6 / 10
研修を終え、指導医と
しおりを挟む
6月の終わりの金曜日。
外科の研修を終えた。
結城先生は最初はわたしに対してよそよそしくて、聞かないと何も教えてくれなかったけど、斎藤さんが亡くなったぐらいから、しっかり指導してくれた。
そして、わたしが高熱で寝込んだ時に、泊りで看病してくれた。
あの日から、わたしは結城先生に対して檸檬の甘酸っぱい薫りのような恋心を抱いてる。
研修最終日だからと、結城先生がディナーに連れて行ってくれた。
医者という職業柄、いつ呼び出されるかわからないから、お酒は飲めない。
でも、今日は呼び出しがかかっても病院に駆けつけないでいいように、他の先生にしっかり患者の容体についてを引き継いで、タクシーでちょっと遠くにある、ホテル大倉のフランス料理のディナーに連れて行ってくれた。
美味しいコース料理に舌鼓を打ちながら、来週からの内科の研修についてなどの話で盛り上がった。
不器用なわたしはナイフとフォークを使うのが下手で苦戦してる中に、外科医の結城先生は手慣れた手つきでナイフとフォークを使って料理を口に運んでた。
「天沢は、外科医は無理だな」
わたしがステーキをナイフとフォークで不慣れな手つきで切ってたら、結城先生に言われた。
「わたしが外科医になったら、治る患者も死なせてしまいそうです。だから内科医を目指します」
小さなステーキなのに、食べ切るのに15分もかかってしまった。
1時間かけて、美味しいフレンチのコースをご馳走して貰い、その後、同じ最上階にあるBARに連れて行って貰った。
明日仕事は休みだけど、休みの日も回診に行かないといけない結城先生。
ブランデーの水割りを頼み、ゆっくり口に含むように飲んでた。
わたしは明日は完全にお休みだから、お洒落なカクテルを作って貰って楽しんだ。
腕時計で時間を見ると23時を過ぎていた。
「天沢、俺、おまえと初めて会った時からお前の事が好きだ。俺と付き合ってくれないか」
結城先生が、わたしの顔をじっと見つめ真剣な表情でわたしに言う。
「わたしも、結城先生の事が好きです。嬉しいです」
わたしがそう言うと、結城先生がポケットからジュエリーケースを取り出した。
中から、きれいなネックレスを取り出した。
ハート形の中にダイヤモンドが入った高価そうなネックレスを、結城先生がわたしの首にかけた。
「一花、大切にする。ずっと一緒にいよう」
結城先生が、わたしに甘い言葉をかけてくれた。
「よろしくお願いします」
その後、遅い時間だから明日の午後に会う約束をしてBARを後にし、タクシーで家まで送って貰った。
とても幸せな気持ちだった。
外科の研修を終えた。
結城先生は最初はわたしに対してよそよそしくて、聞かないと何も教えてくれなかったけど、斎藤さんが亡くなったぐらいから、しっかり指導してくれた。
そして、わたしが高熱で寝込んだ時に、泊りで看病してくれた。
あの日から、わたしは結城先生に対して檸檬の甘酸っぱい薫りのような恋心を抱いてる。
研修最終日だからと、結城先生がディナーに連れて行ってくれた。
医者という職業柄、いつ呼び出されるかわからないから、お酒は飲めない。
でも、今日は呼び出しがかかっても病院に駆けつけないでいいように、他の先生にしっかり患者の容体についてを引き継いで、タクシーでちょっと遠くにある、ホテル大倉のフランス料理のディナーに連れて行ってくれた。
美味しいコース料理に舌鼓を打ちながら、来週からの内科の研修についてなどの話で盛り上がった。
不器用なわたしはナイフとフォークを使うのが下手で苦戦してる中に、外科医の結城先生は手慣れた手つきでナイフとフォークを使って料理を口に運んでた。
「天沢は、外科医は無理だな」
わたしがステーキをナイフとフォークで不慣れな手つきで切ってたら、結城先生に言われた。
「わたしが外科医になったら、治る患者も死なせてしまいそうです。だから内科医を目指します」
小さなステーキなのに、食べ切るのに15分もかかってしまった。
1時間かけて、美味しいフレンチのコースをご馳走して貰い、その後、同じ最上階にあるBARに連れて行って貰った。
明日仕事は休みだけど、休みの日も回診に行かないといけない結城先生。
ブランデーの水割りを頼み、ゆっくり口に含むように飲んでた。
わたしは明日は完全にお休みだから、お洒落なカクテルを作って貰って楽しんだ。
腕時計で時間を見ると23時を過ぎていた。
「天沢、俺、おまえと初めて会った時からお前の事が好きだ。俺と付き合ってくれないか」
結城先生が、わたしの顔をじっと見つめ真剣な表情でわたしに言う。
「わたしも、結城先生の事が好きです。嬉しいです」
わたしがそう言うと、結城先生がポケットからジュエリーケースを取り出した。
中から、きれいなネックレスを取り出した。
ハート形の中にダイヤモンドが入った高価そうなネックレスを、結城先生がわたしの首にかけた。
「一花、大切にする。ずっと一緒にいよう」
結城先生が、わたしに甘い言葉をかけてくれた。
「よろしくお願いします」
その後、遅い時間だから明日の午後に会う約束をしてBARを後にし、タクシーで家まで送って貰った。
とても幸せな気持ちだった。
0
あなたにおすすめの小説
憧れの小説作家は取引先のマネージャーだった
七転び八起き
恋愛
ある夜、傷心の主人公・神谷美鈴がバーで出会った男は、どこか憧れの小説家"翠川雅人"に面影が似ている人だった。
その男と一夜の関係を結んだが、彼は取引先のマネージャーの橘で、憧れの小説家の翠川雅人だと知り、美鈴も本格的に小説家になろうとする。
恋と創作で揺れ動く二人が行き着いた先にあるものは──
皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい
99
ライト文芸
奥手で引っ込み思案な新入社員 × 教育係のエリート社員
佐倉美和(23)は、新入社員研修時に元読者モデルの同期・橘さくらと比較され、「じゃない方の佐倉」という不名誉なあだ名をつけられてしまい、以来人付き合いが消極的になってしまっている。
そんな彼女の教育係で営業部のエリート・幸崎優吾(28)は「皆に平等に優しい人格者」としてもっぱらな評判。
美和にも当然優しく接してくれているのだが、「それが逆に申し訳なくて辛い」と思ってしまう。
ある日、美和は学生時代からの友人で同期の城山雪の誘いでデパートのコスメ売り場に出かけ、美容部員の手によって別人のように変身する。
少しだけ自分に自信を持てたことで、美和と幸崎との間で、新しい関係が始まろうとしていた・・・
素敵な表紙はミカスケ様のフリーイラストをお借りしています。
http://misoko.net/
他サイト様でも投稿しています。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
如月 そら
恋愛
「二度目は偶然だが、三度目は必然だ。三度目がないことを願っているよ」
(三度目はないからっ!)
──そう心で叫んだはずなのに目の前のエリート役員から逃げられない!
「俺と君が出会ったのはつまり必然だ」
倉木莉桜(くらきりお)は大手エアラインで日々奮闘する客室乗務員だ。
ある日、自社の機体を製造している五十里重工の重役がトラブルから莉桜を救ってくれる。
それで彼との関係は終わったと思っていたのに!?
エリート役員からの溺れそうな溺愛に戸惑うばかり。
客室乗務員(CA)倉木莉桜
×
五十里重工(取締役部長)五十里武尊
『空が好き』という共通点を持つ二人の恋の行方は……
私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜
みかん桜
恋愛
身長172センチ。
高身長であること以外ごく普通のアラサーOL、佐伯花音。
婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。
「名前からしてもっと可愛らしい人かと……」ってどういうこと?
そんな男、こっちから願い下げ!
——でもだからって、イケメンで仕事もできる副社長……こんなハイスペ男子も求めてないっ!
って思ってたんだけどな。気が付いた時には既に副社長の手の内にいた。
同期に恋して
美希みなみ
恋愛
近藤 千夏 27歳 STI株式会社 国内営業部事務
高遠 涼真 27歳 STI株式会社 国内営業部
同期入社の2人。
千夏はもう何年も同期の涼真に片思いをしている。しかし今の仲の良い同期の関係を壊せずにいて。
平凡な千夏と、いつも女の子に囲まれている涼真。
千夏は同期の関係を壊せるの?
「甘い罠に溺れたら」の登場人物が少しだけでてきます。全くストーリには影響がないのでこちらのお話だけでも読んで頂けるとうれしいです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる