運命の相手は誰ですか?

鳴宮鶉子

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ワンナイトLOVE忘れて下さい!!

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広告代理店最大手 深報堂の制作クリエイティブ部門に勤めてるわたし。

「どんな広告デザインにするか」「どんな広告文章が刺さるのか」「広告にはタレントやモデルを起用するか、誰にするか」など具体的な広告案を作り上げていくのが制作の役割で、
クライアントがターゲットにしている消費者に、どんな訴求をすれば一番効果的なのかを追求していくのが仕事。


「任天社 新作ゲーム機 スピッチの広告制作を無事完了することができました。
これもひとえに皆様一人一人のご助力の賜物であると、深く感謝しております。
本日は日頃の疲れを癒すべく、大いに飲んで食べて楽しい時間を過ごしましょう。
乾杯!!」

任天社の新作ゲーム機の広告宣伝費として高額な予算を確保されていたため、あらゆる方面で広告と宣伝をかけため、ここ3ヶ月ほど多忙だった。

やり甲斐のある仕事で完了を迎えた日は社内の関係者を集めての打ち上げはいつもかなり盛り上がる。

広告クリエィティブの戦略プランナーをしてるわたしは、クライアント企業の意図や予算などの情報を、営業担当者から共有し、全体的な方向性を決め広告のコアとなるアイデアを決め、各媒体への予算の配分を決めていく。

今回はこんなイメージの広告を、これくらいの予算配分に従って、テレビと雑誌で出そう、といった具合に新商品をどう宣伝していくかをクライアントとヒアリングを行い、できあがった広告案をメディアごとに企画・制作を行う「TV担当プランナー」「雑誌担当プランナー」「デジタルメディア担当プランナー」「イベント担当プランナー」などのそれぞれ専門のスタッフ職に引き継ぎ、出来上がりをチェックする業務についている。

制作会社への依頼や制作状況の管理、成果物の管理やブラッシュアップなどを行う他、テレビ局に広告枠の確保の依頼などを行い、実際に広告配信ができる状態にする。

社内社外の多くの人と協力して作り上げてるため、今回の飲み会は営業とマーケティング部も参加し、32人が集まり大宴会になった。

「倉木、ご苦労さん」

京都エリアの顧客を担当しているわたしは、任天社以外に電気機器メーカーのオモロン、製薬会社のニッポン新薬などの大手企業が出す新商品の広告制作に携わっている。
わたしと同じ京都エリアの営業をしている同期の永瀬拓真がビールの入ったジョッキを持ってわたしの横の席に移動してきた。

「永瀬もおつかれーー。やっと任天社の広告制作が終わったね」

「今回は広告費の予算が8億円で大規模だったから大変だったろっ」

「うん。今までで1番の広告予算で、あらゆる方面で広告活動をプランニングして行って、センスとアイデアを求められて過酷だったよ」

十円ハゲができて血を吐くんじゃないかと思うぐらい思い悩み、広告活動のプランニングを行なった。

いつも以上にやりきった感があり、気持ちが高騰して普段飲まないビールをぐびぐび飲んでしまってた。


睡眠不足と疲労が溜まっている時にアルコールを多飲するのは危険だ……。

美味しい焼き鳥とお造り、タラコ入りだし巻き卵と枝豆をつまみに、ビールを3杯と梅酒サワーとレモン酎ハイを飲んだ記憶はある。

目を覚ますとうちのマットレスより柔らかいベッドの感触と誰かに抱きしめられてるのに気づき目を覚ます。
目を開けると何も身につけてない男性の胸板があり、たじろぎ、自分も何も身につけてなく、下半身に鈍痛があり、やらかしまった事に気づく。

5年半ぶりに男性と肉体関係を持ってしまった。

恐る恐る相手が誰かと顔を上げるとそこには永瀬がいて、わたしをじっと見つめてた。

「倉木、おはよう。昨日飲み過ぎてたけど大丈夫?2日酔いで頭痛や吐き気ない?」

2日酔いより下半身の鈍痛の方が痛い。立って歩けないんじゃないかと思うぐらい骨盤辺りも痛い。

永瀬の胸板を腕で押し抜け出し布団で身体を隠しながらベッドから起き上がり、ベッドの下に落ちてるわたしが着ていた下着とワンピーススーツを拾いバスルームに走って行った。

足取りがふらつきながらなんとかバスルームに入り、身体中をボディソープで洗う。
永瀬に身体中のいたるところに赤いキスマークがつけられていて、思わず顔をしかめてしまう。

服を着て、髪をドライヤーで乾かし、バスルームを出た。


「どういう流れでそうなったのかは全く覚えてないのだけど、昨日はわたし泥酔してたし、なにも覚えてない。
お酒を飲まれた故の過ち、事故だから、この事は無かった事にして欲しい」

トランクスだけ履いて、ベッドに腰掛けてスマホを触ってる永瀬に言った。

酔い潰れたわたしを送り届けようとして家がわからないからホテルに泊まって、それで欲求に負けて永瀬がやらかしたんだと思う。

泥酔してたわたしも悪い。仕事のパートナーだから関係を崩したくない。

「……俺、ずっと倉木の事が好きだった。だから、付き合いたい」

スマホを置いてわたしの方を永瀬が見つめてきた。

営業成績No.1で子犬のような愛くるしい可愛い系の目鼻が整った端正な顔立ちをしていて、背も高く、身体も引き締まってる永瀬。

社内で1番のモテ男だと思う。

「……永瀬の事、仕事のパートナーとしか思えない。ごめん」

「倉木に断られたとしても俺、すぐには諦められないよ」

わたしの身体中につけられたキスマークと噛み付いた後、そして下半身の鈍痛から、昨晩永瀬に執拗に何度も抱かれた事が眼に浮かぶ。

「……シャワー浴びて頭冷やしてくる。待ってて」

頭を掻きながら永瀬がバスルームに入って行った。

ベッドの横にあるゴミ箱を見たらコンビニで見かけるゴムの箱が入っていて、6個入りを全て使い果たしていた。

バスルームからスーツを着て出てきた永瀬。

今日は土曜日。
2日酔いで頭痛がするのと3ヶ月間多忙で疲れていると伝え、ホテルを出てからタクシーで住んでいる賃貸マンションに帰る事にした。
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