魔界食肉日和

トネリコ

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8、仕事中

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「トカゲ好きだー、デート行こうぜー」
「ワニよ、今生きるという仕事中だから私の人生終わった後な」
「トカゲんじゃ行くか」
「ワニ、問答無用なら問答させるな」


 がっしと掴まれ転移門を潜ってやってきたのは戦場


 戦場!!!!


「ワニあほか!!! 死ぬわ!!! 殺す気か!!!」
「ぐわっは! マンネリ化には刺激って教えてもらってよー!」

 誰だ適当なことをほざいた奴は!八つ裂きにしてやろうか!!
 どうせ雑魚攻撃じゃ無理だろうから禁書爆弾の方にしてやるよ!!

 ワニの凶悪な戦斧が翻る。
 爆音と共に周囲の人型の身体が弾け飛んでいく。

 敵も鎧着こんでるし乱戦だし、ワニが速過ぎて正直よく分かんねぇんだよな。おえ、吐きそう。

 はい一薙ぎで十、二薙ぎで二十。
 ぐっちゃーんと飛んでいく。

 ていうか狙われすぎだろ!!

「デートじゃねえ、ロマンもねえ、そもそもお前らの方に味方してえ!」
「おらー、足りねえぞー、もっと来いやー」
「煽んじゃねえ!!」

 バカが煽ったせいで更に敵が集中する。

 そもそもバカだがこいつ大将首レベルだしな
 しかも片腕明らかお荷物しょってる又と無い絶好の好機だしな

 つまり、弱点かと思われてほぼ攻撃が私狙いなんだよ!!!
 クッソ、ワニクッソ!!!

「たまにはいいなー」
「帰りてえ!! 引きこもりてえ!! ニート万歳!!」
「運動大事だぜー」
「お前の運動は首が飛ぶのか」

 トマトの比じゃないくらいコックを真っ青にするだろうよ!

 がんばれ!そこだ!とワニの腕でじたばた暴れて援護していると、地面が揺れた。
 たぶん魔王軍の宰相がヒャッハーと大魔術ぶっぱなしてストレス発散したんだろう

 揺れたせいで出来た地面の罅にワニの足が下ろされ、体重で地面が崩れる。
 ワニの軸はブレないが、流石に態勢が少し崩れた。

 鬼気迫る歓声と共に一人の敵が突進してくる。
 ワニが冷静に防御しようと構える前に鈍く光った切っ先が突き出された。

 鋼が肉体を貫く。


 ごふっと口元から血が舞う


 我が口内からな


 っておい! 援護してやってたのに私かよ!


「なんでやねん!」
「何!? 何故死ななっ―――」
「もったいねーし、不快だなー」

 セリフの途中で人生からフェードアウトした役者さん。

 くっそー、今日はお気にの服だったのによー
 血なら落とせるけど縫うの面倒いー、あー

「ワニ萎えた。帰ろうぜー」
「トカゲワガママだなー。んじゃほい!」

 ワニが戦斧を地面に叩きつける。
 衝撃波で一気に周囲が静かになった。
 一面真っ赤である。

 それよりも服が結局穴あきの真っ赤になったショックがでかい
 あと、他の魔族からの隊長もう少し楽しみたかったのにとのブーイングがうるさい

「もー二度と行きたくねー」
「トカゲも新兵と同じこと言うなー」
「誰だってそうだろ」



 経費で落ちてくんねぇかなぁと憂鬱になった。











後書き



 
 
 
 

 ちなみにワニに助言した子は今後登場予定の我等がリアリストクズ、その名も『鳥』である。
 ワニの部下だが、トネリコも気に入っているのでまた見掛けたらぜひ可愛がってあげてほしい☆
 ちなみに5話にてトカゲが天井の染みをワニにお掃除させようとした時にワニを呼んだのも鳥である。
 助言したらどうなるか大体想像つきつつ、面白いから助言しているのも鳥である。
 別に隠してないけど、バレるまで楽しむつもりなのも鳥である。
 バレても別に気にせず楽しむつもりなのも鳥である。

鳥「えー? 何でトカゲさんに配慮する必要あるんすかー? 隊長に聞かれたから答えただけっすよー? むしろ親身な俺を褒めて欲しいっすー」

 素で言っている。
 分かっても言っている。
 大体こんな感じである☆次話もよろしくね☆



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