Destiny Lover〜檸檬の薫りのような恋〜

鳴宮鶉子

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初デートの後に

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付き合い始めて、次の日の土曜日

11時過ぎに、わたしのiPhoneにLINE着信が入った。
結城先生からの着信で、車で来ていてるからランチを食べに行こうと言われた。

ショルダーバックを肩にかけて、慌てて家を出るわたし。

結城先生とのデートが楽しみで楽しみで、ずっと、まだかまだかと待ってた。

黒のBMWから出て、立ってる結城先生の姿が絵になっていてときめく。

「一花、そのピンクのワンピース、よく似合ってるよ。可愛い」

デートだから張り切っておしゃれをしたわたし。

ランチはちょっと遠出して、1時間半かけて湘南にやってきて、海鮮丼ぶりの名店に連れて行って貰った。

雲丹にイクラに甘エビに鯛にホタテが乗った豪華丼ぶり。

とっても美味しかった。
なにより、箸で食べれるのがありがたかった。

その後、江の島水族館に連れて行って貰った。

こんな風に男の人と2人でお出かけをした事がなかったわたし。

大翔さんと、手を繋いで江の島水族館の館内を歩く。

イルカとアシカのショーを観て、水族館なのになぜかいるカピパラとカワウソの可愛さに癒される。

大翔さんと一緒に過ごせる事が何より幸せで楽しく感じた。

わたしはそれほど大翔さんの事を好きになってた。

水族館の館内をゆっくり堪能し日が暮れる時間に、大翔さんと湘南海岸を一緒に眺めた。

湘南デートを終わりにし、東京に戻る事にした。


「夜はどこに食べに行こうっか?」

「ナイフとフォークを使わないところがいいです」

そう答えたわたしが笑いのツボに入ったのか、一瞬だけだけど大翔さんは笑った。

それほど、わたしはナイフとフォークを使うのが下手。

車で湘南を後にし、東京方面へ向かう。
大翔さんは、お洒落な個人経営の創作料理のお店に連れて行ってくれた。

箸で美味しい料理を堪能し、幸せな気分に浸った。


大翔さんが、わたしを家に送り届け帰っていくのが寂しくて、わたしは、はしたないけれど……。

「大翔さんと、まだ、一緒にいたいです」

と、上目遣いに、哀願していた。
パパが亡くなってからずっと1人で生きてきた。

誰もいない家に帰り、気ままに暮らしてきたけれど、寂しかった。

大翔さんと一緒に居たいと、離れたくないと思ってしまった。

「……お泊りセット用意してきて、ここで待ってるから」

大翔さんは少し困った表情を浮かべていたけれど、わたしの気持ちを受け入れてくれた。

急いで家に戻り、お泊りセットを用意して、大翔さんの元に向かうわたし。

大翔さんに、心底、陶酔していた。


大翔さんは、病院から徒歩10分のところにあるタワーマンションの中層階に住んでた。

初めて入る男の人が1人暮らししてる部屋。
大翔さんの部屋はsimple the best
で、黒基調で最低限の物しか置いてなかった。

時計の針を見たら、23時を回っていて、大翔さんは帰ってすぐにワンタッチボタンでお風呂を沸かした。

先にお風呂を借り、入れ替わりに大翔さんが入り、その間、リビングのソファーに座って、渡されたミネラルウォーターのペットボトルを口に含んでるわたし……。

一緒に居たいと言ったのはわたしだけど、これから、わたしはどうなるのか、想像するだけで恥ずかしくて、たじろいてた。

大翔さんがバスルームから出てきた。

パジャマ派だった大翔さん。

「寝よっか……。安心して、何もしないから。さすがに、まだ、早いでしょ」

紳士な大翔さんの発言に、ガッカリしたのか安心したのか、複雑な気持ちになったわたし……。

この日は、大翔さんの寝室のダブルベッドで、一緒に眠ったけど、ただ、それだけだった……。

でも、腕枕をしてくれて抱きしめてくれた。

それが嬉しかった。

週末は寝だめをするわたし、次の日、目覚めたら大翔さんが居なくて焦る。

病院に回診に行ってるのはわかるけれど、大翔さんの家に1人置いてけぼりにされると戸惑う。

恋人の家でも、まだ付き合い始めて間もないから気を使う。


大翔さんの部屋に置いてけぼりにされたわたし。

物色するつもりはなかったけれど、家のインテリアをボーっと見てた。

そしたら、とんでもない物を見てしまった。

写真立てに映ってる写真。

大翔さんとわたしと瓜二つな人が
、2ショットで笑顔で映ってた。

写真立ては1つでなく、至る所にあり、わたしは……固まる。

わたしは、この写真立てに映ってる彼女の身代わりなのではないと不安になり、わたしは、大翔さんの家から飛び出してた。




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