カモフラマリッジ

鳴宮鶉子

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絶対に離婚しない side 翔真

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『恋愛なんてできない。だって、将来、私は祖父が決めた相手と嫌でも結婚しないといけないんだから……』

中学1年の時に、初恋相手の萌音に告白する前にそう言われ、俺は失恋した。

業種は違うが建築関係の会社の経営者血筋の俺達は、将来進む進路が同じで興味関心が同じなのもあり、磁石のS極とN極がくっつくが如く、一緒にいた。

俺は萌音の事が好きすぎて堪らなかったが、それをひた隠しし、友人として彼女の側にいた。


『……神楽くん、あのさ、私の初めての人になってくれないかな』

政略結婚する相手に初めてを捧げるのが釈なのと、16歳の夏に受験勉強のストレスでムシャクシャしてる萌音に誘惑され、俺はそれに喜んで乗った。

盛りのついた高校男子。
それから、放課後や休日に俺の家に萌音を連れ込み、勉強の合間の束の間の休息に関係を持った。

萌音が俺とのセフレな関係は大学1年の冬に終止符を打つも、同じ大学同じ学部で同じ講義を受講していたから、友人のままでいられた。

萌音を抱けなくなり、欲情を発散させる為だけに、合コンで知り合った女やいい寄ってくる女を抱く。
萌音に対する恋情を失くす事はできず、他の女と1度も交際に発展する事はなかった。


『私と結婚して!!祖父が亡くなったら、すぐに離婚していいから、お願い……。私、この中の誰かと結婚しないといけないの、死んでも嫌!!』

28歳の秋。遂に政略結婚させられる事になった萌音が、俺に助けを求めにきた。
高層ビルの建築デザイン設計で成果を挙げ、カグラホームはハウスメーカーでなくゼネコンとして位置付けられるようになった。
それにより、萌音の祖父は俺と萌音の結婚を認めてくれた。

萌音はカモフラージュ婚で祖父が亡くなったら俺と離婚するつもりでいたが、俺は萌音と離婚するつもりはなかった。

「んっ、はんっ……やぁ……ダメ!!」

生で挿れようとしたら、怒られた。
仕方がないから、プスプスと個装袋に針で穴を開けた避妊具をヘッドボードの引き出しから取り出す。

萌音の祖父が亡くなり、カモフラ婚を終わらせようとしている萌音。

ーー結婚して1年半で亡くなるとは思ってなかった。

90歳過ぎていたが現役で会長として仕事をしていて、気難しい覇気のある人だったから、100歳過ぎてもピンピンしてそうな感じがした。

孕ませて離婚できないよう繋ぎ止めようと思っていたが、しばらくは2人の生活を愉しもうときっちりと避妊をしていた。

ずっと求めていた萌音の身体を抱く事を赦されたんだから、堪能したい。
大人の身体になった萌音の身体に、俺は溺れた。

性欲の捌け口で適当に抱いていた女とは違う。

「……あっ、もう、やッ、辞めて!!」

脚の間に顔を埋め、トロトロ溢れ出ている甘い蜜を味わおうと舌を這わし、蜜口に吸いつく。
もっと味わいたくて陰核をきつく舐ると、抵抗していた体が細かく痙攣しドバッと蜜を溢れさせる。
それを一滴残らず飲み干そうとする俺は、かなり変態だと思う。

だが、他の女にこんな事はした事がない。しようと思わない。

ーー萌音だから、欲してしまう。

着ける意味のない避妊具の袋を破き、しれっとつけたふりをして、生で挿入する。

絶頂の波に呑まれ続け、身体が憔悴し意識が朦朧としているから気づかれてない。

「あ……ああーんっ!!」

隘路の痙攣が止まらない中、思いっきりズボズボと奥を攻めたて、彼女が意識を飛ばしたのを見届けると、俺はズンと子宮口に刺さるぐらい重い一撃を与え吐精し、グリグリ腰を回し胎内に入れ込む。

「……卑怯な男でごめん」

意識のない彼女を抱きしめ、しばらく繋がったままでいた。

孕ませようと手を尽くすも、毎月、遅れる事なく生理がきている萌音に舌打ちをしてしまう。

孕ませる事に失敗した事に苛立つ俺を見て、抱けないから不機嫌になっていると萌音は思っている。

悔しくて、出血してる彼女を押し倒してやってしまう俺は、最低極まりない男だ。

萌音に離婚を言い放たれる日まで、ーー後、3ヶ月しかない。

萌音と離婚したくない……。

『……義兄さん、すみません。助けてくれませんか。姉さんにお願いしても迷惑をかけられないと言われ、だけど、頼れるのは義兄さんしかいないんです』

萌音の歳が離れた弟の拓人からLINE通話がかかってきた。
祖父が亡くなり、会社内の毒を排除しようとしたら反撃され、倒産寸前に追い込まれてると打ち明けられた。

かなり危ない状態らしく、詳しく話を聞く為に経営関係を任している親友の倉田を連れて宮坂不動産へ向かう。

「……かなり厳しいですね」

「ーーお願いします。吸収合併してくれませんか……」

拓人と萌音の父から頭を下げられる。
倉田はシブい表情を浮かべてる。

経営関係に関する知識はなく、だけど、萌音の実家を助けてやりたい。

倉田に、『共倒れに成りかねない。倒産させた方がいい』と冷たい言葉をかけられた。

新規建築した物件に借り手と購入手が居ないのと、借り手が出て行ってるとの事で、カグラホームの傘下に入れたらネームバリューでなんとかなるのではと思うも、慎重な倉田は顔をしかめる。

萌音が俺に実家の会社が倒産寸前だという事を隠してた。

記入した離婚届を祖父の葬式の後に渡された。
一周忌が終わるまでは離婚はできないと言い、なんとか夫婦でいるも、萌音は俺から離れようとしてるのがわかる。

産婦人科で緊急ピルを処方して貰ってたのを知り、俺は絶望した。

どんなに俺が子供を望んでもできないはずだ。

「創志おじさん、宮坂不動産を吸収合併してくれませんか」

カグラホームの社長、独身貴族の創志おじさんに頭を下げる。

「ーー助けてやりたいが共倒れしかねない。翔真が中学生の頃から好きだった相手だから結婚は認めたが、さすがにビジネスでは助けられない」

当たり前の事かもしれないが、見捨てられた気がして、俺はカグラホームを捨てて宮坂不動産に転職しようと思った。

『翔真、宮坂不動産はうちの傘下にするから、早まらないで、創志叔父さんの意見は訊かなくていい』

母さんが俺の気持ちを汲み取り、社長に交渉してくれるも話にならない。
だけど、俺が設計した物件に関しては買い手が殺到して、それでなんとか宮坂不動産は持ち堪えた。

『……翔真、祖父の一周忌終わったから、離婚しよう』

離婚届を俺に託し、一緒に暮らしていたマンションから萌音は出て行った。

萌音を失った事に俺はのたれ苦しむ。
だけど、離婚届は出す気はない。
だから、連れ戻す。

ーー萌音以外の女を愛せない。


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