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大掃除、そして……

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【嵐side】

 今日は朝から大掃除をしている。
と、云っても普段から母ちゃんたちが綺麗にしているから、そんなにやることは無いんだが…………寒い !
 俺は外で掃き掃除をしているんだが、思ったより沢山の枯れ葉があり なかなか進まない。
 
 妹たちは、オウミヤスーパーに食料や正月飾りを買いに行っている。
 由利凛や恵利凛は家の中で母ちゃん達の手伝い、巧は障子の張り替えやエアコンのフィルター掃除。

 あ~、こういう時は ウチの猫たちが羨ましく成る。
今頃は、暖かい部屋で寝ているんだろうなぁ~。

 ブッエックション !

 うぅ~、くしゃみが出てしまったぜ。
適当に終わらせて、暖かいコーヒーでも飲もう。


♟♞♝♜♛♚

 俺は違いの判るおとこ
 寒い冬には、熱いコーヒーが旨いぜ !
ブラックは苦いからミルクと砂糖は入れるけど……

「お兄ちゃん、今日のお昼御飯は『崑崙こんろん飯店』から出前が来るのじゃ!
 だから間食は しない方が良いと思うよ !」

 コーヒーのお供に詰まんでいた、アポロンチョコを元の位置に戻した。

「妾は、ちょっと凪の様子を見てくるから、大人しく待っていて欲しいのじゃ !」

 なんだかんだ言いながらも面倒見が良いよな、由利凛の奴。

 凪は本気で由利凛に惚れているのか、冬休みは大江戸家に泊まり、早朝の寒稽古にも参加している。
 運動不足を絵に描いたような癖に意外と頑張る者だから今日は、とうとうヘバッてしまった。
 まあ、筋肉痛もあるのだろうがな。
 一方、『テル』こと世野中よのなか 舐芽輝なめてるは、筋肉痛にも滅気ずに妹たちの荷物持ちについて行った。
 変な奴だが根性あるよな…………それが、イコール 妹たちの好感度が上がるかは微妙な処ではあるんだがな。


「コケッー ! コッ コッ コケッー!」

 突然、ニワトリの叫び声が庭から聞こえた。
 ウチは、ニワトリを飼って居ないから、近所から遠征に来たのか?
 庭に行ってみると ニワトリが猫たちに追い回されていた。
 普通、逆だと思うんだが ウチの猫たちは武闘派なのか?
 
 それより、あのニワトリは……

 ニワトリは、俺に気が付くと 一目散に俺目掛けて逃げて来た。
 飛び上がり、俺の頭の上に避難するつもりか?
バカヤロー、そんなカギツメなんかで頭の上に止まられたら痛いわ、血だらけに成るじゃないか!
 咄嗟とっさに腕で頭を庇ったら、その腕に止まった。
 掃除していた時に着ていたジャンパーを脱がなくて良かったぜ!

 俺の腕に止まったニワトリを威嚇いかくし続ける猫たちに対して、

「悪いな、
俺に免じて見逃してくれると嬉しいんだが……」

 やがて、猫たちはバラバラに移動して行った。
番犬ならぬ番猫かよ !

「外が騒がしいと思ったら、どうしたの そのニワトリ?」

 母ちゃんが、台所から出て来て不思議そうに質問してきた。

「何処かのニワトリか知らないが、ウチに迷い込んだようで 猫たちに追い回されていたのを保護したんだ。
 一応、ご近所さんに聞いてくるから、見付からなかったらウチで飼って良いか、母ちゃん?」

「それは良いと思うけど、ご近所さんに行くなら出前の御飯を食べてからにしないと、アンタが帰って来る頃には、無くなっているよ」

 流石、母ちゃんは俺の味方だな。
うっかり出かけたら、食いはぐれる処だったぜ。
 遠慮なんてしないからな、ウチの妹は。

 ところで……

「何しに来たんだ、 ?」

 俺の質問に目をらしたニワトリヘルメス
 ハァ~、助け無い方が良かった気がしてきた。





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