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第10話:白兵強襲、フォートレスの死闘
しおりを挟むイマガワ・ヨシモトの旗艦オケハザマ・フォートレスは、オダ・ノブナガの眼前にその巨大な艦体を晒していた。
クラン・ノブナガの紋章を刻んだアツタ・フレームの存在に、敵ブリッジがようやく気づいたことを示すかのように、フォートレスの艦体各所から散発的な迎撃砲火が放たれ始める。
だが、その動きは明らかに狼狽しており、統制が取れていない。
「ヒデヨシ、敵旗艦の防御スクリーン、最も薄いポイントは変わらぬな?」
ノブナガは冷静に問いかけながら、アツタ・フレームの機首を、事前に分析していたフォートレスの艦体構造上の弱点へと正確に向けた。
「はっ! 変わりありませぬ! おそらく、あの部分のジェネレーターが磁気嵐の影響で一時的に出力低下を起こしているものと推測されます !」
ヒデヨシからの即答を受け、ノブナガは加速レバーを再び深々と押し込んだ。
「全エネルギー、一点集中 ! あれをこじ開け、突入口とする!」
アツタ・フレームの機首に搭載された超硬度ラムが、エネルギーフィールドを纏いながら高速回転を始める。
フォートレスからの迎撃レーザーが機体を掠めるが、ノブナガは意に介さず、最短距離で目標ポイントへと突っ込む。
凄まじい衝撃音と振動がコックピットを揺るがした。数瞬の拮抗の後、アツタ・フレームのラムは、ついにフォートレスの分厚い外壁を貫通し、艦内に深々と食い込んだ。
「よし、突入口確保 ! 突入部隊、行け !」
ノブナガの号令一下、アツタ・フレームの側面ハッチが開き、そこからサイバネティクス強化されたクラン・ノブナガの精鋭兵たちが、重力制御された通路を駆け抜け、フォートレスの艦内へと雪崩れ込んでいく。
彼らの手には高出力ブラスターやエネルギーブレードが握られ、その背後からは自律型戦闘ドローンが続く。
ノブナガは「アツタ・フレーム」をフォートレスに固定したまま、コックピットのメインスクリーンを艦内戦術マップに切り替えた。
突入部隊の各兵士が装着したバイタルセンサーとヘルメットカメラからの情報が、リアルタイムでマップ上に表示されていく。
青い光点が、フォートレス内部の赤い区画へと急速に浸透していくのが見て取れた。
「第一分隊、第7隔壁突破 ! 敵の抵抗、予想以上に軽微 !」
「第二分隊、動力パイプライン沿いにブリッジへの最短ルートを確保中 !」
突入部隊の小隊長たちから、次々と景気の良い報告が飛び込んでくる。 ヨシモトの親衛隊や警備兵は、まさか旗艦内部にこれほど迅速に敵が侵入してくるとは想定していなかったのだろう。 初動が完全に遅れていた。
だが、銀河最強と謳われたスルガの旗艦だ。 そう簡単に中枢を明け渡すはずもない。
「敵、パワードスーツ部隊出現 ! 通路Eブロックにて交戦中 !」
「くそっ、敵の数が多い ! 応援を !」
やがて、戦況は熾烈さを増してきた。
マップ上の青い光点のいくつかが赤く点滅し、やがて消える。 それは、仲間の戦死を意味していた。
ノブナガは表情を変えずにそれを見つめていたが、操縦桿を握る彼の指の関節は白くなっていた。
「モウリ ! ハットリ !
先陣を切れ!臆するな、道はこじ開けろ !」
ノブナガは、特に信頼の厚い腹心の名を呼び、叱咤する。彼の声は、直接戦場にいるかのように、兵士たちのヘッドセットにクリアに届いていた。
「ははーっ ! 殿の御期待、このモウリ・シンスケが応えてみせまする !」
「ハットリ・コヘイタ、推参つかまつる !」
通信越しに、彼らの勇猛な声と、レーザーブレードが空気を切り裂く音、そして敵兵の断末魔が聞こえてくる。
マップ上でも、彼らの名を示す特別なアイコンが、凄まじい勢いで敵の防衛ラインを突破していくのが見えた。
しかし、フォートレスの内部構造は複雑で、敵の抵抗も徐々に組織化されつつあった。ブリッジへの道は、まだ遠い。
「殿、敵の防衛システムが一部再起動 ! 複数の隔壁がロックされ、突入ルートが寸断されつつあります !」
ヒデヨシからの焦りを帯びた報告。このままでは、突入部隊は各個撃破されかねない。
ノブナガは即座に決断した。
「ヒデヨシ !
フォートレスの艦内システムにハッキングを開始しろ !
敵のセキュリティを無力化し、隔壁のロックを強制解除 ! 同時に、敵の通信網を攪乱し、指揮系統を麻痺させるのだ !」
「…無茶な ! あれほどの巨大艦のシステムを、この短時間で……!?」
「お前ならできる。やれ !」
ノブナガの有無を言わせぬ命令に、ヒデヨシは一瞬息を呑んだが、すぐに力強く応えた。
「……御意 !」
数分後、戦術マップ上に変化が現れた。
それまで赤くロック表示されていたいくつかの隔壁が、青の通行可能表示に切り替わる。
同時に、敵の動きを示す赤い光点の連携が明らかに乱れ始めた。
「よし!ヒデヨシ、よくやった !」
「はっ ! まだ完全に掌握したわけではありませぬが、主要な隔壁のコントロールは奪いました !
敵の通信も、今はただの雑音と化しているはずです !」
この好機を逃すノブナガではない。
「全突入部隊に告ぐ ! 道は開かれた !
躊躇うな !
一気にブリッジまで駆け抜けろ !
目標はヨシモトの首、ただ一つだ !」
ノブナガの声が、再び艦内に響き渡る。
サイバー攻撃による支援という思わぬ追い風を得て、クラン・ノブナガの精鋭たちは、最後の抵抗を試みるスルガ兵を蹴散らし、フォートレスの中枢、ブリッジへと、怒涛の勢いで迫っていく。
ノブナガは、メインスクリーンに表示されたブリッジまでの残り距離を、冷徹な瞳で見据えていた。
この死闘も、間もなく終局を迎えようとしていた。
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