親友の婚約者とデキ婚しました

鳴宮鶉子

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親友の婚約者

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「鈴原さん、このプログラミング、明日までにお願いできる!」

「無理ですよ……」

「だよね……。クライアント先へのヒアリングが終わったら手伝う」

愛音ちゃんが7年も付き合って8ヶ月後に結婚する斎藤和馬。
正直、なんでこんな人と愛音ちゃんが付き合ってるのか理解できない。

頼りなくて優しい以外、取り柄がない。
見た目は……悪くはない。
でも、中の上。
タレ目でいつもニコニコ……いや、ニヤニヤヘラヘラしてる。

「鈴原さんは愛音の親友なだけあって仕事ができるから頼りにしてるよ」

頼り甲斐のないのヘタレ男で、愛音ちゃんが、なんでこんな男と結婚しようと思ったのか理解に苦しむ。

ムーンシステムテクノロジーはブラックすぎるぐらいなブラック企業で、クライアントから安い単価で無理難題押し付けられてる。

「……今日も徹夜勤務か」

割りに合わない残業代がでない仕事を引き受け、ため息をつく。

短大卒のわたしは、前職で勤めてた会社でも今と変わらない生活を送ってた。
ひたすらプログラミングを入力するだけだけど、莫大のデータ入力でひたすらパソコンに向かってキータッチ。

……でも、給料は手取り25万円。

徹夜勤務有りの残業代がでないブラック企業。

短大へ進学しプログラマーの道に進んだわたしがアホだった。

東大の大学院修了を修了した愛音ちゃんは業界最大手の日望製作所のAIエンジニアをしていて、大手だから残業時間は月に45時間までで、基本的に土日は休み。
わたしは残業代が出ないのに月に150時間残業をしてる……。
愛音ちゃんはMAXで残業をしてるから手取りで38万円を給料で貰ってる。

大学院修了と短大卒の差と就職先で、この給料と待遇の差に嫉妬心を燃やし妬んでしまった。

愛音ちゃんの婚約者が勤めてる勤務先だからブラックではないだろうと転職を決めたのもある。
それが前職よりもブラックで、わたしは週に3回は徹夜勤務で、日曜日に寝溜めをしてなんとか倒れずにいた。


「……斎藤さん、日曜日も勤務してるみたいですけど、愛音ちゃんと会えてます?」

システムエンジニアはプログラマーより過酷な勤務を虐げられてる。

「……1ヶ月ぐらい会えてないな。たまに仕事の相談で電話をかけて教えて貰ってたりするけど」

ダメ男な斎藤さんは愛音ちゃんにシステム構築について電話で教えて貰ってるらしい……。

「……結婚したら同じ家に住むから、それまでの辛抱」

ブラック企業のエンジニアは社畜。
シャワーを浴びて着替え自宅に戻るぐらいで、最低限の睡眠時間を取り、ひたすら仕事に打ち込む。

……安い賃金で。

「……斎藤さん。斎藤さんは東大卒で世界でも名高い東條教授のゼミ生なのに、なんでこんなブラック企業に勤めてるのですか?」

「……なんでだろうね。就職活動で大手は1次選考で落ちて、ここしか採用されなかった」

頼り甲斐のない気の抜けた話し方がいけないんだろう……。

愛音ちゃんと結婚したら紐になって主夫をした方がいいのではないかと思うぐらい、情けない男。

愛音ちゃんからこの男を奪うつもりだったけど、一緒に働き始めて1週間で、その気を無くした。

愛音ちゃんは完璧な女だから、こんなダメンズに母性本能のくすぐられて結婚を決めたんだろうと……。

愛音ちゃんと結婚して、ヒモ男を養う愛音ちゃんを想像し、腹の底でわたしは笑ってた。




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