契約結婚に子作りは入ってません!!

鳴宮鶉子

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結婚した理由

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「樹兄さん、来望ちゃんの事、溺愛してるね!!溺愛…‥通り越して、狂愛!!」

樹部長と戸籍上夫婦にされた日の夜。
終業後、一緒に帰ろうとしてくる樹部長を撒き、タクシーで一花ちゃんの家へ避難した。

「樹部長、私と異母兄妹って事、知らないから結婚なんか考えたんだ。半分、同じ血が流れてるんだよ。社長に報告したって言ってたけど、社長、何も言わなかったのかな?」

一花ちゃんと一緒に夜ご飯を作る。
ふるさと納税で取り寄せた海老と豚バラブロックをレンジで解凍し、エビチリと酢豚、豚の角煮を作る。

「……樹兄さん、おじさんと血、繋がってないよ」

「えっ!?」

一花ちゃんのカミングアウトに、包丁を持つ手がとまる。

「DNA親子観点したら血縁関係なかったらしいよ。おばさんの不貞の子」

長谷一族の異常な家族関係。
樹部長は副社長派ではなく社長派で、経営赤字を解消しようと最善の行動を起こしてる。
あーくらいくのために必死に働いていて、社長にも仕事ぶりを認められてる。

「……来望ちゃんがおじさんの血縁ある娘と知っていて、あーくらいくの血縁を守るために結婚企てたとかないかな?そんな気、するな。本人に直接聞いてみる?LINEでここに呼びつけようか?」

新入社員で花形部署の店舗開発本部に配属された事は異例中の異例。
同じ部署で仕事をしていたとはいえ、社長と副社長の代行も務めている多忙な樹部長がいち新入社員の私にちょっかいかけてきたのもおかしすぎる。

「お願いしていい?」

「いいよ。料理作り過ぎたし、兄さんにも声かけさせて」

2人分のはずが10人分以上用意してしまった。
私が大食いとはいえ、さすがに味が飽きて、食べきれない。

15分後に、樹部長が一花ちゃんの兄、大雅さんと一緒にやってきた。

「銀座万疋屋のフルーツタルトとプリン買って来てくれたんだ!!さすが、樹兄!!」

手土産のフルーツタルトを樹部長から受け取り、大喜びな一花ちゃん。

「さて、樹兄さん、来望ちゃんと強引に結婚したの、来望ちゃんがおじさんの隠し子であーくらいくの株を45%保有してる筆頭株主だからだよね」

「はっ!?」

リビングテーブルを囲み、食事を始めてすぐに、一花ちゃんが樹部長を問い詰める。

「何……それ!?えっ、来望、社長の隠し子!?嘘だろ!!株45%所有!!」

目を見開き立ち上がった樹部長。
持つ箸が震えてる。

「……知ってた癖に。白々しい」

「……大雅っ!!」

「隠し通せる事ではないだろ。あーくらいくの立て直しとおじさんとおばさんを地獄に堕とすのに、彼女が必要なんだろ」

樹部長と大雅さんは従兄弟の関係だけでなく、なんでも話せる無二の親友らしい。


「樹兄さん、来望ちゃんをお家騒動に巻き込むの辞めて!!強引に結婚に持ち込むとか、最低なんだけど。すぐに離婚して、解放してあげて!!」

一花ちゃんが樹部長にビシッと言ってくれた。

同僚達の前でのあのプロポーズと演技での溺愛はなんだったんだろう。
全身至るところにつけられた紅い痣と、胎内に繰り返し注がれた欲望の白濁。
私を利用するための行為だったと思うと、虚しくなる。

「くそばばあがあーくらいくの筆頭株主が来望だと気づいて、株を奪うためにスカイシーの常務と結婚させようと企てようとしてた。だから、俺が来望と結婚した。来望を守るためでもあるんだ!!」

「やっぱり、あーくらいくの株が目的か」

「違う!!」

一花ちゃんと樹部長が言い合いを続ける。

「樹部長、私が保有しているあーくらいくの株、全て買い取ってくれませんか?そしたら、結婚する価値無くなるから、離婚に応じられますよね」

「……全て買い取る資金がない。1億2千万株だろ?株価今1680円だから2千億円も来望に払えない」

「……少しずつでいいので、私が所有してる株式を自社株として株式譲渡してください。で、全て移転できたら、私と離婚して下さい。それでいいですか。あーくらいく、好きだから、経営立て直したいですし、夫婦にはなる気はないですが、協力します」

あーくらいくは私にとって居場所。
店舗開発本部とメニュー開発部の社員達は大切な仲間。
スカイシーに吸収合併は嫌。
経営立て直しをして、もっと居心地がいい場になって欲しい。

話していても埒が明かず、あーくらいくの株を手放したいのもあり、樹部長に協力する事にした。


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