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1 side 晴翔
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大学の卒業式。
俺は情報番組の収録で出席できなかった。
大学院に進むから、出席の必要性は感じてなった。
でも、謝恩会には出たかった。
中高一貫校時代からずっと一緒にいた大切な人。大切過ぎて、側にいる事しか出来なかった、初瀬凛音が大学を卒業する。
中学生時代に小説家デビューを果たした彼女は、卒業後は小説執筆と翻訳の仕事をするらしく、就職はしなかった。
実家住まいの東京都で育ったから、このまま、東京に住むと思ってた。
謝恩会、桜色のドレスに身を包んだ凛音。
髪をアップさせ、ふわふわのひざ上丈のカクテルドレスは、とても、似合ってた。
タキシード姿でなんとかギリギリ間に合い、一緒に記念写真を撮った。
『またねっ』
と、謝恩会の後、二次会には出ずに帰宅した凛音。
まさか、連絡先をすべて消して、俺の前から居なくなるとは思わなかった。
毎日のように送り届けてた凛音の家へ行った。
凛音のお母さんに、凛音の居場所を聞いた。
でも、教えてくれなかった。
凛音からの最後の手紙を渡された。
『晴翔くんと、拓海くんは、わたしと違う世界に入ったから。だから、わたしは、自分の世界を歩む。だから、わたしを探さないで を 初瀬 凛音』
凛音は、この短い手紙だけを残して、俺の前から旅立った。
俺と新開拓海は高校時代にニコニコ動画やYouTubeにお互い作曲し、MVを撮り合い、投稿した。
時たまにデュエットしたりと、趣味の範囲で活動していた。
そこに、必ず凛音もいた。
文才と絵の才能がある凛音は、作詞担当と、時たまにアニメーションを描いてくれた。
国立大学附属中高一貫校に入ってから、凛音の感性の素晴らしさを知り、彼女の事が気になり、気がついたら、常にちょっかいを出し側にいた。
彼女の側に居ることが居心地が良く、彼女の事を好きを通り越し、愛していて、かけがえのない人だった。
だから、本当は告白して付き合って恋人同士になりたかった。
でも、何かが原因で、別れて、彼女の側に居ることができなくなる事が怖くて、できなかった。
「だから、凛音に近づく男達を追い払うだけじゃなくて、告白しろって忠告してたんだよ」
日本最高峰T大の大学院に進んだ俺と拓海。
俺は情報システムで、拓海は経営学。
拓海は、大手ホテルグループの御曹司で、将来は跡を継ぐことになっている。
ちなみに、俺はそういうしがらみは無い。
大学院を卒業したら、IT関係の起業できたらと思い、情報システムを専攻した。
4月になり、昼間は大学の研究室に篭り、教授の研究を手伝ったりしていた。
俺と拓海は一応、メジャーデビューを果たした。
だが、テレビ出演は極力控えた。
今まで通り、自分で曲作りをしMVを作成して、ニコニコ動画とYouTubeに配信する事が主な活動で、音楽番組に出たり、バラエティー番組に出演したりはしない。
CMソングに起用された時は出演したが、
ポスター撮影やグッズの話が出て、見てくれで評価されてるような気がして嫌になり、それからはすべてNGにした。
大学院での研究を第1にし、それ以外は曲作りに時間を割いた。
お互い、別々に活動しているから、時々気晴らしに呑みたい時か、MVを作成する時にサポートを頼む時だけ会った。
GWの初め、特にやる事もなく、拓海を呼び出し、メジャーデビューする前によくライブをしていたバーのオープン前に店を開けて貰って、昼間からブランデーの水割りを飲む。
「凛音、GWだから実家に帰ってくるんじゃねっ?行ってみたか?」
凛音の実家には外出の際、遠目で見てる。
凛音のお母さんから悪い印象を持たれたく無いから、凛音が残した手紙を渡された以降は、家には押しかけてない。
「ジプシーの事務所か、角川書房なら知ってるんじゃないか?夏休みに凛音の書いた小説がアニメ映画化するし、5月の初めに新しい小説出してたよな?」
拓海が言うように、凛音の仕事関係に聞けばわかるかもしれない。
凛音は俺と拓海の歌詞を担当していた。
凛音の言葉選びと表現のセンスは人の心を惹きつけ、メロディーにうまくのせていて、俺も拓海も、歌詞に関して、凛音を頼っていた。
だから、仕事を理由にして聞き出せるかもしれないと思った。
問い合わせところ、賢い凛音は、実家の母と同じで、仕事関係にも口留めしていた。
凛音が俺の前から居なくなり、2ヶ月たった。
いまだに俺は立ち直れないでいた。
2月の終わりに新曲ができあがり、凛音と拓海、立会いの中、ニコニコ動画とYouTubeに曲を配信した。
その時に3人でカメラを回し撮影した動画、凛花は顔出しはしてないけど、いつも、声だけは録音されていた。
中学、高校、大学と10年間、一緒の学校で学んだ仲間。
別々に活動をしていても、同じクリエーターとして繋がっていた。
「あっ、俺、やっと新曲できあがったから、レコーディングとMV撮影、来週の土日開けといて」
メジャーデビューを果たしてからは、所属事務所のスタジオで収録と撮影はする。
でも、カメラとマイクだけお願いして、いつも、3人で納得するまで撮り、完成させた。
「凛音がいないと、歌詞に困るわ。俺、語彙無いから、歌詞に時間かかったわ。晴翔は6月の終わりだよな。取り掛かってるか?」
「ぜんぜん。院の研究が忙しくて。昔に作って発表してない曲を使おうかと思ってる」
大学院の研究が思ったより大変なのは事実で、担当教授の補佐で常にパソコンでCGグラッフィックを作成していた。
店が開く1時間前の17時に拓海と別れ、思い切って購入したタワーマンションへ向かった。
俺は情報番組の収録で出席できなかった。
大学院に進むから、出席の必要性は感じてなった。
でも、謝恩会には出たかった。
中高一貫校時代からずっと一緒にいた大切な人。大切過ぎて、側にいる事しか出来なかった、初瀬凛音が大学を卒業する。
中学生時代に小説家デビューを果たした彼女は、卒業後は小説執筆と翻訳の仕事をするらしく、就職はしなかった。
実家住まいの東京都で育ったから、このまま、東京に住むと思ってた。
謝恩会、桜色のドレスに身を包んだ凛音。
髪をアップさせ、ふわふわのひざ上丈のカクテルドレスは、とても、似合ってた。
タキシード姿でなんとかギリギリ間に合い、一緒に記念写真を撮った。
『またねっ』
と、謝恩会の後、二次会には出ずに帰宅した凛音。
まさか、連絡先をすべて消して、俺の前から居なくなるとは思わなかった。
毎日のように送り届けてた凛音の家へ行った。
凛音のお母さんに、凛音の居場所を聞いた。
でも、教えてくれなかった。
凛音からの最後の手紙を渡された。
『晴翔くんと、拓海くんは、わたしと違う世界に入ったから。だから、わたしは、自分の世界を歩む。だから、わたしを探さないで を 初瀬 凛音』
凛音は、この短い手紙だけを残して、俺の前から旅立った。
俺と新開拓海は高校時代にニコニコ動画やYouTubeにお互い作曲し、MVを撮り合い、投稿した。
時たまにデュエットしたりと、趣味の範囲で活動していた。
そこに、必ず凛音もいた。
文才と絵の才能がある凛音は、作詞担当と、時たまにアニメーションを描いてくれた。
国立大学附属中高一貫校に入ってから、凛音の感性の素晴らしさを知り、彼女の事が気になり、気がついたら、常にちょっかいを出し側にいた。
彼女の側に居ることが居心地が良く、彼女の事を好きを通り越し、愛していて、かけがえのない人だった。
だから、本当は告白して付き合って恋人同士になりたかった。
でも、何かが原因で、別れて、彼女の側に居ることができなくなる事が怖くて、できなかった。
「だから、凛音に近づく男達を追い払うだけじゃなくて、告白しろって忠告してたんだよ」
日本最高峰T大の大学院に進んだ俺と拓海。
俺は情報システムで、拓海は経営学。
拓海は、大手ホテルグループの御曹司で、将来は跡を継ぐことになっている。
ちなみに、俺はそういうしがらみは無い。
大学院を卒業したら、IT関係の起業できたらと思い、情報システムを専攻した。
4月になり、昼間は大学の研究室に篭り、教授の研究を手伝ったりしていた。
俺と拓海は一応、メジャーデビューを果たした。
だが、テレビ出演は極力控えた。
今まで通り、自分で曲作りをしMVを作成して、ニコニコ動画とYouTubeに配信する事が主な活動で、音楽番組に出たり、バラエティー番組に出演したりはしない。
CMソングに起用された時は出演したが、
ポスター撮影やグッズの話が出て、見てくれで評価されてるような気がして嫌になり、それからはすべてNGにした。
大学院での研究を第1にし、それ以外は曲作りに時間を割いた。
お互い、別々に活動しているから、時々気晴らしに呑みたい時か、MVを作成する時にサポートを頼む時だけ会った。
GWの初め、特にやる事もなく、拓海を呼び出し、メジャーデビューする前によくライブをしていたバーのオープン前に店を開けて貰って、昼間からブランデーの水割りを飲む。
「凛音、GWだから実家に帰ってくるんじゃねっ?行ってみたか?」
凛音の実家には外出の際、遠目で見てる。
凛音のお母さんから悪い印象を持たれたく無いから、凛音が残した手紙を渡された以降は、家には押しかけてない。
「ジプシーの事務所か、角川書房なら知ってるんじゃないか?夏休みに凛音の書いた小説がアニメ映画化するし、5月の初めに新しい小説出してたよな?」
拓海が言うように、凛音の仕事関係に聞けばわかるかもしれない。
凛音は俺と拓海の歌詞を担当していた。
凛音の言葉選びと表現のセンスは人の心を惹きつけ、メロディーにうまくのせていて、俺も拓海も、歌詞に関して、凛音を頼っていた。
だから、仕事を理由にして聞き出せるかもしれないと思った。
問い合わせところ、賢い凛音は、実家の母と同じで、仕事関係にも口留めしていた。
凛音が俺の前から居なくなり、2ヶ月たった。
いまだに俺は立ち直れないでいた。
2月の終わりに新曲ができあがり、凛音と拓海、立会いの中、ニコニコ動画とYouTubeに曲を配信した。
その時に3人でカメラを回し撮影した動画、凛花は顔出しはしてないけど、いつも、声だけは録音されていた。
中学、高校、大学と10年間、一緒の学校で学んだ仲間。
別々に活動をしていても、同じクリエーターとして繋がっていた。
「あっ、俺、やっと新曲できあがったから、レコーディングとMV撮影、来週の土日開けといて」
メジャーデビューを果たしてからは、所属事務所のスタジオで収録と撮影はする。
でも、カメラとマイクだけお願いして、いつも、3人で納得するまで撮り、完成させた。
「凛音がいないと、歌詞に困るわ。俺、語彙無いから、歌詞に時間かかったわ。晴翔は6月の終わりだよな。取り掛かってるか?」
「ぜんぜん。院の研究が忙しくて。昔に作って発表してない曲を使おうかと思ってる」
大学院の研究が思ったより大変なのは事実で、担当教授の補佐で常にパソコンでCGグラッフィックを作成していた。
店が開く1時間前の17時に拓海と別れ、思い切って購入したタワーマンションへ向かった。
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