【完結】学園Z隔離記録 ~禁忌の村、田を覗くなかれ ~

月影 流詩亜

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第一章:蠢動

閑話 第4話:暦 ~逃亡者の軌跡~

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 終里暦おわりざと こよみにとって、世界は常に「追跡者」と「監視の目」に満ちた場所だった。

 彼女は過酷な家庭環境で育った。
 親からの身体的、精神的な虐待は日常であり、彼女の幼い心は常に恐怖と緊張に晒されていた。

 唯一の救いは、その環境からことだった。
 初めて家を飛び出したのは、まだ小学校にも上がる前のこと。
 その日から彼女の人生は、終わりのない逃亡の連続となった。

 児童養護施設、親戚の家、そしてまた施設……

 どの場所も、彼女にとっては一時的な「収容所」でしかなかった。
 彼女は常に監視の目を掻い潜り、脱走計画を練り実行した。

 夜の闇に紛れて施設を抜け出し、見知らぬ街を彷徨い、時には野宿をすることもあった。
 その経験は、彼女に驚くべきサバイバル能力と人間に対する根深い不信感を植え付けた。

 彼女は誰にも心を許さなかった。

 他者に頼れば必ず裏切られるか、あるいは利用される。

 それが、彼女が身をもって学んだ真実だった。

 社会のルールも、法律も、彼女にとっては自分を縛りつけるための「くさり」でしかなかった。

 だから、彼女は常にその鎖から逃れようと必死にもがいた。

 彼女の罪状は、まさに「逃亡癖と反抗心」だった。

 社会の枠組みに収まることを拒否し、常に自由を求めて彷徨い続けた結果、彼女は「手に負えない問題児」として、最終的に地方学園Zという物理的にも精神的にも究極の「檻」に送られることになった、皮肉な運命だった……

 護送バスの中で、暦は窓の外の景色を注意深く観察していた。

 この学園もまた、彼女にとって一時的な「収容所」に過ぎない。

 彼女の目は、既に監視カメラの位置や周囲の地形、脱出に使えそうなわずかな隙間を探していた。

 彼女の脳裏には、常に「逃げ出す」ことだけがあった。

 この学園がどれほど厳重な「檻」であろうと、彼女は必ず、その「穴」を見つけ出し再び自由を手に入れる。

 その揺るぎない脱出への執念こそが、彼女をここまで生かしてきた原動力であり、後にチームの重要な一員となる所以だった。

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