Destiny Lover〜檸檬の薫りのような恋〜

鳴宮鶉子

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研修を終え、指導医と

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6月の終わりの金曜日。
外科の研修を終えた。

結城先生は最初はわたしに対してよそよそしくて、聞かないと何も教えてくれなかったけど、斎藤さんが亡くなったぐらいから、しっかり指導してくれた。

そして、わたしが高熱で寝込んだ時に、泊りで看病してくれた。

あの日から、わたしは結城先生に対して檸檬の甘酸っぱい薫りのような恋心を抱いてる。

研修最終日だからと、結城先生がディナーに連れて行ってくれた。

医者という職業柄、いつ呼び出されるかわからないから、お酒は飲めない。

でも、今日は呼び出しがかかっても病院に駆けつけないでいいように、他の先生にしっかり患者の容体についてを引き継いで、タクシーでちょっと遠くにある、ホテル大倉のフランス料理のディナーに連れて行ってくれた。

美味しいコース料理に舌鼓を打ちながら、来週からの内科の研修についてなどの話で盛り上がった。

不器用なわたしはナイフとフォークを使うのが下手で苦戦してる中に、外科医の結城先生は手慣れた手つきでナイフとフォークを使って料理を口に運んでた。

「天沢は、外科医は無理だな」

わたしがステーキをナイフとフォークで不慣れな手つきで切ってたら、結城先生に言われた。

「わたしが外科医になったら、治る患者も死なせてしまいそうです。だから内科医を目指します」

小さなステーキなのに、食べ切るのに15分もかかってしまった。

1時間かけて、美味しいフレンチのコースをご馳走して貰い、その後、同じ最上階にあるBARに連れて行って貰った。

明日仕事は休みだけど、休みの日も回診に行かないといけない結城先生。
ブランデーの水割りを頼み、ゆっくり口に含むように飲んでた。

わたしは明日は完全にお休みだから、お洒落なカクテルを作って貰って楽しんだ。


腕時計で時間を見ると23時を過ぎていた。

「天沢、俺、おまえと初めて会った時からお前の事が好きだ。俺と付き合ってくれないか」

結城先生が、わたしの顔をじっと見つめ真剣な表情でわたしに言う。

「わたしも、結城先生の事が好きです。嬉しいです」

わたしがそう言うと、結城先生がポケットからジュエリーケースを取り出した。

中から、きれいなネックレスを取り出した。
ハート形の中にダイヤモンドが入った高価そうなネックレスを、結城先生がわたしの首にかけた。

「一花、大切にする。ずっと一緒にいよう」

結城先生が、わたしに甘い言葉をかけてくれた。

「よろしくお願いします」

その後、遅い時間だから明日の午後に会う約束をしてBARを後にし、タクシーで家まで送って貰った。

とても幸せな気持ちだった。


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