Destiny Lover〜檸檬の薫りのような恋〜

鳴宮鶉子

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最愛の人に似た人と side大翔

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最愛の人、新谷咲良に瓜二つの天沢一花の指導医になった俺。

咲良そっくりな天沢を、咲良と間違えて抱きしめたくなる衝動に何度もかられながら、彼女の指導医を務めた。

俺は天沢が咲良じゃないと自分自身に言い聞かせるのに必死だった。

天沢が咲良ではないと、間違えなくなるまでに1ヶ月かかった。

天沢は院内で常に俺の側にいる。
俺が指導医だからもあるが、俺の後ろをついて回る天沢が可愛くてならなかった。

6月に入りこの1ヶ月が終わると、天沢は外科から内科に研修先が変わる。

天沢と仕事ができなる事が残念でならない。
そう感じていた時に、天沢が高熱を出し休んだ。

1人暮らしをしている天沢が心配で、俺は勤務を終え、医療セットを持って彼女の家に駆けつけた。

高熱で苦しむ天沢を見て、咲良と重なり、天沢が死ぬんじゃないかと焦った俺。
40℃超えの熱に、今流行ってるアデノウイルスによる高熱と判断し、症状を緩和させる薬を飲ませ、点滴を入れることにした。

薬を飲ませ、点滴を入れてるからか、天沢はぐっすりと眠りについた。

眠る姿が、咲良と同一人物にしか見えない……。

天沢の寝顔を見ていると、咲良が亡くなった日の事を思い出してしまう。

咲良の事を忘れられず、咲良以外の人と付き合うなんて考えられない俺は、咲良が亡くなって12年経った今もずっと1人でいる。

『わたしが、この世からいなくなったら、わたしの事は忘れて欲しい。そして、素敵な人を見つけ出して、その人と、幸せになって欲しい』

と亡くなる前に、咲良に言われたのに。

俺は咲良を忘れる事ができなかった。

この気持ちは、檸檬の薫りに似てるかもしれない。
甘酸っぱい恋をし、最後は二度と会えない切ない苦味を俺は知った。


天沢を3日間、看病した。

夏風邪は長引く傾向があり、なかなか熱が下がらない天沢が心配でならなかった。

アデノウイルスによる高熱で死なないとはわかっていても、大切な人に似た人が苦しんでる姿を見るのはつらい。

3日目の夕方に、下熱し安心した。

高熱が下がったのに俺が天沢の家にいるのはまずいと思い、帰る事にした。

天沢を看病した日から、俺は天沢が気になってならなかった。

唯一の肉親の父親を高校卒業間際に癌で亡くした天沢。

それから、1人で生きてきたと言ってた。

俺が天沢に対する気持ち。

それは天沢の事が好きという事なのか。
それとも天沢と咲良を重ねてみていて好きだと思ってるのか。
俺はわからなかった。

ただ、天沢と付き合いたいと思った。

天沢が外科での研修を終える日、食事に誘った。

そこで、俺は天沢に付き合って欲しいと伝えた。

天沢から

『わたしも、結城先生の事が好きです。嬉しいです』

と、返事を貰い、嬉しかった。

3日前に、たまたま目に入ったティファニーで、ハート形の中にダイヤモンドが入ったネックレスを見つけ、天沢に似合いそうと思って、思わず買ってしまった俺。

それを天沢の首にかけた。

遅い時間だから天沢をタクシーで送り、俺もそのまま帰った。

天沢一花を、これから愛し大切にしていこうと、俺は心の中で強く思った。
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