【完結】学園Z隔離記録 ~禁忌の村、田を覗くなかれ ~

月影 流詩亜

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序章:白絹の檻

閑話 第3話:蛮 ~暴力という鎧~

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 鬼塚蛮おにづか ばんは、生まれてからずっと、その巨躯と凶悪な面構えのせいで「強い」と見られてきた。

 しかし、彼自身は誰よりもを嫌悪し常に怯えていた。

 彼の育った環境は、理不尽な暴力に満ちていた。

 学校では教師からの体罰、家では父親の暴力。

 幼い頃から彼は自分自身や病弱な母、幼い妹を守るために自らの拳を唯一の武器としてきた。

 彼のは、常に防御のためにあった。

 弱い者を守るため、理不尽に立ち向かうため、彼は自らの体を盾とし拳を振り上げてきた。

 しかし、その「正義の拳」が彼自身を社会から孤立させていく。

 決定的な出来事は、彼の妹が学校の教師からイジメを受けていたことを知った時だった。

 教師の理不尽な圧力に妹は心を病み、学校に行けなくなった。

 その事実を知った蛮の怒りは、まさに獣のようだった。
 彼は学校に乗り込み、教師を半殺しにしてしまう。

 彼の目には妹を守るというしかなかった。

 しかし、社会は彼の行動を「過剰防衛」どころか「制御不能な暴力」と断じた。

 彼は「問題児」として扱われ、行く先々で「暴力」というレッテルを貼られた。

 彼の拳が届かない「システム」や「権力」の前に、どれだけ暴力を振るっても彼自身の正義は理解されず、ただ「危険な存在」として排除されていく。

 その無力感が、彼の心に深い苛立ちと孤独を刻み込んだ。

 彼は、心の内では誰よりも人間的な感情を持っていたが、それを表に出せば弱みになると信じ常に威嚇的で粗暴な振る舞いを続けた。

 それが、彼の身を守る唯一の「よろい」だったのだ。

 彼の罪状は、まさに「過剰な暴力性」。

 社会のルールや法の秩序よりも、自らの信じる「力」を優先した結果、地方学園Zという、その「力」が全く通用しない「おり」に閉じ込められることになる。

 護送バスの中、鬼塚蛮は前の座席を苛立ったように蹴りつけた。
 
その凶悪な眼差しで周囲を睨みつける。

 それは、彼なりの弱さを隠すための「鎧」であり同時に、この新しい環境での「力」の誇示でもあった。

 だが、彼の心の奥底では、この見知らぬ学園が彼の唯一の武器である「暴力」を再び無力化する場所になるのではないかという漠然ばくぜんとした不安が渦巻いていた。

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