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逃げれない落ちぶれシンデレラ
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「マリンラボの真田理人社長がいる!!」
毎週金曜日はノー残業デー。
その日は納期に間に合わない時以外は18時に退社しないといけない。
理人さんがオフィスビルの前で待ち伏せをしていて、帰るに帰れない。
わたしの勤め先を合コンの幹事を通して御令嬢の誰かから聞いたのだろう。
家は誰も招待してないから場所を突き止められてない。
「瀬戸、帰らないのか?」
AIプログラム開発第1課Aチームの須賀直哉《すがなおや》リーダーがオフィスビルから出るに出られず足を竦ませてるわたしに声をかけた。
「……瀬戸っとマリンラボの元社長の娘だったよな。現社長にマリオラボに戻ってこいとか結婚してくれとか言われて付きまとわれてるのか!!」
勘のいい須賀リーダー。
わたしが頷き困った顔をして見上げると、「マリンラボに戻ってこいとは言われても、結婚はないだろ!!」と面白がってる。
(落ちぶれた御令嬢ですからね)
「須賀リーダー、わたしの恋人のふりをしてくれませんか!!
わたしがソミー辞めたら困りますよね!!」
「そりゃ戦力だから困る。でも、オフィスビルの前で瀬戸の恋人のふりしたら職場のみんなから誤解されてしまう。本当に付き合うなら考えてもいいが、どうする!?」
社内でモテ男トップ3に入る須賀リーダーに究極的な選択を迫られた。
本気なのか冗談なのか、わたしより3歳年上の須賀リーダー。
いつもわたしをよくからかってくるから冗談だと思われる。
「……冗談ですよね?わたしと付き合うとか」
「いや、本気だ。瀬戸、可愛いし仕事できるし気が利くし、どうする?」
そんなやり取りをしていたら、いつのまにか理人さんがわたしと須賀リーダーの前にいた。
外から見えない位置にいたのに、理人さんは中に入ってきてわたしの右手首を掴み、須賀リーダーを睨む。
「……真凛は渡さない」
理人さんがわたしの手を引っ張って外へ連れ出し、そして流れのタクシーを止めて、後部座席にわたしを押し込みその隣に座った。
タクシーに乗せられて連れて行かれたのは六本木にあるお洒落な鉄板焼きのお店。
A5ランクの松坂牛には赤ワイン、ホタテにアワビ、サザエには白ワインを注がれる。
「……食べて、飲め」
「 ……………… 」
飲んだら負け、酔って寝たらまた抱き潰される。
いや、捕まってしまった以上マンションに連れ込まれてやられる。
なら、飲んで意識が朦朧としてる方がましなのかもしれない。
食欲なんて湧かず、高級なワインも飲む気にならなかった。
一口も食べず飲まずで、理人さんは食事を切り上げてわたしの手を掴み、歩いてタワーマンションへ連れていく。
「 ……帰りたい」
「帰さない」
最上階の理人さんの部屋に連れてかれた。
「……そんな目で見ないで。無理矢理襲ったりはしないから」
そんな事を言われても信用なんてできない。
たぶん、チワワのようにわたし震えてる……。
リビングに連れてかれて抱きしめられた。
「ずっと探してた真凛の事。これ見て」
理人さんが仕事部屋から茶封筒を持ってきた。
理人さんが中の書類を出す。結婚届と書いてあり無理矢理署名されられるのかと思ってたら保証人欄に書かれている名前と字を見て思わず目を見開いた。
わたしの亡くなった父 瀬戸真彦の名前と、大学でゼミでお世話になった恩師 藤堂 和之《とうどうかずゆき》の名前が書かれてた。
「真凛が大学を卒業したらすぐにプロポーズしようと思って、真凛のお父さんと藤堂教授に保証人欄に名前を書いて貰ってた。あの不幸が起きなければ、今頃、真凛と俺、結婚してたのかな……」
会社を乗っ取られ父と母が自殺をしてなかったら、わたしと理人さんの関係は良い方向にいってたと思う。
会社が乗っ取られたのは理人さんのせいじゃない。
その後も乗っ取られた会社に勤めていたのが許せなくて、不信感を抱いて、わたしは理人さんの前から姿を消した。
理人さんは1年後に乗っ取った会社を倒産させ、裏切った社員に対してクビにするだけでなくIT企業で2度と働けないようにした。
理人さんが父の仇を討ってくれた。
理人さんに感謝しないといけないと思うのに、それができなかった。
「……真凛、マリンラボに戻ってきて。亡くなったお父さんも真凛にマリンラボに戻ってきて仕事をして欲しいと思う。
ソミーには俺から話をつけた。元々、修行で真凛のお父さんがソミーに真凛を預けた。3年働いたらもう十分だ。真凛を口説いていた男がいたから、来週からマリンラボで仕事しろ」
わたしが先週逃げたからか、抱かれる事は無かったけれど、逃げないよう常に監視された。
土曜日、わたしの財布から取り出した免許証の住所をみてタクシーで連れてかれ、秘書の高本要《たかもとかなめ》さんに、ダンボールの箱を持って来させ、衣類とパソコン類などを詰めて、軽トラに乗せて理人さんのマンションに運ばれた。
そして、家具家電は破棄。
お気に入りの小物や食器や調理器具は捨てられないように自分で箱に詰めて持ち出した。
強制的に理人さんと同居し、昼間はマリンラボの社長室で新システムの開発や既存のシステムを改良したりして過ごす。
理人さんが社外に出る時はわたしも連れてかれた。
その度に、
『真凛は亡くなった瀬戸真彦社長の御令嬢 で私の婚約者です』
と紹介される。
会社を乗っ取られて父と母は自殺したから落ちぶれた御令嬢ですよ。
同居も寝室を分けてくれてるからかうまくいってる。
寝るまでずっと、理人さんと仕事かゲーム、動画鑑賞をする。
少しずつだけど、昔の関係に戻っていった。
毎週金曜日はノー残業デー。
その日は納期に間に合わない時以外は18時に退社しないといけない。
理人さんがオフィスビルの前で待ち伏せをしていて、帰るに帰れない。
わたしの勤め先を合コンの幹事を通して御令嬢の誰かから聞いたのだろう。
家は誰も招待してないから場所を突き止められてない。
「瀬戸、帰らないのか?」
AIプログラム開発第1課Aチームの須賀直哉《すがなおや》リーダーがオフィスビルから出るに出られず足を竦ませてるわたしに声をかけた。
「……瀬戸っとマリンラボの元社長の娘だったよな。現社長にマリオラボに戻ってこいとか結婚してくれとか言われて付きまとわれてるのか!!」
勘のいい須賀リーダー。
わたしが頷き困った顔をして見上げると、「マリンラボに戻ってこいとは言われても、結婚はないだろ!!」と面白がってる。
(落ちぶれた御令嬢ですからね)
「須賀リーダー、わたしの恋人のふりをしてくれませんか!!
わたしがソミー辞めたら困りますよね!!」
「そりゃ戦力だから困る。でも、オフィスビルの前で瀬戸の恋人のふりしたら職場のみんなから誤解されてしまう。本当に付き合うなら考えてもいいが、どうする!?」
社内でモテ男トップ3に入る須賀リーダーに究極的な選択を迫られた。
本気なのか冗談なのか、わたしより3歳年上の須賀リーダー。
いつもわたしをよくからかってくるから冗談だと思われる。
「……冗談ですよね?わたしと付き合うとか」
「いや、本気だ。瀬戸、可愛いし仕事できるし気が利くし、どうする?」
そんなやり取りをしていたら、いつのまにか理人さんがわたしと須賀リーダーの前にいた。
外から見えない位置にいたのに、理人さんは中に入ってきてわたしの右手首を掴み、須賀リーダーを睨む。
「……真凛は渡さない」
理人さんがわたしの手を引っ張って外へ連れ出し、そして流れのタクシーを止めて、後部座席にわたしを押し込みその隣に座った。
タクシーに乗せられて連れて行かれたのは六本木にあるお洒落な鉄板焼きのお店。
A5ランクの松坂牛には赤ワイン、ホタテにアワビ、サザエには白ワインを注がれる。
「……食べて、飲め」
「 ……………… 」
飲んだら負け、酔って寝たらまた抱き潰される。
いや、捕まってしまった以上マンションに連れ込まれてやられる。
なら、飲んで意識が朦朧としてる方がましなのかもしれない。
食欲なんて湧かず、高級なワインも飲む気にならなかった。
一口も食べず飲まずで、理人さんは食事を切り上げてわたしの手を掴み、歩いてタワーマンションへ連れていく。
「 ……帰りたい」
「帰さない」
最上階の理人さんの部屋に連れてかれた。
「……そんな目で見ないで。無理矢理襲ったりはしないから」
そんな事を言われても信用なんてできない。
たぶん、チワワのようにわたし震えてる……。
リビングに連れてかれて抱きしめられた。
「ずっと探してた真凛の事。これ見て」
理人さんが仕事部屋から茶封筒を持ってきた。
理人さんが中の書類を出す。結婚届と書いてあり無理矢理署名されられるのかと思ってたら保証人欄に書かれている名前と字を見て思わず目を見開いた。
わたしの亡くなった父 瀬戸真彦の名前と、大学でゼミでお世話になった恩師 藤堂 和之《とうどうかずゆき》の名前が書かれてた。
「真凛が大学を卒業したらすぐにプロポーズしようと思って、真凛のお父さんと藤堂教授に保証人欄に名前を書いて貰ってた。あの不幸が起きなければ、今頃、真凛と俺、結婚してたのかな……」
会社を乗っ取られ父と母が自殺をしてなかったら、わたしと理人さんの関係は良い方向にいってたと思う。
会社が乗っ取られたのは理人さんのせいじゃない。
その後も乗っ取られた会社に勤めていたのが許せなくて、不信感を抱いて、わたしは理人さんの前から姿を消した。
理人さんは1年後に乗っ取った会社を倒産させ、裏切った社員に対してクビにするだけでなくIT企業で2度と働けないようにした。
理人さんが父の仇を討ってくれた。
理人さんに感謝しないといけないと思うのに、それができなかった。
「……真凛、マリンラボに戻ってきて。亡くなったお父さんも真凛にマリンラボに戻ってきて仕事をして欲しいと思う。
ソミーには俺から話をつけた。元々、修行で真凛のお父さんがソミーに真凛を預けた。3年働いたらもう十分だ。真凛を口説いていた男がいたから、来週からマリンラボで仕事しろ」
わたしが先週逃げたからか、抱かれる事は無かったけれど、逃げないよう常に監視された。
土曜日、わたしの財布から取り出した免許証の住所をみてタクシーで連れてかれ、秘書の高本要《たかもとかなめ》さんに、ダンボールの箱を持って来させ、衣類とパソコン類などを詰めて、軽トラに乗せて理人さんのマンションに運ばれた。
そして、家具家電は破棄。
お気に入りの小物や食器や調理器具は捨てられないように自分で箱に詰めて持ち出した。
強制的に理人さんと同居し、昼間はマリンラボの社長室で新システムの開発や既存のシステムを改良したりして過ごす。
理人さんが社外に出る時はわたしも連れてかれた。
その度に、
『真凛は亡くなった瀬戸真彦社長の御令嬢 で私の婚約者です』
と紹介される。
会社を乗っ取られて父と母は自殺したから落ちぶれた御令嬢ですよ。
同居も寝室を分けてくれてるからかうまくいってる。
寝るまでずっと、理人さんと仕事かゲーム、動画鑑賞をする。
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