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産婦人科医のお仕事 3
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「麻倉先生、田村さんのオペなんだけど、あの人、少しは痩せた?」
昼休憩。気晴らしに院内を出でコンビニをはしごして戻ると、ロボット支援手術センターの天才外科医 久保宗佑先生が産婦人科の医局にいた。
外科医としての腕はピカイチで見た目も極上級のイケメンな久保先生。
今年36歳になるのに彼女なしの独身でかなりモテてる。
オペ室から出たらいつも周りに若いナースがたむろしていて、予定オペの件で私を訪ねてきただけなのに、取り巻きに鬼の形相で睨みつけられるから気分が悪い。
「田村さん、4ヶ月で15キロ痩せました。内臓脂肪がかなり減ったので、オペのリスクは減ったと思います」
推定総重量5キロ級の子宮筋腫が胎内にある田村さん。
子宮壁を構成する平滑筋層内と子宮壁の最も外側漿膜下(しょうまくか)に複数筋腫があり、内臓を圧迫していて生活に支障が出ている事から摘出手術は間逃れない。
開腹手術での子宮全摘が最善の治療法だが、結婚を考えている彼がいて、彼の子を産みたいから子宮を残したいと懇願され、天才外科医の久保先生に筋腫だけを摘出する筋腫核出手術を依頼した。
BMI35の高度肥満で内臓脂肪もさながら皮下脂肪の層が3センチ強あり、身体にメスを入れる事自体リスクがある。
半年間で30キロ減量できたら、筋腫核出手術を検討すると彼女に伝えた。
「内臓脂肪は漢方飲んでるから多少は減るでしょ。何キロ痩せた?」
「……現時点で15キロです」
「目標数値の半分も減ってない。筋腫核出手術は無理だな」
「……内臓脂肪が急激に減ってお腹の皮がダボダボなので、腹腔内はかなり膨らませる事ができます。なので、鉗子はスムーズに動かせられるから筋腫核出手術は可能かと」
溜まった内臓脂肪を溶かすのCMで有名な某漢方薬と、プロテインと酵素のドリンクで食事を置き換えてダイエットをした田村さん。
1ヶ月で8キロ痩せ、その後月2kg減量していった。
「ホルモンによる浮腫が抜けただけだろっ。エストロゲンの分泌を止める薬を飲んでたら、何もしなくてもそれぐらい痩せる。あっ、筋腫は小さくなった?推定重量は?」
子宮筋腫は女性ホルモンによって大きくなるといわれてる。ホルモン剤で閉経状態にする事で女性ホルモンが減れば子宮筋腫は小さくなる。
「……ひとまわり小さくはなりましたが、4キロ以上はあります」
「……子宮全摘じゃないと引き受けれないな。不可能だ」
定期検診で来院した田村さんに執刀医からの回答で子宮全摘手術になる事を伝えたところ、彼女はそれを拒絶し治療を中断してしまった。
かなり無茶なオペだという事は理解してる。だけど、子供を作る事を熱望している田村さんの子宮を私は残してあげたかった。
昼休憩。気晴らしに院内を出でコンビニをはしごして戻ると、ロボット支援手術センターの天才外科医 久保宗佑先生が産婦人科の医局にいた。
外科医としての腕はピカイチで見た目も極上級のイケメンな久保先生。
今年36歳になるのに彼女なしの独身でかなりモテてる。
オペ室から出たらいつも周りに若いナースがたむろしていて、予定オペの件で私を訪ねてきただけなのに、取り巻きに鬼の形相で睨みつけられるから気分が悪い。
「田村さん、4ヶ月で15キロ痩せました。内臓脂肪がかなり減ったので、オペのリスクは減ったと思います」
推定総重量5キロ級の子宮筋腫が胎内にある田村さん。
子宮壁を構成する平滑筋層内と子宮壁の最も外側漿膜下(しょうまくか)に複数筋腫があり、内臓を圧迫していて生活に支障が出ている事から摘出手術は間逃れない。
開腹手術での子宮全摘が最善の治療法だが、結婚を考えている彼がいて、彼の子を産みたいから子宮を残したいと懇願され、天才外科医の久保先生に筋腫だけを摘出する筋腫核出手術を依頼した。
BMI35の高度肥満で内臓脂肪もさながら皮下脂肪の層が3センチ強あり、身体にメスを入れる事自体リスクがある。
半年間で30キロ減量できたら、筋腫核出手術を検討すると彼女に伝えた。
「内臓脂肪は漢方飲んでるから多少は減るでしょ。何キロ痩せた?」
「……現時点で15キロです」
「目標数値の半分も減ってない。筋腫核出手術は無理だな」
「……内臓脂肪が急激に減ってお腹の皮がダボダボなので、腹腔内はかなり膨らませる事ができます。なので、鉗子はスムーズに動かせられるから筋腫核出手術は可能かと」
溜まった内臓脂肪を溶かすのCMで有名な某漢方薬と、プロテインと酵素のドリンクで食事を置き換えてダイエットをした田村さん。
1ヶ月で8キロ痩せ、その後月2kg減量していった。
「ホルモンによる浮腫が抜けただけだろっ。エストロゲンの分泌を止める薬を飲んでたら、何もしなくてもそれぐらい痩せる。あっ、筋腫は小さくなった?推定重量は?」
子宮筋腫は女性ホルモンによって大きくなるといわれてる。ホルモン剤で閉経状態にする事で女性ホルモンが減れば子宮筋腫は小さくなる。
「……ひとまわり小さくはなりましたが、4キロ以上はあります」
「……子宮全摘じゃないと引き受けれないな。不可能だ」
定期検診で来院した田村さんに執刀医からの回答で子宮全摘手術になる事を伝えたところ、彼女はそれを拒絶し治療を中断してしまった。
かなり無茶なオペだという事は理解してる。だけど、子供を作る事を熱望している田村さんの子宮を私は残してあげたかった。
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