最強勇者は二度目を生きる。最凶王子アルブレヒト流スローライフ

ぎあまん

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47 勢揃い

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 剣の情報は手に入れた。
 どちらも時間を惜しむようにペラペラとよく喋ったので、こっちが肩透かしを受けた気分だ。
 あの魔族が簡単に折れるなんてな。
 これが時間の流れか?
 若返っていうというのに、一気に老け込んだ気分だ。
 ただ、闇ギルドと魔族がどうして繋がったのかまでは、こいつらは知らなかった。
 まぁ、それはいまのところ問題ではないか。
 俺たちがやるべきなのは邪神を封じた剣の回収。
 あるいは邪神の討滅だ。

 生き残ったそいつらは、イーファの命令で王都にいる神殿勢力が引っ張っていった。
 王都の治安を司っている衛士隊なんかから引き渡し要求がいくだろうが、それまでには、さらに情報を引き出していることだろう。

「さて、俺たちはどうしようか?」

 神殿の連中に連行されていくのを見送り、俺はイーファを見る。
 火事の中にいたはずだが、その姿には煤汚れ一つ見つからない。

「狙いはわかったのだから、このまま行くに決まっているでしょう」
「やっぱそうなるか」
「なに? 準備が必要?」
「いんや、問題ないかな」

 特になんの装備も持っていないしな。
 クナイもあるし。
 まぁ、なんとかなるか?

「まっ、失敗しても死ぬだけだ」
「そういうこと」
「いや、死ぬなよ」

 あっさりと納得していると第三者の声が混ざった。
 振り返れば、ゼルがそこにいた。

「あら、ゼル。まさか誘われてもいないのに来たの?」
「仕方ないだろう」

 意外と驚く俺たちに対して、ゼルは眉間に皺を寄せて自分の尻尾を示した。
 尻尾の中に埋もれていた……いや、捕まっていたそれが解放されて、俺に飛びつく。

「んぎっ!」

 マナナだ。

「こいつが連れて行けとうるさくてな。俺様に子守りなどやらせるな」
「う~」
「はいはい、悪かったよ」

 低く唸りながら、マナナは俺にしがみついてあちこちに鼻を押しつけている。
 体に付着していた炎の王の残滓が消えていくんだが?
 取ってる?
 イーファが驚いている。

「え? なにこの子」
「そういや、説明してなかったか?」
「なに? どうせあんた絡みだろうけど」
「魔晶卵を手に入れてな」
「あら、いいわね」
「試しに孵化させてみたら、こいつが生まれた」
「はぁ⁉︎」
「で、意見を聞くためにゼルを呼んだら、マックスに教育係にされてんだよ」
「ああ……」

 イーファはそれで、なんとなく流れが理解できたのだろう。
 魔晶卵という餌に引かれ、来る途中でマックスに教育係の交渉をされた。
 普通に頼んでも引き受けないから、賭けでも持ちかけられたのだろう。
 そして見事に引っかかった。

「賢者なのに?」
「賢者なのになぁ」
「おい、残念なものを見るような目をするんじゃねぇ」

 その賢者様もさすがにカシャは同行させなかったのか。
 まぁ、それが正しいだろう。
 カシャにも能力はありそうだが、さすがになにが起こるかわからないところに連れていく気にはなれない。
 いや、できればマナナも連れて行きたくないんだが。

「んぎっ!」
「はいはい、わかったよ」

 まぁ、一人ぐらいならなんとかなるだろ。

「マックスは?」
「領地だろ。さすがに無理だな」
「俺様も連れてこないぞ。めんどうだから」
「じゃあ留守番だね。ざまぁ」

 イーファが聖女らしくないイヒヒ笑いをする。

「連れて来ないほうがお前にかかる負担が増えると思うが?」
「うお、本当だ!」
「あっ、こらっ!」

 俺の助言でそれを思い出したのか、ゼルがその場から姿を消した。
 遠くに移動する魔法も使えるようになったのか?
 だとしたら、ただ尻尾の数が増えただけじゃないんだな。

「あんたねぇ。あいつがいないほうが、後で悔しがるじゃない!」
「まぁ、せっかく揃ったんだしな」
「あんた、前からマックスに甘いわよね!」
「そんなことはないと思うが」

 マックスに甘いというのは新解釈だな。
 数分待っていると、ゼルが姿を現した。
 その隣にはマックスがいる。
 その手には懐かしい大盾と、戦斧が握られていた。
 なぜか最近は大剣を振り回していたようだが、こいつは俺たちといた時は盾と斧を使っていたんだよ。
 鎧を着ていないということは、ゼルに相当急かされたんだろう。

「ああもう、嫌な予感はしていたんだ」

 場所がアンハルト宮ではないことにすぐ気付いた様子のマックスは、俺たちを見て額を押さえた。

「聖女長が立ち寄るというから、いまさら里帰りするような性格だとも思えないし、ならばあの件かと思っていたが……」
「なんか、みんなして私のことを里思いのないひどい女だと思ってない?」

 イーファの言葉は全員に無視された。
 マックスの嘆きは続く。

「まさか、ほんの数日で突撃する話になるとは」
「それはまぁ、そう思う」

 マックスの言いたいこともわかる。
 聖女長が異変を察知してやってきた王都に俺とゼルがいて、昔馴染みの怪盗が情報をくれて、しかも、まだ言っていないが、これから向かう先もご近所だ。
 もうなんというか、揃い方がな。

「神は見ているということじゃない?」

 イーファがそんなことを言った。

「神は人間だけの味方ではない。だけど、神は人間の味方でもある。邪神が出たのは人間の戦争の不始末。ならば人間が解決するべき。だから私たちはここに揃った。そう考えるのが妥当では?」
「おお、珍しく聖女らしいことを言っている」
「ふふふふ、これでも聖女長様だぞ! 日々の説教で都合を合わせるのはお任せよ!」
「もっと単純に、勇者ジークフリードが嫌われているからこの国が目標になったんじゃないか?」

 ゼルの言葉も真実かもしれない。
 だが、それはいま言ってはいけない。
 それでは俺が悪いみたいになる。

「それにそれだと、俺たちが揃っている理由までは説明できていないから、イーファの言を採用する。では、行くか」
「はぁ」
「めんどい」
「ほら、行きましょ」

 ここ「おお!」とならないところが、とても俺たちらしい。
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