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鳴宮鶉子

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再会

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5月の終わり、医療手術ロボット ジョブズの公開オペ研修会を見に麗華ちゃんと大阪循環器医療研究センターに向かった。

「良い男いないかなぁ~!!」
麗華ちゃんは婚活営業のために行く。
わたしは玲斗が開発に携わった医療手術ロボット ジョブズを見たくて来た。

研修会のために用意された部屋に入る。
全国各地にある大学病院や総合病院からも若手医師が来ていた。

「あれっ、藤本くん、お久しぶり!!」
大阪循環器医療研究センターで心臓外科医をしてる大学の同窓、藤本雅樹《ふじもとまさき》くんとばったり会い、声をかけた。

緑色の手術着を着て白衣を羽織っていたからオペが終わってから研修会に来たのだろう。

「初瀬に槙野、お前らも来たんだ!!」
「神坂くんが開発に携わった医療手術ロボット ジョブズの性能を見にくるよ!!」

堂本くんに婚活営業にきたとはいわない麗華ちゃん。
さっきまで若手ドクターに話しかけて名刺交換をしてた。
当たり前だけど心臓外科医が大半で、内科医か小児科医をターゲットにしてる麗華ちゃんは肩を落としてた。

「ふふっ、知ってたか、神坂、医療手術ロボットジョブズと一緒にうちの心臓外科医として入局したんだ」

公開オペが始まり、前のスクリーンに手術室の映像と、医療手術ロボットジョブズの操縦をしてる男性の映像が分割した形で同時で流れ始めた。

その男性を見て、わたしは目を疑った。

「神坂くん、いつ帰国したの!?」

「2週間前かな。ジョブズを使い熟せる医師としてアメリカから呼び寄せた。
一時帰国で1年後にまたアメリカに戻る予定らしいな。
公開オペ研修会が終わった後、神坂と夕飯行く約束してるから一緒に行かない!!」

「行く!!」
蓮を早目に迎えに行くつもりだったけど、玲斗に会って話したくて、保育園に電話をかけて20時まで延長保育をお願いした。

*****
玲斗は医療ロボット ジョブズを使いこなし、小切開冠状動脈バイパス手術と弓部大動脈置換などの難関な手術を公開で行った。

小切開冠状動脈バイパス手術midCABG《ミッドキャブ》は、医師が執刀する際はわずか8センチ程度の切開により、冠状動脈で一番重要な左前下行枝という部分にバイパスを縫い付ける低侵襲(痛みや出血などが少ない)手術で、小さな傷口から心臓が動いたまま行なうため、難しい手術とされる。
それを2センチの切開でロボットを駆使し30分で終わらせた。

弓部大動脈置換手術は心臓上部にある弓部大動脈を取り出すし人工血管に取り替える手術で、体に血液が流れない状態にしなければいけないため、そのため時間との闘いになりますが、縫うところも多く、かなり難度の高い手術とされてる。
それをロボット使用でものの10分で終わらせてた。

見事な手術にスクリーンを見て誰もが歓声をあげ、拍手をしていた。


*****
「お疲れ、神坂。公開研修会に槙野と初瀬いたから夕飯に誘った。もう終わっていいんだろ?」

藤本くんに連れられて循環器外科の医局の前まで行く。
藤本くんが玲斗に声をかける。
スラックスとオシャレなTシャツにジャケットを羽織った玲斗が藤本くんと一緒に医局から出てきた。

「せっかくだから大学の側の行きつけの居酒屋に行こうか」
わたしと麗華ちゃんを気遣って、京都の居酒屋にきてくれた。

玲斗と藤本くんは明日は完全な公休で呼び出される事がないからビールを美味しそうに飲んでた。

玲斗からアメリカのハーバード大学付属病院での後期研修と医療手術ロボット開発秘話について話を聞いた。

17時半から20時半まで話をしてしまい、保育園から電話がかかってきて慌てて蓮を迎えに行く事にした。

「……俺もいく。息子に会わせてくれ。それと、今後について話したい」

わたしが居酒屋から出ると玲斗も一緒に出てきた。

保育園まで急がないといけないからタクシーに乗り込みひとまず蓮を迎えに行った。
蓮は保育園でお風呂に入れて貰い、パジャマを着ていて眠そうに目を擦ってた。

「凪の家に行っていい?」

玲斗が蓮を抱きあげて、徒歩5分先の所にあるわたしが住んでいるマンションへ向かう。

玲斗は、わたしが玲斗の子を妊娠して産んで育ててる事を知っていた。


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