異世界で封印されていました。

銀狐

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 参ったな、攻撃したら倍以上の攻撃で反撃される。
 おまけに向こうは拘束する魔法もあるし、それと連携してダメージを負わせることが出来るという。
 単純に戦闘慣れ、それも生きるか死ぬかの戦いに特化されている。

「今まで戦っていた時は手を抜いていたのか」
「いや、そうでもないよ。俺はいつでも手を抜かない。考え方は…えーっと…あのエルフと同じだ」

 フィリーと同じ思考と言いたいのだろう。
 戦うときは手を抜かない、相手を侮辱しないように。
 そう思えない戦い方に心あたりがあるが、それはどうなんだろうか。

 って、今はカロルの性格なんてどうでもいい。
 この状況を打開する方法を考えなければ。
 もうあれを使ったほうがいいんじゃないのか…。

「ほらほら!早くしないとあの子メアリだけではなくて君まで死んじゃうよ?巻き戻しワンモア!!」

 くそっ!考えたくてもカロルの攻撃が止まらない。
 反撃をしようにも、したらその倍で返ってくる現状。
 下手に手を出せないのが辛い。

「おっ?」
「やばっ…!」

 体勢が崩れ、カロルにとっては絶好のチャンス。
 まずい!この状態で氷系統の魔法でも使われたら――

「これで終わりだよ!巻き戻しワンモア!!」
「っ!?」

 確かに決め手には文句のない一手。
 全身骨折するインパクトの倍の威力。
 確かにこれを使ってもおかしくはないし、自分の魔法でやられるのはどういう気持ち?みたいに使っていたとも考えられる。

 だが、確実性を取るならカロルの氷系統の魔法を使った方がいい。
 それを使わなかったということは、俺の魔法で倒す方がいいと考えたからか?
 いや、違う。もっと別な理由が…。

「流石に死んだだろう。これで生きているわけがない」
「…いや、まだまだこれからだ。俺は馬鹿だから時間がかかるもんでな」
「今ので死なないのかよ…。化け物が!早く死んでいろよ!!」

 さっきまでは俺が急かされていたが、今はその逆。
 ここからは俺の番だ。

「お前が隠している3つのことに気づいた。まあ、もっとあるかもしれないけどな」
「だから何だ?そんなことに気が付いても今さら――ガハッ!?」
「1つ目。お前は反射リバースっていう便利な魔法があるせいか、他の魔法をたくさん使えるわけでもない。だから咄嗟に防ぐ魔法もない」

 あの時氷の魔法を使わなかったのは、恐らく食らった魔法を巻き戻しワンモアとして取って置いたのだろう。
 それを俺の魔法で上書きしたのは失敗だったな。
 威力は確かにあるが、俺の中では弱い部類に入る魔法だから。

「くそがああっ!!」
「2つ目。お前の能力は威力を上げる系統の能力だ。まあ、これは隠すつもりはあまりなかったようだが」

 「ユミルの怨念」とかふざけていたが、能力を使っていてもおかしくはない。
 カロルが口を滑ったとも思えないし、隠しきれないと思ったからあんなことを言ったんだろう。

「最後に3つ目。サンダー
「雷が弱点だと思ったのか?残念だったな!反射リバース!!」

 攻撃で使った雷はカロルに直撃し、そのダメージの倍で俺の元へ返ってくる。
 カロルにとってはちょうどいい反撃のいいチャンスだろう。
 だが、俺の計算通りに進んでいる。

「なんだ…それは…」
「雷鎧。言葉通り雷の鎧だ」

 雷に対して特化した鎧。
 魔法でつくった鎧だからこそ軽くて防御力のあるものを作れる。

「自分の威力より強いなら、あらかじめ少し抑えめにして、自分でも耐えられるラインを考えながら少しずつ削る。そうすればいい話だ」
「だがそれがどうした!雷だけ防いでも意味がない!火炎岩ヒートロック!!」

 カロルはすぐさま雷ではない別の魔法を使う。
 使える魔法が少ないと言ったものの、咄嗟に魔法を放った。

「火鎧。火も対策済みに決まっ――」
「残念だったな!それは火だけじゃねえ!たとえ火が効かなくても岩がある!」

 火が効かなくても、火の中には大きな岩があるから当たればひとたまりもない。
 魔法は小さな隕石みたいなものだった。

「それなら消えるまで逆に燃やせばいい」
「そう来ると思ってたぜ!反射リバース!」

 自分が使った魔法にダメージを負ったから反射リバースの対象となる。
 今回はけっこう威力が高い魔法を使ってしまった。

 反応が早い、早すぎる。
 弱点を突かれたと思ったらすぐさま別の対処法を思い浮かぶ。
 敵として、悪としてでなかったら英雄になっていてもいいぐらい強い男だ。

「水鎧。わざわざ火なら火でなくても防げる魔法もある」
「くそが…」

 後はカロルが倒れるまで、魔法を繰り返し与えるだけだ。
 これでもう終わりだろう。

「サザン!もう終わりだ!やれ!!」
「…は?」
「俺にはもう勝ち目はねぇ。だがな、こっちにはまだ手があるんだよ!」
「こいつ…!!」

 自らつくったルールを壊しやがった。
 こんなことが起きてもおかしくはないとは思っていたが、本当にやりやがった。

「サザン!早くしろ!!」
「ボス、どうしますか?」
「好きにさせてやりな」
「…氷圧砲アイスレーザー

 サザンが魔法を唱え、俺はとっさにメアリの方へと向かう。
 こんな時に時を止める魔法なんてあったら、何て考えたが使えたことが無い。
 魔法を使って移動をする、その瞬間――

「っ!?!?」
「やっと見つけたわ。角魔人ハーフデビル、それに…」

 サザンの手が急に無くなったと思ったら、一人の少女が現れた。
 そしてサザンから、別の方向へと目を移す。

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 その少女は俺が追っていた鈴谷栞すずや しおりだった。
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