カモフラマリッジ

鳴宮鶉子

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お別れのカウントダウン

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『萌音、やっとジジイが逝きそうだ!!』

時代錯誤な経営方針を押しつけ、傲慢で融通が効かない祖父が老衰による心臓発作で倒れ、入院したと7歳年下のまだ大学生の腹違いの弟、拓人からLINE通話がかかってきた。

宮坂不動産の跡取りだからと可哀想になるぐらい厳しく後継者教育を受けていた拓人。
代々受け継がれる跡継ぎに産まれた者の定めといわれ、物心がつく前から家庭教師をつけられ全く自由がなかったのもあり、祖父が亡くなるのを待ち望んでた。

危篤状態という事で、仕事の手を止め病院に向かう。

私の産みの母は私が物心がつく前に、小さな私を置いて出て行った。
政略結婚で父と結婚するも、想い人の事が忘れられなかった母。
迎えにきた恋人と出て行った母を、父は仕方がないと行かせた。

後嫁に入った拓人の母も、跡取りの男子を産んだら好きにしていいという条件で結婚し、拓人を産むとすぐに出て行った。

社長職についている父は多忙で家に寄り付かず、祖父によって厳重に育てられた。

「政略結婚させられる前にジジイがあの世に行ってくれてよかった!!」

祖父の命が尽きるのを喜ぶ孫。
父は臨終に立ち合う気にもならないらしく、病院に駆けつけていない。

祖父には父しか子供は居らず、兄弟は全員先に他界していたため、病室には私と拓人しかいない。

「ジジイが逝ったら無能な役員をクビにして、経営を立て直さないとな。父さんがなんとか会社を持ち堪えさせてるけど、そろそろやばい」

私が卒業した大学の経営学部に通いながら、宮坂不動産の仕事を手伝っている拓人。
古くからの縁故で役員をしている取締役や相談役の汚職の証拠を集めていた。

「政略結婚で結びついた会社の親族役員なんて、危険因子にしかならない。着服やうちの会社に不利になる事しかしでかさない」

宮坂不動産の企画開発部に勤めている時、縁故関係がある建築会社にアパートの建設を依頼したら酷い有様だった。

「だけど、姉さんがカグラホームの次期社長と恋愛結婚してくれてよかったよ。納期最短で建設費用も抑えられ、なのにクオリティーが高い建物に仕上がってる。カグラホームは信用できる。うちの新規物件、カグラホームに依頼するよう指示出してる」

拓人な翔真の事を兄と慕ってる。
政略結婚を避けるために祖父が亡くなるまでの間、契約結婚して貰ってたと打ち明けたらショックを受けるかもしれない。

翔真は私にはもったいない相手だから、解放しないといけない。

病院に駆けつけて間もなくして祖父の命は終わりを遂げた。

祖父が亡くなった後のお通夜や葬式は合同葬で執り行われるため、喪主は父が務めるも、会社の総務が段取りや手続きを仕切るため、一切関わらなくていい。

「姉さん、通夜は明日の夕方で俺らは昼過ぎに向かったらいいし、今から飲みにいこう!!」

「……拓人、不謹慎だよ」

「嬉しい気持ちを発散させておかないと、通夜と葬儀中に笑みが溢れてしまう。ジジイの死を哀しむふりをするためにも、祝盃をあげたい!!」

拓人の気持ちがわからないでもない。
それほどまでに、祖父から酷い仕打ちを受けてきた。
「……ケータリング頼んで家で呑んだら?人目気にしないでいいから」

「義兄さん、ありがとうございます!!」

大島建設で東京港区の虎ノ門に軒並みに建築予定の超高層ビルの打ち合わせに行っていた翔真。

私の祖父の危篤の連絡を受けて打ち合わせを切り上げて病院に駆けつけてくれた。

普通の感覚なら育ててくれた祖父の死に深く哀しむものなのに、これ以上苦しめられずに済むと喜んでる私と拓人は異様だと思う。

マンションに戻り、グランドプリンセスホテル品川のケータリングサービスで豪華オードブルを注文し、翔真のコレクションの最高級のブランデーやワインをあけて、朝方まで3人で呑んだ。

合同葬で通夜と葬儀、告別式が事通りなく執り行われた。

『……萌音、一周忌の法要が終わる迄は離婚しないからな。祖父が亡くなって日が経ってないのに離婚とかしたら、薄情な人間に思われる』

祖父が亡くなった事で宮坂不動産の経営関係が荒れそうだから立て直しで波乱な予感がする。
だから、翔真とすぐにでも離婚して面倒をかけたくなかった。

ーーだけど、翔真は離婚に応じてくれなかった。


「翔真、いやっ……」

祖父が亡くなった次の日から、翔真はやたらと身体を求めてくる。
就寝前や寝起きだけでなく、仕事中も時間を見つけては私を連れてマンションに戻り、私を抱く。

ランチタイムにマンションに連れて行かれ、部屋に入るなり身体を拘束するよう抱きしめられ、身体を熱く愛撫されながら唇を貪られる。

時間が無い時はそのままスーツのタイトスカートを捲し上げられ、ストッキングとショーツを下げられ、ジッパーから取り出された昂まった雄の欲望を、生でぶち込まれる。

「……翔真、着けて、くれてるよね?」

「……」

「いっ、嫌……、避妊はしてって約束したよね……」

「……」

腰をがっしり掴まれ、立ったまま後ろから貫かれ、抵抗しようにも抵抗できず、大きく滾った雄槍をひたすら打ちつけられる。

「は……あ、……ああ……っ……」

嫌なのに与えられる快楽に身体が反応して、されるがまま抱かれてしまう。
雄槍が身体の奥をズンと突くたびに、子宮がキュンとし、甘い刺激が走り、絶頂の波に呑まれてしまう。

短時間に何度もイかされ、脚がガクガクと震えたっていられなくなり、よろけそうになった所で、やっと解放される。
雄槍を引き抜き、翔真が尻の上に熱い白濁を勢いよく吐き出す。

蹲り脱力で憔悴している私の後ろ姿を見つめてる翔真に、訳がわからなくなる。

「……ナカには出してない。萌音と離婚したら、もう抱けなくなる。だから、今、抱けるだけ抱きたい」

最低だと思うも、行為を終えた後に哀しそうな表情を浮かべてる彼に何も言えない。

『ーー姉さん、宮坂不動産、……倒産するかもしれない。縁故役員を告発した反撃食らってしまった』

拓人からのLINE通話に頭を抱える。
不動産の買い手や借り手がつかないよう裏で手を回されたらしい。

倒産は間逃れない状況で、父は吸収合併してくれる会社を探し始めた。

『ーー姉さん、義兄さんにうちの会社を吸収してくれないかお願いできない!!』

宮坂不動産は歴史は長い会社で、東京本社以外にも名古屋、大阪、岡山に支社がある。
倒産してしまうと2千人もの社員を路頭に迷わす事になり、それは何としても避けたくて途方に暮れる。

だけど、かなりの負債を抱えた宮坂不動産を吸収合併をすると、カグラホームの経営も悪化させ、共倒れさせ兼ねない。

「……それは、さすがにできないよ。ごめんね」

宮坂不動産の経営不振を翔真に知られないよう、細心を払った。
翔真にこれ以上、迷惑をかけたくなかった。




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