ドラゴン☆マドリガーレ

月齢

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第10唱 王都へ行こう

欠けた力の対処法 2

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「クロヴィス卿は、王都を出たのちも、真摯に竜の歌を求め続けた。竜たちがずっと変わらず訴え続けていたこと――『竜の力はいずれ欠ける。その対処法を探せ』そして呪法についての警告。それらを決して軽視しなかったからだ。誰も彼に協力しなかった。感謝もしなかった。だが彼は見返りを期待せず、ただ竜の歌のみを求めた」

 王の白く繊細な指が、ラピスの金の巻毛を撫でる。

「卿の誠実さに対する、竜の加護であろう。彼は自身に匹敵するほどの才を持つ弟子に恵まれた。そして二人はこの王都の危機に、そろって駆けつけてくれた。竜に乗るという目を疑うような奇跡を伴って」

 満場の、感謝に満ちた歓声と拍手が広がる。
 それもまた、王がゆったりと片手を上げると波のごとく引いていく。

「卿の私欲なき献身について思うとき、私はいつも『彼は竜のようだ』と思う。懸命に世界を守らんと動いても、感謝されるとは限らない。ときに恨まれ、憎まれることすらある。皆のためにと警告を繰り返してみても、労せず享受できることに慣れ切った人々は、『わかっているよ』と口先ばかりで、行動に移そうとしない。誰かがなんとかしてくれるのを待っている。だが誰もがその調子で、人任せにしていたら? 竜たちが『対処法を探せ』『考えろ』と言うのは、が必要だからだ。なのに私も含め、自分では何もせぬ者があまりに多い。それでは答えが見つかるはずもない」

 王の言葉を聴きながら、ラピスはクロヴィスと過ごしてきた日々を思い返していた。 
 クロヴィスは、どんな些細な話にも耳を傾けてくれた。豊富な知識を惜しみなく教授してくれもした。
 だが、彼の意見を押しつけられたことは一度もない。

 自分で見て、感じて、考えること。
 自分で選択し、行動すること。
 相手の意思をだいじにしてくれる人なのだと、今しみじみわかる。

(僕は本当に、素晴らしい人と出会えたんだ)

 その幸運を、改めて噛みしめた。
 大広場を埋め尽くす聴衆も静まり返って、遠くで鳴く力ないカラスの声が聞こえてくる。
 
「……今このときも、大魔法使いとラピスは、呪いによるこの地の穢れを祓うべく動いてくれている。私に、そして皆に、ひとつの課題を与えて。『呪詛とは怨念。浄化されることなく凝り固まった、人間の負の想念の集まり。ならばそれを取り除くには、どうするべきか』その答えがすなわち、『竜の力が欠けたときの対処法』そのものだと、クロヴィス卿は結論づけた。――創世の竜王すら病ませ、力を欠けさせるきっかけとなったものとは、人間にほかならないのだから」

 人々が息を呑むのが、伝わってくる。
『竜の力が欠けたときの対処法』
 長年先送りされてきた、答えがわからぬままの課題。
 その答えとは。

「考えてほしい」

 王の声が一段、太くなった。

「呪法という負の想念により、とうとう竜王が病んだこと。そうして力が欠けたこと。竜たちがそれを予見し、『対処法を探せ』と訴え続けていたこと。その対処法とは、呪詛を――つまり負の念を祓うこと。これらの事実を踏まえた上で、どうすべきかをひとりひとりに考えてほしい。皆はどう思った? どう感じた? 強要でも押しつけでもなく、考え、感じてほしい。そこに答えがあるのだから」
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