ひとり言

トネリコ

文字の大きさ
1 / 1

ひとり言

 




「早く死ねばいいのにな。お前に生きる価値なんてねーのに」

『自分に大それた価値なんてないのは知ってるけど、だからってはい今死にますって気も起きないよね』

「なんでまだ生きてんの? なんかやりたいことでもあんの?」

『やらなきゃいけないこともない。やりたいと言えるものもない』

「だったらさっさと死ねばいーじゃん。嫌なこともめんどいことも無くなるし」

『それもいいとは思えるね。漫画の続き読めなくなるなーってさっき思ったけれど』

「それすらも取って付けたもので、どうせどっちでもいいんだろ」

『まーね、心底悲しむ人もない』

「ほとほと薄っぺらい人生だな」

『仕方ない。そーやって生きてきたんだし』

「自分はこうだからってか? 悪いのは自分を作った周りであって、自分は悪くないとする。反吐が出る程自分に甘い」

『じゃあ聞くけどどーやって死ぬの? 自殺でもする? 家族は一応悲しむだろね、そして周りから自殺させた家族として奇異の目で見られる。自分が不甲斐ないせいなのに、一応よくしてくれた家族に、そこまで後を押し付ける気概なんてないんでしょ。
 だからあんたは祈ってる。だれか事故で殺してくれませんかー?って。あんたは他人任せでとことん自分の手を汚したくない臆病者』

「だが結局は自己中心。お前は本当に追い詰められたら、簡単に自殺を選ぶだろうよ。後始末やら残す人やら考えた上で、それよりも目の前の辛さから逃げたくてな。例え死に物狂いで泥を引っ被れば生き残れる道があっても、高慢な自尊心可愛さに死を選ぶ。いや、その辛いことを言い訳にして、お前は望んでた甘い誘惑の死に手を伸ばすんだ。死なせたのは辛いことを押し付けたもののせい。最期まで我が身可愛いずる賢い奴。お前のような奴は昔なら早くに淘汰してくれていただろうにな。
 人間自然と年を取る。まあ順調に行けばだんだん任されるものが増える。苦しくなって逃げて迷惑掛ける人を増やすくらいなら、傷浅い今此処で死んじまうのも手だろうよ。世の為人の為ってもんだ」

『今が本当に辛かったら、それこそあんたの誘惑に乗ってただろうけど。今は辛いけどまだいけそうだし、今余裕がある分死んだ後に残したのまで頭が回っちゃうからね。一応そこんとこにも罪悪感持つ、普通に居るそこらの一般人なんですよ。それにね、はっきり言っちゃうと、衝動という押してくれるのがなけりゃあ死ぬということが面倒臭い』

「ああ、図星を指されて怒らないのは、貶めてるのが自分だから?」

『正解。これが他人だったなら、私を知らないお前が言うなって殺したくなる』

「これだから外面いい子ちゃんは。小さい内に怒られないよう、他人との衝突も回避して、内に篭もる浅い付き合いばかりだから耐性がない。耐性がないから傷付くのを恐れ、過剰に我が身を守ってる。他人には浅い付き合いしかさせない癖に、私を知らない癖にってお前が言うのはお門違い」

『お生憎様、誰も批評してくれと頼んでない。自分で十分貶してるのに、これ以上貰う謂れもない。勝手に批評してくる奴程、自分の考えを聞かせたいだけ。私の一面だけを見て、お前はこうだと全てを評価』

「いいや、お前は貶していない。十分どころかこれっぽっちもな。何故ならこうやって貶してる俺の言葉が、全くお前に届いてない。だからお前は怒りもしなけりゃ、返答してへらへら自分を鼓舞する余裕がある。お前にとってはこの問答も、どうせ浸って気を慰めるか、時間潰しの一つでしかない」

『はいはい、分かった今日はもうおしまい。流石に疲れたから大人しく寝る』

「我儘だが確かに夜も遅い」

『それじゃおやすみ』

「はいはいおやすみ」


 




感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。