犬と猿

鳴宮鶉子

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Prologue

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*****

“居酒屋 笑民  PM6:30 ”←涼

“OK?”←涼
(ヨ●シースタンプ)

“OK”←わたし
  (ほのぼ●子ペンギンのスタンプ)

“OK”←優
(動く!しば●ばんのスタンプ)

*****


毎週水曜日の夜に開かれる3人だけの飲み会召集連絡LINEメッセージ

平日のど真ん中に行われる飲み会だから、お酒はほどほどにして、美味しいご飯をパクつきたい。

でも、涼が幹事の日は居酒屋チェーンの店をチョイスする。

ーー PM6:30
「「「    おつかれーー  」」」

ビールジョッキをカチンと合わせ、冷えたビールをグビっといく。

医療機器メーカーに勤めてるわたし達3人。

1番優秀な有川優《ありかわすぐる》は最先端医療機器 医療手術ロボット エジソンの開発エンジニアをしてる。

そして、
2番目に優秀な相馬涼《そうまりょう》はコミュニケーション能力がズバ抜けて高い営業No.1の男で、涼が営業に行けばどんな高額な医療機器でも売りつける事ができると言われてる。

1番できが悪いわたし、鈴原彩音《すずみや あやね》
は医療機器メーカーだけど新規事業で創薬開発を始めたこの会社に創薬研究員として雇われた。

「……彩音、ジェネリック薬品の開発は進んでる?」

新規事業で創薬研究とはいってもサプリメント開発とジェネリック薬を手がけてるだけ……。
入社してから3年間はサプリメント開発に携わり、やっと創薬に携われると思ったけれど、ジェネリックの開発でいかに安価で同じ効能がある薬を開発するかで、毎日実験を繰り返してる。

「  …… ぼちぼちってとこかな。優は?確か癌の画像診断機能付きのMRI開発してるんでしょ?」

「癌の画像データを入れ込んでいってるとこだけど、データがありすぎて、ちょっと大変。
定時退社日以外は俺、毎日23時退社だよーー。
朝も7時出勤してるし」

優はかなり優秀なエンジニアで、ベテランの先輩方が開発に関して一任するぐらい有能過ぎる男。

「俺は6時半出社からの接待で、深夜帰りだ!!水曜日だけはなんとか死守してる……」

たぶん、この3人の中で1番働いてるのは涼だと思う。
営業No.1だから、クライアント先の病院で医師や看護師に飲みに誘われ、奢りで飲み回ってる。
そして……噂では一夜限りの関係を持ち奉仕してるらしい。

ビールを飲みながらわたしの目の前でどっちが多忙かで喧嘩を始めた2人を見つめる。

2人とも両極端なハンサムな男。
優は理系男子だから身体の線が細く容姿端麗な美しい王子様系で、
涼は営業No.1の社交的だけど人たらしな眉目秀麗な野生的なプレイボーイ。

医療機器薬品株式会社 テルノ の結婚したい抱かれたい男、No.1とNo.2の優と涼と腐れ縁で親友なわたし。

……この関係がずっと続いてほしかった。

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