執着彼氏と別れるのはいつ？

ピュアな甘い恋人関係 1

「結翔くん、はい。今日はサンドイッチにしたよ」

玄関で革靴を履く結翔くんに駆け寄る。

「ありがとう、萌花」

ランチバックを受け取る前に私の身体をぎゅっと抱きしめ、そして、顎クイし、唇を重ねてくる。

「愛してる。行ってきます」

私からランチバックを受け取り、結翔くんは部屋を出て行く。

結翔くんと正式に恋人同士に戻った。
また身体だけ求められるようになったら、エッチ無しなら復縁してもいいと伝えた。

3月になり、決算と新年度の準備等で、結翔くんは多忙だ。
週末も出勤し、朝のほんの僅かな時間しか一緒に居られない。


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『萌花さん、麻衣子さん、聞いてください！！ソミーミュージックの御曹司、婚約者いたんです！！』

“ヘルシーライフ”運営責任者リモートミーティング。
花見弁当の特集ページについての話し合いをする予定だったのが、テレビ電話を繋ぐと沙織さんが涙でボロボロになって仕事どころではない状態で、麻衣子さんと話を聞く。

『うわぁ、最低だね』

ソミーミュージックの専務、堀田幸治32歳。
経営の実権を持っている取締役員の孫娘と政略的な結婚が決まっていたらしい。

『政略結婚で婚約者の事を愛していない。君とは別れたくないって、愛人として侍らせようとしてた。しかもね、その愛人、私だけじゃなかった！！』

大企業の御曹司や起業で成功した男に、そういう奴が多い。

『付き合ってまだ3週間だよね？傷が浅くて良かったじゃん！！』

『良くない！！ライブバーで初めて会った日にVIPルームで生でやっちゃって妊娠しちゃったの。子供はマズいから堕ろせって無理やり経口妊娠中絶薬を飲まされた！！』

沙織ちゃんが泣き崩れた。
ゲスの極みなソミーミュージックの御曹司に怒りを感じる。

「沙織さん、身体、大丈夫！！」

『薬のせいで出血してる。生理がちょっと重たい感じで問題無い。腹たったから産んで高額な慰謝料と養育費を請求してやろうかと思ったけど、父親に似て最低な奴に育ったらつらいし、流産して良かった！！』

経口妊娠中絶薬は日本では認可されていないが世界保健機関（ＷＨＯ）で推奨されていて安全とされてる。

精神的不安定になっている沙織ちゃんを家まで迎えに行き、私が通っている婦人科クリニックに連れて行った。

結翔が避妊をしてくれなかったから、緊急経口避妊薬を処方して貰うために3年前から通院していた。

私の主治医をして下さってる女医さんが沙織さんを診察して下さった。
膣口エコーで念入りに診て貰い、胎嚢の袋が確認されなかった事から流れ落ちたと診断された。