I want to be loved

鳴宮鶉子

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恐怖のインターンシップ

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「……隼人、インターンシップでエブサイトにいく事にしたから」

国立高等専門学校は3年生から長期休暇の時に専攻分野の企業にインターンシップで入る事ができる。

成績順に割り当てられる。

直前に手がけたWEBサイトの評価が高かった事から、Ya AppleやLine、ライブアメバにソミーなどの大手企業から声をかけられたから、本当は大手IT企業に視察目的で行きたいと思ってた。

だけど、チームが同じだった子達が能力ないのに花婿候補を探しに手をあげ、彼女達と一緒だとインターンシップ先でも私に仕事を押し付けられそうだから、私はエプサイトに手をあげた。

「……うちより大手にいって勉強させて貰えばよかったのに。奏音が手がけたWEBサイトかなり高評価だったよ。Ya Appleとかから声かけられなかったの?」

「かけられたけど、チームの女の子達と一緒に入りたくなかったの」

「うちにくるの奏音だけ?」

「3年生は私ともう1人女の子がいく。後は先輩が5人いる……らしい」

高等専門学校は一学年30人前後しかいなく、5つの専攻を合わせ全校生徒で450人しかいない。
それに長期休暇はインターンシップをせずにバイトに明け暮れたい人もいる。

「……7人か。20人ぐらいきて欲しかったな。猫の手を借りたいぐらい今、プログラミング要員が足りてないから」

インターンシップの学生さんをこき使える戦力だと思ってる経営者の隼人。

「奏音はインターシップでエプサイトにくるけど、社長室で俺の仕事をかわりにやって貰おうか?」

「……辞めて。私が隼人と婚約してる事は隠してインターンシップでエプサイトに入るから」

「えっ、じゃっ、この指輪は外すなよ。仕事ばかりで飢えた狼みたいな男ばかりいるから。だから、奏音を社長室に閉じ込めたい」

うなぎのぼりに業績が上がってるから、労働面がブラックなのかもしれない。
平日はほぼ深夜帰りで、朝も6時過ぎに家を出てる。
だから、隼人が起きる前にベッドを抜け出し、朝ごはんにサンドイッチかおにぎりを作り、それを隼人さんが家を出る時に渡してる。

ポータルサイトを運営し、次々新しい事に手を出すから、仕事量に比べ社員数が足りてないように思える。

「そういえば、奏音を俺の会社に連れていった事なかったな。一緒に起業したメンバーも2人しか会わせてないし。俺はインターンシップの時に奏音の相手できないから、あの2人のどちらかに監視させる……」

ーー エブサイトは相当ブラックな会社らしい……

インターンシップで入るのが少し怖くなった。


「藤宮さんとご一緒できて嬉しいです」

教頭先生の引率でインターンシップで入る7人がエプサイトに挨拶へいく日。
同じ学年の水谷友紀さんに声をかけられた。
リクルートスーツに身を包んだ真面目な大人しいタイプの水谷友紀さんと、初めて話をした。
いつも私の周りには、派手……おしゃれな不真面目な女子がいる。
私がいたら実習が楽できて好成績がとれるからか、嫌だけど、そういう女子がまとわりついてくる。
だから水谷友紀さんと同じ学年で同じ専攻だけど、水谷友紀さんの存在を私は知らなかった。

4年生と5年生の先輩方も、もう就職活動モードで、将来の花婿候補を見つけるためでなく、入社できそうな中堅企業を希望してインターンシップにきたようだった。

私がエプサイトの社長の婚約者という事は校内で知られてる。
隼人が私の保護者代わりをしてるのもあり、成績表を取りにきたり、参観日にきたりするから。

だから、
「スミマセン。私がエプサイトの社長と婚約してる事を言わないでいて貰えますか?」

教頭先生と先輩方と水谷友紀さんに、挨拶に行く前にお願いした。

赤坂の42階建高層オフィスビルの25階から28階までがエプサイトのフロアーで、25階の受付を通り、人事課に通された。

起業して5年で、オフィスを構えてからは2年。
想像した以上に会社として機能していて驚く。

「エプサイトの専務取締役をしております中条です。インターンシップに我が社を選んで下さりありがとうございます」

インターンシップでお世話になる部署のマッチングで人事部の担当者と挨拶にきたのに、専務取締役自らが会社説明に現れた。

隼人より少し年上で、昔に何度かお会いした記憶がある。

インターンシップの挨拶に専務取締役が出てきたから、教頭先生と先輩達が少し挙動不審な素振りをみせた。

インターンシップに幹部役員クラスの社員は普通、出てこないようだった。

部署のマッチングがスムーズに進み、30分ほどで挨拶を終えた。

『チームG、エプサイトフレンズの進行状況は!!』

『登録後に運営サイドに会員登録した後に審査のメールがいくようにして、アバターとゲーム感覚でボイスチャットで楽しめるイベントを開発してます!!』

『チームH、ブログとレシピのサイトのランキングシステムは治ったか!!』

『はい、ロジック変更しました!!現在、様子見です!!』

エプサイトはいろんな情報配信サイトを運営している。
人事の事務スタッフの濱崎さんがインターンシップで実際に働く現場を案内して下さる事になり、システム開発運営フロアーの28階に入るなり、鬼畜なほどに怒鳴りあげてる男性の声に、ドキッとして身震いした。

「……お見苦しい所をお見せしてすみません。ちょうど役員総回診の時間になってしまって」

濱崎さんが苦笑いを浮かべ、フロアーに入るか入るまいが悩んでいるようだった。

「濱崎さん、入って貰って!!」

中条専務が前方の入り口から顔を出し手招きをした。
完全に怖気づいてる私達を引き連れ、濱崎さんが後ろ入り口から入る。
教頭先生を先頭に1列で並んで入ると、怒鳴ってる男性と目が合った。

普段、起こる事がない穏やかな隼人が社員を叱咤してた。

『チームG、エプスターのリニューアルの進行は?予定通りに移行できそうか……』

『はい、現在、作品移動のプログラムに取りかかってます。予定通りに移行できると思います』

声のトーンを下げてチームリーダーに進行確認をするも、隼人に社員の皆さんは脅えてた。

「……行きましょう。インターンシップで入って頂くチームは納期が先な穏やかなチームなのでご安心下さい」

小声で濱崎さんはそう言うと、私達をオフィスビルの外まで見送りに出てくれた。

「社長は厳しい方ですがシステム開発に関してとても詳しい方で、社員全員から慕われおります。色々と学べる事がございますので、インターンシップにいらして下さいね。お待ちしております」

インターンシップの行き先はもう変更できない。
でも、理由をつけて断る事はできる。
エブリサイトに就職を考えてた先輩方はかなり動揺していた。

「……藤宮さん、片桐社長の婚約者なんだよね。家でもあんな感じなの?」

「……違います。私に対しては優しくていつも穏やかです。最近、仕事が忙しいようで帰りが深夜2時で、朝も6時過ぎには出勤してるから寝不足なのかもしれません」

隼人の裏の顔を見てしまい、私はかなり動揺してしまった。


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