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いつになったら恋人同士に戻れるのか side結翔
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「これ使ったら楽だよ」
萌花が職場の子から便利だと教えて貰い取り寄せた“スリング”という抱っこ紐を箱から取り出し、久保田の身体に襷掛けるようにセットし、袋みたいな所に赤ん坊を入れ込んだ。
「萌花ちゃん、これ、めっちゃ楽だわ。ありがとう!!たくさん貰ったのに、さらに貰って悪いな」
赤ん坊の服とオムツケーキを日にちと時間と宅配業者指定で事前に送っていた萌花。
手土産のゼリーとスリングを持って訪ね、久保田に『神!!』と感謝された。
「いつも主人がお世話になってます。赤ちゃんを見にきて下さったのに起きれず挨拶が遅れまして、失礼しました。出産祝い、ありがとうございました」
久保田の奥さんが寝室から出てきた。
顔色が青白く体調がかなり悪そうな奥さんの姿を見て、俺も萌花も固まる。
「無理させたらいけない」
と萌花に小声で言われ、早々にお暇した。
久保田邸からの帰り。
「赤ちゃんのお世話ってやっぱり大変そうだったね」
「そうだな」
久保田夫婦の疲れきった姿を見て、子供を育てるのはしばらくは無理だと悟った。
萌花にワンオペで仕事をしながら子育てをさせる事になるから申し訳ない。
孕ませ婚を企てていた過去の自分をぶん殴りたい。
「萌花、同棲再開して3ヶ月経つだろ」
「うん」
「俺と恋人同士に戻って欲しい。俺の仕事は多忙の極みで、萌花もアプリ開発でまだ取り組みたい事とかあると思う。だから、結婚も子供も急かさない。子育ては母親が1人でするもんじゃないから、子供に手がかかる時期は俺も仕事をセーブして一緒に育てる。だからさ、俺と結婚前提で付き合って欲しい」
ホワイトデーの日にチョコレートのお返しで渡そうと思っていたハリーウィンストンのエターナルリングでできた婚約指輪をジャケットの内ポケットから取り出し、萌花の左手をとり、薬指にはめた。
「こ、これって婚約指輪に購入したものだよね。貰えないよ。着けれない」
「お願いだから、外さないで。別れようと思った男だから、やっぱり、もう、俺を受け入れるの無理か?」
薬指から指輪を外そうとする萌花の姿を見て、つらくなる。
同居人として萌花と暮らす生活に幸せを感じている。
俺のために毎朝、おにぎらずを作ってくれて持たせてくれる。
海外のクライアントとのリモートミーティングで午前2時まで仕事をする事が多い俺の身体を気遣ってくれる。
俺の事を好きでいてくれてるから、してくれると思った。
バレンタインの日の朝。
俺が催促したからもあるが、頬っぺたにキスしてくれた。
だから、俺の事を受け入れてくれると思った。
「結翔くんの事、好きだよ。だけど、ずっと身体だけ求められてて、それが嫌だった。恋人としてやり直すのはいい。だけど、ピュアな恋を楽しみたい。エッチ無しの関係でいいなら、やり直す」
萌花が俺の事を受け入れてくれた。
孕ませ婚を企て会うたびに避妊なしでやってたから嫌気をさされても仕方がない。
別れを切り出されて当然だ。
「萌花、ありがとう。愛してる」
肌を合わせる行為ができない事は本能的につらいが、最愛の萌花と恋人同士に戻れて、良かった。
「キスはいい?」
「軽い、触れるだけのキスなら」
萌花の身体をぎゅっと抱きしめ、俺を見上げる彼女の小さな唇にキスを落とした。
萌花が職場の子から便利だと教えて貰い取り寄せた“スリング”という抱っこ紐を箱から取り出し、久保田の身体に襷掛けるようにセットし、袋みたいな所に赤ん坊を入れ込んだ。
「萌花ちゃん、これ、めっちゃ楽だわ。ありがとう!!たくさん貰ったのに、さらに貰って悪いな」
赤ん坊の服とオムツケーキを日にちと時間と宅配業者指定で事前に送っていた萌花。
手土産のゼリーとスリングを持って訪ね、久保田に『神!!』と感謝された。
「いつも主人がお世話になってます。赤ちゃんを見にきて下さったのに起きれず挨拶が遅れまして、失礼しました。出産祝い、ありがとうございました」
久保田の奥さんが寝室から出てきた。
顔色が青白く体調がかなり悪そうな奥さんの姿を見て、俺も萌花も固まる。
「無理させたらいけない」
と萌花に小声で言われ、早々にお暇した。
久保田邸からの帰り。
「赤ちゃんのお世話ってやっぱり大変そうだったね」
「そうだな」
久保田夫婦の疲れきった姿を見て、子供を育てるのはしばらくは無理だと悟った。
萌花にワンオペで仕事をしながら子育てをさせる事になるから申し訳ない。
孕ませ婚を企てていた過去の自分をぶん殴りたい。
「萌花、同棲再開して3ヶ月経つだろ」
「うん」
「俺と恋人同士に戻って欲しい。俺の仕事は多忙の極みで、萌花もアプリ開発でまだ取り組みたい事とかあると思う。だから、結婚も子供も急かさない。子育ては母親が1人でするもんじゃないから、子供に手がかかる時期は俺も仕事をセーブして一緒に育てる。だからさ、俺と結婚前提で付き合って欲しい」
ホワイトデーの日にチョコレートのお返しで渡そうと思っていたハリーウィンストンのエターナルリングでできた婚約指輪をジャケットの内ポケットから取り出し、萌花の左手をとり、薬指にはめた。
「こ、これって婚約指輪に購入したものだよね。貰えないよ。着けれない」
「お願いだから、外さないで。別れようと思った男だから、やっぱり、もう、俺を受け入れるの無理か?」
薬指から指輪を外そうとする萌花の姿を見て、つらくなる。
同居人として萌花と暮らす生活に幸せを感じている。
俺のために毎朝、おにぎらずを作ってくれて持たせてくれる。
海外のクライアントとのリモートミーティングで午前2時まで仕事をする事が多い俺の身体を気遣ってくれる。
俺の事を好きでいてくれてるから、してくれると思った。
バレンタインの日の朝。
俺が催促したからもあるが、頬っぺたにキスしてくれた。
だから、俺の事を受け入れてくれると思った。
「結翔くんの事、好きだよ。だけど、ずっと身体だけ求められてて、それが嫌だった。恋人としてやり直すのはいい。だけど、ピュアな恋を楽しみたい。エッチ無しの関係でいいなら、やり直す」
萌花が俺の事を受け入れてくれた。
孕ませ婚を企て会うたびに避妊なしでやってたから嫌気をさされても仕方がない。
別れを切り出されて当然だ。
「萌花、ありがとう。愛してる」
肌を合わせる行為ができない事は本能的につらいが、最愛の萌花と恋人同士に戻れて、良かった。
「キスはいい?」
「軽い、触れるだけのキスなら」
萌花の身体をぎゅっと抱きしめ、俺を見上げる彼女の小さな唇にキスを落とした。
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