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離婚するつもりだったのに
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蓮が北海道から帰ってくる日。
仕事から帰ってきてから、2泊3日分の着替え等のお泊りセットを持って蓮の部屋へいく。
「結衣、お帰り。夜ご飯食べよう」
出張帰りで早めに仕事があがれたのか家にいて、ダイニングテーブルの上には北海道から買って帰ってきたと思われる豪華な海鮮料理が並んでた。
イクラと鮭と帆立がのった海鮮丼に、大きなどなべの中にはタバラガニが入ってた。
「結衣の実家にも蟹とジンギスカンを送っといたから」
今日の夕方受け取りで、海の幸を大きめの発泡スチロールの箱2つ分、山の幸を大きめダンボール1個分、北海道から送ってた。
昔は全く料理をしなかったのに、料理に目覚めたのではと思うぐらい、海鮮丼の酢飯も酢と砂糖の量が丁度よく、そして海鮮鍋の野菜も丁寧に切って灰汁取りもきちんとされてた。
「出張で疲れてるでしょ。片付けは私がする!!」
食事を終えて片付けを始めた蓮に声をかけた。
「じゃあ、お願いしていい?お風呂の準備をしてくる」
食器は軽く洗って食洗機にINで、土鍋を洗うだけだからすぐに片付けは終わる。
出張から戻ってきてからカッターシャツや下着などを洗濯し干して、スーツはクリーニングに出しに行った後のようだった。
1人暮らしが長いからか、家事の段取りが良く、それに家の中も整理整頓されて片付いてる。
「結衣、先にお風呂に入っておいで」
先にお風呂を借りて、入れ替わりに蓮が入っていった。
蓮の出張中に何度かお邪魔して、5LDKの広い部屋の中を粗探しした。3部屋はカーテンだけの空き部屋で寝室と書斎とリビングのみ生活感がある。
男の1人暮らしだから、エロ本かエロDVDでも隠してあるかと思って探したら、見つかったのは私と撮った写真のアルバムが3冊と、部屋の至る所に引き伸ばされた写真が写真立てに収まり飾ってあった。
そしてリビングのテレビのDVDプレイヤーを再生したら、付き合ってた頃に撮った私メインのビデオが映る。
エロ本とエロDVDが出てくる方がまだ健全な気がする。
居心地の悪さを感じ、ここに引っ越すよう言われたけど、蓮がいない日は借りてる部屋で過ごす事にした。
「結衣、昔に撮ったビデオ見る?」
「……いい」
パジャマ姿でタオルで髪の毛をわしわしと拭きながら蓮が出てきた。
リビングのセンターテーブルの上に仕事用のノートパソコンを持ってきて、蓮はソファーに座ってる私を無視して仕事を始めた。
私を襲ったら離婚だから我慢してるのか、全く私に欲情しない。
「結衣、札幌と小樽に建つポルスターマンション、二重サッシは当たり前で、壁には断熱材が厚く押し込まれていて、窓は少し小さい開き窓にしてあるんだ」
建築中のマンション2棟を見せてくれた。
寒さ対策が施されたマンション。
大きめの冷蔵庫を使用する家庭が多いから、キッチンスペース広くとってるようだった。
「ここのシステムキッチンのデザインを結衣に任すから」
プライベートの時間なのに、寝るまでの2時間、ずっと仕事関係の話をし続けた。
就寝時間になり、同じベッドに寝ようとしたら家に帰された。
「……結衣に手を出したら離婚だから初日で終了は嫌だ。だから……帰って」
かなり挙動不審に狼狽えてた蓮。
「……金曜日の夜は20時には帰ってくるから、ご飯作って待っててくれたら嬉しいな。明日はたぶん深夜帰りになる。書類作成が溜まってるから」
同居するといいつつ、私に手を出したらOUTだから、プライベートの束の間の休息の時間に一緒に過ごすだけだった。
ご飯当番を決めて、時に一緒に作って、一緒に食事をする。
友達感覚で蓮と楽しい時間を過ごす。
そのおかげなのかあ、の悪夢でうなされることがなくなった。
「結衣、今週末連休とれそうだからさ、ドライブがてら旅行にいかない?」
季節は秋。冬が近づき、肌寒い季節に移り変わる。
湯河原の旅館を予約した蓮。
ランチは海沿いのフリースペースでバーベQをした。
「久しぶりだな。昔、週末によくバーベQしたな」
大学生時代、貧乏学生だったから近場の公園やキャンプ場、海辺でのんびり炭火で焼いた安いお肉や野菜、焼きそば、時に飯盒でご飯を炊いてカレーを作って食べたりしてた。
その時に撮ったビデオを見て、久しぶりに海辺でバーベQをしたくなった。
当時、手を出せなかった北海道産の殻付き帆立に牡蠣、ジンギスカンと高級食材を焼いて、味わいながらゆったりとした時間を過ごす。
不思議な事に、雰囲気を楽しむからなのか味に関しては大差なかった。
夕方までのんびり海を眺めながら過ごし、片付けをして、蓮が予約してくれた旅館に向かった。
*****
「……夕ご飯、入らない」
「ゆっくり食べたらいいよ」
新鮮な鯛のお造りに、平目や帆立、烏賊、栄螺のお刺身。
黒毛和牛のすき焼きなど豪華な旅館の夕食を目の前に、バーベQを楽しんだ後で胃袋はスペースが空いてなく、2時間以上かけて半分だけ食べた。
「蓮、大食いだよねーー」
私が残したのを蓮が全て食べてくれた。
運動はしてないのに適度に筋肉がついた細マッチョ。
ショートスリーパーでタフで、スタミナがすぐに切れる私は羨ましかったりする。
食後に部屋に備え付けの露天風呂に入り、夜空を眺めながらゆっくり温泉を堪能した。
私と入れ替わりに露天風呂に入る蓮。
蓮とプライベートな時間を過ごし始めて2ヶ月が経つ。
不思議な事に、あんなに離婚したかったのに、今は友達感覚の付き合いが居心地がよくてそんな気が起きない。
温泉から出たら、仲居さんが配膳を片付けてくれて、シングル布団を2組敷いてくれてた。
時間は9時過ぎで寝るには早い時間だから、窓辺の広縁でソファーに腰掛けてiPhoneで久しぶりに携帯小説を読む。
蓮とプライベートな時間は過ごしてるけど、一緒に夜を明かす事はなかったから緊張する。
私を襲ったら離婚だから、蓮は私に全く手を出さない。
温泉から出てきて、蓮が私の前に座って持ってきてたノートパソコンを開いて仕事を始めた。
浴衣を着てる蓮。襟元から見える胸元にドキッとしてしまう。
蓮と別れてから、こんな気を起こした事がなかった。
「……結衣、どうした?夕飯あまり食べてなかったし、つまみと日本酒頼むか?」
ノートパソコンの画面を見ながらキーボードをひたすら叩いて仕事をしていた蓮が私の方を見て言う。
私が蓮の事をじっと見つめてたからかもしれない……。
「……お腹はすいてない」
「そっか、あっ、もう11時か、……そろそろ寝るか」
掛け時計の針をみると11時前で、ノートパソコンの電源を落とした蓮は、電気を消して右側に敷いてあるシングル布団の中に入る。
私も後ろについていき、左側に敷いてあるシングル布団の中に入った。
そのまま寝たいけど、隣にいる蓮が気になって、眠れない。
「………蓮、眠れない」
蓮の布団の中に入り込み、私に背中を向けてる蓮を背後から抱きしめる。
「……結衣、我慢できなくなるから辞めて。俺、結衣と離婚したくない。今の関係を続けたい」
蓮がお腹に回した私の手を掴んで、体から離す。
「……離婚しない。蓮に触れたい」
あんなに蓮の事を拒絶してたのに、蓮を求めてしまい、蓮に振り払われた腕をまた蓮の腰に回す。
「……本当に離婚しない?」
蓮が私の方を振り向く。
首を縦に振り頷き、蓮の両頬に手をそえて、私は蓮の唇にキスを落とした。
仕事から帰ってきてから、2泊3日分の着替え等のお泊りセットを持って蓮の部屋へいく。
「結衣、お帰り。夜ご飯食べよう」
出張帰りで早めに仕事があがれたのか家にいて、ダイニングテーブルの上には北海道から買って帰ってきたと思われる豪華な海鮮料理が並んでた。
イクラと鮭と帆立がのった海鮮丼に、大きなどなべの中にはタバラガニが入ってた。
「結衣の実家にも蟹とジンギスカンを送っといたから」
今日の夕方受け取りで、海の幸を大きめの発泡スチロールの箱2つ分、山の幸を大きめダンボール1個分、北海道から送ってた。
昔は全く料理をしなかったのに、料理に目覚めたのではと思うぐらい、海鮮丼の酢飯も酢と砂糖の量が丁度よく、そして海鮮鍋の野菜も丁寧に切って灰汁取りもきちんとされてた。
「出張で疲れてるでしょ。片付けは私がする!!」
食事を終えて片付けを始めた蓮に声をかけた。
「じゃあ、お願いしていい?お風呂の準備をしてくる」
食器は軽く洗って食洗機にINで、土鍋を洗うだけだからすぐに片付けは終わる。
出張から戻ってきてからカッターシャツや下着などを洗濯し干して、スーツはクリーニングに出しに行った後のようだった。
1人暮らしが長いからか、家事の段取りが良く、それに家の中も整理整頓されて片付いてる。
「結衣、先にお風呂に入っておいで」
先にお風呂を借りて、入れ替わりに蓮が入っていった。
蓮の出張中に何度かお邪魔して、5LDKの広い部屋の中を粗探しした。3部屋はカーテンだけの空き部屋で寝室と書斎とリビングのみ生活感がある。
男の1人暮らしだから、エロ本かエロDVDでも隠してあるかと思って探したら、見つかったのは私と撮った写真のアルバムが3冊と、部屋の至る所に引き伸ばされた写真が写真立てに収まり飾ってあった。
そしてリビングのテレビのDVDプレイヤーを再生したら、付き合ってた頃に撮った私メインのビデオが映る。
エロ本とエロDVDが出てくる方がまだ健全な気がする。
居心地の悪さを感じ、ここに引っ越すよう言われたけど、蓮がいない日は借りてる部屋で過ごす事にした。
「結衣、昔に撮ったビデオ見る?」
「……いい」
パジャマ姿でタオルで髪の毛をわしわしと拭きながら蓮が出てきた。
リビングのセンターテーブルの上に仕事用のノートパソコンを持ってきて、蓮はソファーに座ってる私を無視して仕事を始めた。
私を襲ったら離婚だから我慢してるのか、全く私に欲情しない。
「結衣、札幌と小樽に建つポルスターマンション、二重サッシは当たり前で、壁には断熱材が厚く押し込まれていて、窓は少し小さい開き窓にしてあるんだ」
建築中のマンション2棟を見せてくれた。
寒さ対策が施されたマンション。
大きめの冷蔵庫を使用する家庭が多いから、キッチンスペース広くとってるようだった。
「ここのシステムキッチンのデザインを結衣に任すから」
プライベートの時間なのに、寝るまでの2時間、ずっと仕事関係の話をし続けた。
就寝時間になり、同じベッドに寝ようとしたら家に帰された。
「……結衣に手を出したら離婚だから初日で終了は嫌だ。だから……帰って」
かなり挙動不審に狼狽えてた蓮。
「……金曜日の夜は20時には帰ってくるから、ご飯作って待っててくれたら嬉しいな。明日はたぶん深夜帰りになる。書類作成が溜まってるから」
同居するといいつつ、私に手を出したらOUTだから、プライベートの束の間の休息の時間に一緒に過ごすだけだった。
ご飯当番を決めて、時に一緒に作って、一緒に食事をする。
友達感覚で蓮と楽しい時間を過ごす。
そのおかげなのかあ、の悪夢でうなされることがなくなった。
「結衣、今週末連休とれそうだからさ、ドライブがてら旅行にいかない?」
季節は秋。冬が近づき、肌寒い季節に移り変わる。
湯河原の旅館を予約した蓮。
ランチは海沿いのフリースペースでバーベQをした。
「久しぶりだな。昔、週末によくバーベQしたな」
大学生時代、貧乏学生だったから近場の公園やキャンプ場、海辺でのんびり炭火で焼いた安いお肉や野菜、焼きそば、時に飯盒でご飯を炊いてカレーを作って食べたりしてた。
その時に撮ったビデオを見て、久しぶりに海辺でバーベQをしたくなった。
当時、手を出せなかった北海道産の殻付き帆立に牡蠣、ジンギスカンと高級食材を焼いて、味わいながらゆったりとした時間を過ごす。
不思議な事に、雰囲気を楽しむからなのか味に関しては大差なかった。
夕方までのんびり海を眺めながら過ごし、片付けをして、蓮が予約してくれた旅館に向かった。
*****
「……夕ご飯、入らない」
「ゆっくり食べたらいいよ」
新鮮な鯛のお造りに、平目や帆立、烏賊、栄螺のお刺身。
黒毛和牛のすき焼きなど豪華な旅館の夕食を目の前に、バーベQを楽しんだ後で胃袋はスペースが空いてなく、2時間以上かけて半分だけ食べた。
「蓮、大食いだよねーー」
私が残したのを蓮が全て食べてくれた。
運動はしてないのに適度に筋肉がついた細マッチョ。
ショートスリーパーでタフで、スタミナがすぐに切れる私は羨ましかったりする。
食後に部屋に備え付けの露天風呂に入り、夜空を眺めながらゆっくり温泉を堪能した。
私と入れ替わりに露天風呂に入る蓮。
蓮とプライベートな時間を過ごし始めて2ヶ月が経つ。
不思議な事に、あんなに離婚したかったのに、今は友達感覚の付き合いが居心地がよくてそんな気が起きない。
温泉から出たら、仲居さんが配膳を片付けてくれて、シングル布団を2組敷いてくれてた。
時間は9時過ぎで寝るには早い時間だから、窓辺の広縁でソファーに腰掛けてiPhoneで久しぶりに携帯小説を読む。
蓮とプライベートな時間は過ごしてるけど、一緒に夜を明かす事はなかったから緊張する。
私を襲ったら離婚だから、蓮は私に全く手を出さない。
温泉から出てきて、蓮が私の前に座って持ってきてたノートパソコンを開いて仕事を始めた。
浴衣を着てる蓮。襟元から見える胸元にドキッとしてしまう。
蓮と別れてから、こんな気を起こした事がなかった。
「……結衣、どうした?夕飯あまり食べてなかったし、つまみと日本酒頼むか?」
ノートパソコンの画面を見ながらキーボードをひたすら叩いて仕事をしていた蓮が私の方を見て言う。
私が蓮の事をじっと見つめてたからかもしれない……。
「……お腹はすいてない」
「そっか、あっ、もう11時か、……そろそろ寝るか」
掛け時計の針をみると11時前で、ノートパソコンの電源を落とした蓮は、電気を消して右側に敷いてあるシングル布団の中に入る。
私も後ろについていき、左側に敷いてあるシングル布団の中に入った。
そのまま寝たいけど、隣にいる蓮が気になって、眠れない。
「………蓮、眠れない」
蓮の布団の中に入り込み、私に背中を向けてる蓮を背後から抱きしめる。
「……結衣、我慢できなくなるから辞めて。俺、結衣と離婚したくない。今の関係を続けたい」
蓮がお腹に回した私の手を掴んで、体から離す。
「……離婚しない。蓮に触れたい」
あんなに蓮の事を拒絶してたのに、蓮を求めてしまい、蓮に振り払われた腕をまた蓮の腰に回す。
「……本当に離婚しない?」
蓮が私の方を振り向く。
首を縦に振り頷き、蓮の両頬に手をそえて、私は蓮の唇にキスを落とした。
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