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親友の出産

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“陣痛始まったから、今から病院に行きます!!”

2月15日午後2時38分。
妊娠38週と5日に綾音先生は陣痛が来て、お産のため、府立病院に入院した。

ダウン症の合併症で最も多いものは心臓疾患。
全体の40-50%に見られるが、綾音先生のお腹の中で育っている赤ちゃんのエコー検査からは全く心配はなかった。
食道閉鎖、鎖肛、十二指腸閉鎖の心配もない。

綾音先生は府立病院で3258gの元気な男の子、将生くんを普通分娩で出産した。

将生くんはモザイク型といわれるダウン症全体の1~2%の発症する珍しい型で、染色体異常がある細胞と正常な細胞が入り混じっていて、症状が軽症である場合が多いといわれてる。

知的障がいや身体障がいの程度が軽く、合併症の発症リスクも重症のダウン症と比べて低くダウン症による障がいの影響が比較的少ない。

誕生後、念入りに検査をしたが、将生くんはダウン症の疾患は症状が見当たらなかった。

生まれたばかりのダウン症のある赤ちゃんは、特有の顔貌の眼や鼻や口、耳が小さく顔が平たいや、首の後ろの皮膚がだぶついているもなく、筋力の弱さ力が弱い感じがする、などの特徴もなかった。

21トリソミーで産まれた母は心室中隔欠損症と十二指腸閉鎖があった。
母も軽度のダウン症で幸いな事に知能的には問題なかった。

「将生くん、運動発達、早いね!!」

ダウン症の子は筋力が弱いため、首のすわりや寝返り、一人座りなどができるようになるのが遅い。
はいはいやつかまり立ち、一人歩きができるようになるまでは一般の赤ちゃんの約2倍の時間がかかると言われてる。

生後3ヶ月なる前には首座りして寝返りをし、生後5ヶ月ぐらいから1人座りしておもちゃで遊んでいた。
ハイハイも生後6ヶ月で立って歩き始めたのは生後10ヶ月。

出産後、里帰りせずに涼真先生と暮らす賃貸マンションで生活している綾音先生のお手伝いで、当直明けの昼間に差し入れと子守りをしに行っていて、将生くんの驚異的な成長にいつも驚かされた。

『ここあてんてー、あそぼ』

『おちゃ、ちょーだい』

ダウン症の子は言葉が話せるようになるのに一般の子の約2倍かかるといわれている。
1歳の誕生日を過ぎた頃から2語文を話すようになった将生くんの賢さに、驚かされた。

羊水検査で21トリソミー陽性と出て、祖母に中期中絶されかけた命。

健康面と発達面に全く問題無く育っている事は奇跡的な事だけど、将生くんが元気にすくすく育っている姿を見て、いつも癒された。


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