
「お前がこんな気が利くようになるなんて」
「余計なお世話よ。ほら、いってこい」
「よっしゃ!」
「出るならこっちからにした方がいいわ」

 ベルトを巻いたところで、ヴィジョーネに案内されて階段を上がり、そこの窓を示した。

「ありがとうな」

 窓に手をかけたところでヴィジョーネに振り返ってからそう言った。
 彼女は少し驚いた顔をしてから、フッと笑った。

「どした?」
「初めてお礼を言われたわ」
「ああ……そうかもしれないな」

 ずっとお邪魔虫ちゃんと呼んでいたからな。

「なんか、困ったことがあったら、俺のところに来い。なんとかできることなら、手助けするよ」

 恩返しってところか?
 世話にはなったからな。

「楽しみにしているわ」

 ヴィジョーネは笑顔とともに離れていった。
 俺も窓から外に出る。
 隣の家の壁を蹴り、屋根へと上がる。
 着地する前に、誰かがいるのが見えた。
 怪しい。
 敵認定。
 クナイを投げる。
 練習の成果は敵の足に食い込むことで発揮された。
 力加減を間違えると貫通して建物まで傷付けていただろうからな。
 俺が着地することには、クナイは全てベルトの中に戻っている。
 他に敵の影は?
 地上の方にもいるな。
 狙える場所にいるのでここから撃退する。
 上からなので肩やら腕やら太ももやらに深く刺さった。
 クナイはまた、無事にベルトの中に戻る。
 とりあえず、動けないようにすればそれでいい。
 俺は屋根で苦しんでいる一人に近づいた。

「お、お前は……アルブレヒト王子」
「なんだ、知ってるのか?」
「最近、裏社会の者に手を出しただろう」
「ああ……」

 暗殺者の依頼主を探しているところに荒らしたからな。
 あの一件か。

「なら、これは俺への意趣返しか?」
「……そうだ」
「嘘だな」

 あっさり認めるわけがない。

「俺への意趣返し? お前らに関係のないことで俺に手を出すものか」

 依頼主探しをしているときに名前の出てきた連中なら、とっくに俺に手を出す愚を理解しているはずだ。

「殺したかったのは聖女長か?」
「……」
「いい度胸だよな。聖女長に手を出すということは、神殿勢力を敵に回すってことだぞ?」

 俺は話を聞いているそいつの服をクナイで切った。
 後、こっそり逃げようとしていたり、一発逆転で何かを仕掛けようとしている奴にもクナイを投げて、黙らせる。
 破れて顕になった肌には、なにやら紋様が刻まれていた。

「闇ギルドには詳しくないが、この紋様の連中が聖女長を暗殺しようとした」

 俺の言葉に刺客が唸る。

「そういう話が出回った時点で、お前らの負けだな。帝国中から根絶やしにされるぞ」

 帝国は恐ろしいぞ。
 敵は許さないの精神で大陸の半分を支配したんだ。
 その下で一緒に勢力を拡大してきた神殿だって甘くはない。
 慈悲と殺意をうまく使い分ける。
 裏に潜んでいる程度の勢力などに慈悲をかける理由はない。

「その覚悟があるのか?」

 俺の問いに刺客はブルブルと震えるだけだった。

「覚悟がないなら、剣の情報を寄越せ、知っている奴のところに連れていけ」
「そ、それは……」

 あ、折れそうと思ったところで、気配が俺の意識に刺さってきた。
 そちらに向かってクナイを投げれば、なにかに当たった。
 槍か?
 それは、他にも投じられていた。
 刺客たちに降り注ぎ、彼らの命を貫き潰していく。
 俺の前にいた一人だけは、俺のクナイによって守られた。

 槍は、時間とともに形を失って消えた。
 魔法による生成物か。

「……で?」

 俺は刺客が逃げないように気絶させてから、槍が投げられた方角を見た。
 そこに、黒いローブに身を隠した何者かが、宙に浮いていた。

「お前を殺す者だよ」

 脅すように、あるいは嘲笑うように何者かは言う。
 声の感じからして、男か。

「ほう?」

 面白い挑発だ。

「できるものなら、やってみろ」
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