親友の婚約者とデキ婚しました

鳴宮鶉子

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一線を越えてしまった

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「なんでできないんだ!!おまえ、東大卒だろ!!」

IT関係の知識がない吉田社長が斎藤さんを怒鳴り散らす。
知識がないくせにITベンチャー企業を立ち上げ、従業員に無理難題を押し付けるダメ社長。

「クライアントからは私が説明致します」

吉田に頭を下げる斎藤さん。
クライアントの要望が無理なんだ。
吉田社長以外のエンジニアはみんなわかってる。

「……斎藤、東大卒なんだからうちを辞めて大手にいけ!!」

「……雇ってくれる先がないんで、ここで働かせて下さい」

情けなさ過ぎる斎藤さん。
斎藤さんは誰よりも長い時間仕事をしてた。
同じスーツでうたた寝だけで1週間会社に居たりした。



「……なんとか納品でした!!」

わたしが勤め始めて3ヶ月、初日からこき使われ、なんとか納期を過ぎてた案件を片付ける事ができ、斎藤さん含め、ムーンシステムテクノロジーのエンジニア8人はほっと胸を撫で下ろした。

「今日はあがりにして、飲みに行きません?」

「そうだな!!行こう!!」

過酷極まりない業務に従事する社畜なわたし達は、長い期間寝不足状態だった。

でも、無理難題なプロジェクトを終え、全員で居酒屋に流れ込んだ。

飲みながら話す話題は仕事の愚痴。
転職をしたくても転職活動をする暇もない社畜な生活を嘆きながら、ひたすら飲み放題のビールをがぶ飲みした。

「俺たちは女と出会う時間もなくはしたない金のためにひたすら仕事をしてる。お前は東大卒で大企業の日望製作所でAIエンジニアをしてる彼女と結婚する事が決まってる。
結婚したらこの会社は辞めろ!!
で、別の会社に勤めるか、ヒモになれ!!」

誰よりも会社の犠牲になってる斎藤さん。
独身でおっさん化して月に結婚を諦めた完全に結婚をあきらめた社畜化した先輩達から言われてた。

「僕は皆さんとここに勤めます。今は小さい会社ですが、地道に努力を続けたら、手がけた仕事が認められ、大企業になるかもしれないじゃないですか」

社長がITに関する知識がゼロだから、絶対にありえないけれど、斎藤さんの言葉に人生を諦めてた6人が勇気つけられてた。

斎藤さんは……情けない能力が無い男だけど、人を癒す力がある人だった。

母性本能をくすぐる斎藤さん。
飲み会の後、飲まされ過ぎて完全に廃人化した斎藤さんを近くのビジネスホテルに連れていった。
他の社員もかなり目が座ってたから、1人ずつタクシーに乗せ、運転手に自宅住所を伝え、あらかじめ多めに運賃を支払い、玄関前に置き去りにするようお願いした。

ーーーー
ーーーーーー

1人暮らしをしてる斎藤さんに関しては心配だったから、飲み屋の近くのビジネスホテルに泊まらせて、わたしは帰るつもりだった。

飲み屋から徒歩5分の所にあるアハホテルに着き、シングルの部屋のベッドに寝かせ、すぐに部屋を出るつもりだった。

「……鈴原、俺、やっぱり情けないから、愛音にはふさわしく無いよな?」

かなり飲まされたから弱音が出たのだろう……。
わたしの後ろから抱きしめ、斎藤さんが弱音を吐いた。

「俺は……あいつに相応しくない。発想力があって賢くて、教授に気に入られて、俺は大学時代、愛音が隣にいたからなんとかやってこれた。今の俺は1人でなんとか仕事をこなさないといけない。つらい……」

ブラック企業のムーンシステムテクノロジーには知識があるエンジニアはいない。
東大卒だからと斎藤さんに全てを委ねてる……。

斎藤さんがわたしを押し倒し、唇を塞ぎ舌を入れ込んできた。
愛音ちゃんの婚約者でもこんな能力が無い男を受け入れたらいけないと思った。
でも……あまりに可哀想過ぎて、わたしは流されるように抱かれてしまった。

しかも、わたしはモテるタイプではなく処女を斎藤に捧げてしまった。
ビジネスホテルだからゴムなんてなく、飲み過ぎでわたしが痛がって顔をしかめても気づかずで、避妊なんて全くしない……。

一夜限りの関係。
今日だけは斎藤の辛い気持ちをうけとめよと思い、行為に応じた。

「……鈴原さん、ごめん」

ベッドのシーツについた血と、立って歩けないわたしに慌てる斎藤さん。

3ヶ月ぐらい愛音ちゃんと会ってなくてご無沙汰だった斎藤さん。

わたしの身体の中には6回、放出した。
社畜として常に仕事をしてきたから仕方がない。

人間の三大欲求、睡眠欲、食欲、性欲。
1人ではどうしようもらできない欲求はチャンスがある時は強く出るらしい……。

わたしは、妊娠してしまった。

斎藤さんの事は好きじゃない。
情けないし、ブラック企業の社員だし。

たった1度きりの過ちで、わたしは妊娠してしまった。

「……愛音とは別れる。俺と結婚して子供を産んで育ててくれ」

ブラック企業のお先に真っ暗の斎藤さんに言われ、困った。

悪阻が始まり、わたしの身体の中で命が育み始めたのはわかる。

でも、斎藤さんみたいな情けない男と夫婦になり、子供を育て自信はなかった。

わたしの妊娠がわかり、斎藤さんに伝えてから2週間後、斎藤さんに週末に新橋駅前のスタバに呼び出されていくと、斎藤さんがわたしを孕ませたからと愛音ちゃんに婚約破棄を言い渡す現場に付き合わされた。

嫉妬心にかられて妬んでたけど、結婚式の3ヶ月前に破談になった愛音ちゃんの切なそうな傷ついた表情を見て、とんでもない事をしたと申し訳なく思った。

「……安月給だから愛音とあげる予定
だった式場で結婚式を挙げよう。ウェディングドレスを礼香に着せてやりたい」

ブラック企業だから能力がないエンジニアしかいなくて、無駄に残業して仕事を受け負っていて、定年まで会社がら存続するとは思えなかった。

わたしの両親がわたしの花嫁姿を熱望するから、和馬さんは愛音ちゃんとらあげる予定だった式場をキャンセルせずそのまま花嫁入れ替えて挙式を挙げた。

わたしと和馬さん勤めてる会社はかなりまずい状態だった。
AI技術の進化はかなり早く、設備も知識もないベンチャー起業がら生き残るなんて無理で、近いうちに倒産するのは目に見えてた。

わたしと和馬の結婚式の日、大学のOBの先輩が28人駆けつけてくれた。
でも、受付だけして帰っていった。

『愛音は東條教授のお気に入りだったからね……』

愛音か日本で名高いAI開発者に可愛がられてるから、大学のOBm結婚式には来た。
でも、花嫁が変わっていて大学関係の名高いエンジニアはすぐに帰っていく。

「……ごめんね。俺は愛音の付属品でしかなかった」

結婚式披露宴はは3分の1が席空きで行われた。
仕事を理由に受けつけだけすませ帰って行った。

「礼香を大事にする……」

和馬さんはそう言っていたけど、社長が知識なさすぎて、2ヶ月後に会社は倒産してしまった。



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