孕まされ婚〜こんな結婚したくなかった〜

崩れた信用は修復不能

仕事を辞めたい……。

好きだった樋山係長とその彼女が同じ会社で社内で堂々といちゃついているのを見るだけでも辛いのに、男友達だと思って信用してたのにわたしに手を出した桐谷が、職場のしかも同じプロジェクトチームで隣の席で、友達は辞めたけど同僚として関わらないといけないのがかなり苦痛。

桐谷とはあれから、たんなる同僚と一線を引いて接するようにしてる。
桐谷もわたしが野良猫がシャーってしてるみたいに殺気を出してたら何も言ってこない。

京都大学理工学部修士課程を卒業後、地元京都を出て名古屋はある自動車部品メーカー デンタに就職したわたし。

自動車のエンジンを開発する仕事に就きたくてそのために小学生の頃から勉強を頑張った。
そして、京都大学に入って、エンジン制御に関する研究をしてきた。

自動車メーカーでエンジン開発の仕事をしたかった……。

でも就職活動で自動車メーカー全社から振られ、自動車部品メーカーのデンタだけがわたしを採用してくれた。

デンタはエンジン制御ECUの開発では日本一で、わたしの大学時代の研究を認めてくれた。

だから、入社してからエンジン制御ECUシステム設計のエンジニアとして早く一人前になろうと仕事を必死に覚え、業務中はがむしゃらに働いた。

仕事中心で仕事が大好きなわたしだったけど、失恋と男友達からの裏切り行為で、退職することばかり考えてしまってた。

就職して3年経った。
３年勤めたから実務経験になり、自動車メーカーのどこかが中途採用でわたしを雇ってくれないかな……。
転職サイトを見て、自動車メーカーのエンジン制御開発の中途採用を探してるわたしがいた。

この職場で働く事がストレスなのだろう……わたしの心は限界に達し、3ヶ月後、胃潰瘍になったようだった。

食欲がなくなり吐き気で悩まされる。

「……唯川、顔色悪いが大丈夫か？」

「ストレス。仕事と関係ない事でわたしに話しかけないで」

桐谷に対して、仕事以外の会話はしない。心配してくれてるのはわかるけど、わたしは桐谷を許せないから、だからもう関わりたくない。

2週間ぐらいまともに食事が取れず、胃のムカムカに苦しみ、仕事中に倒れてしまった。

心が悲鳴をあげ、限界がきたとわたしは思った。


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目を覚ましたら、わたしは点滴に繋がれ、病院のベットの上に横たわってた。
わたしのベットの横で丸椅子に座って、桐谷がわたしを心配そうに見つめてた。
わたしが目を覚ますと直ぐにナースコールを鳴らし、看護師さんを呼んだ。

桐谷がわたしを相当好きで大切に思ってくれてる事はわかってる。

でも、わたしはそんな桐谷を拒絶してる……。
酔ってたからとわたしの初キスと処女を奪った事が許せなかった。

崩れた信用は修復不能だった。